爆発現場の状況は次のブログを読むとよく判る。
中国がひた隠す天津爆発現場 日本人ジャーナリストが初潜入
2015.09.15 07:00
8月に中国・天津で起きた大爆発事故。習近平政権は厳しい報道管制を敷き、現場で何が起きたのかはほとんど伝わってこない。『習近平の「反日」作戦』(小学館刊)などの著書があるジャーナリスト・相馬勝氏が、中国が国内外にひた隠す「爆心地」への潜入に成功した。相馬氏が現場の生々しい様子をレポートする。
* * *
ひしゃげて折れ曲がり、長方体の原形を留めていないコンテナが散乱し、鉄筋の枠組みだけを残して穴だらけになった5階建てのビルの残骸が無残な姿を晒す。あたりには焼け爛れた倒木が転がる──。
死者162人、行方不明者11人、さらに700人以上が負傷した中国・天津での爆発事故の現場中心部の様子だ。北京で抗日戦争勝利70年を記念した軍事パレードがあった翌日の9月4日、筆者は天津を訪れた。
化学薬品倉庫のあった爆心地への出入り口には鉄製の柵が設けられ、道の両側に4~5人ずつ武装警察部隊の兵士が立っていた。瓦礫撤去にあたる工事車両が頻繁に行き来するなか、筆者が乗ったセダンは運良く工事関係車両とみなされたようで、現場の中心部に入ることができた。
事故は8月12日深夜、天津港に隣接する濱海新区内の危険物倉庫で起きた。消防隊の放水によって貯蔵物質が化学反応を起こし、次々と爆発を誘発したとみられている。事故後、倉庫会社社長や市政府幹部ら20人以上が拘束されたが、原因ははっきりしていない。
これまで、『人民日報』など官製メディアのほかに現場に入った取材者はいない。中に入ろうとして身柄を拘束され、カメラの画像をすべて消去された外国人ジャーナリストも少なくないという。
その事故現場では、工事関係者らが防毒マスクを装着。筆者も強い異臭を感じた。工事車両は現場の出口付近で、浄化剤入りの水を車体にかけるよう指示されていた。近くの川で無数の魚の死体が浮かび上がったことからも、かなりの量の化学薬品が残留しているのは明らかだ。
爆心地に隣接し、立ち入り禁止になっていたマンションの敷地内にも入った。避難した住民向けの保険会社による説明会のため、一時的に立ち入り禁止が解除されていたのだ。
数十棟もあるマンションのほとんどの部屋は、爆風で窓ガラスが吹き飛び、暗く黒い空洞がぽっかり浮き彫りになっていた。
内部はガラスやドアなどの破片が飛び散り、住民らは「もうここには住めない」と口々に叫び、「事故の責任を取れ」「数百万元も出したマンションなのに、二束三文の賠償金では絶対に納得しない」などと政府の対応に不満を爆発させていた。
会場では住民の“暴動”を抑えるための武装警察数十人が警備につき、険悪な雰囲気に包まれていた。マンションの敷地内にも武警によってテントが張られ、住民の引っ越しのため、室内の荷物を運び出すのを手伝う隊員を振り分けていた。高さ2メートルほどある結婚式の写真パネルを、武警隊員が大切そうに運ぶ姿もあった。
天津市当局は9月5日、この爆発跡地に、犠牲になった消防士らを悼む英雄記念碑などを建て、「生態公園(エコパーク)」とする計画を表明。11月にも着工し来年7月に完成予定だというが、化学薬品の残留をはじめ問題は何も解決していない。
中国国民は何より原因究明を望んでいる。北京でも上海でも、同じような不法な危険物の大量貯蔵があるとされるからだ。事故原因を隠蔽すれば、政権への不満を募らせるのはマンション住民に留まらない。
※週刊ポスト2015年9月25日・10月2日号
http://www.news-postseven.com/archives/20150915_350415.html
中国共産党政府は対応に追われており、未だ原因を発表していない。
江沢民派の反撃だと言う陰謀説も出回っていた、との話もある。いわゆる習近平政権への揺さぶりのためだ。
まあ中国では安全意識が極端の低いためかも知れないが、この大爆発のあとも爆発事故が相次いでいる、と言った言及がなされている。
日本人ツイッターユーザーの中国住み氏が、今年の主な工場爆発事故のリストを発表している。それほど工場での小規模な爆発事故は日常茶飯事となっている、と言うことか。
中国住み@livein_china
今年の主な工場爆発まとめデス
8/23常熟 化学工場
8/22淄博 化学工場
8/18柳州 化学工場
8/12天津 物流会社化薬品倉庫
8/5常州 石化工場
7/16日照 石化工場
6/18唐山 化学工場
4/21南京 化学工場
4/6漳州 PX工場
3/15昆山 化学工場
2015年8月23日 16:14
https://mobile.twitter.com/livein_china/status/635349481500704768
このツイッターに言及しているブログでは、江沢民派の反撃に言及しているが、これは大げさで偏った言い草である、と言っている。中国では安全基準が無視されているので、小規模な工場での爆発が頻発していると言うことなのである。
天津爆発事故後も相次ぐ「爆発」は江沢民派の反撃か
Why So Many Explosions
批判を封じ込めた政府の「完璧」な対応と、各地で頻発する爆発事故が意味するもの
2015年9月10日(木)16時42分
高口康太(ジャーナリスト、翻訳家)
2015年8月12日の天津爆発事故から約1カ月が過ぎた。国民の批判を封じ込めた中国政府の対応、そして天津以外で連続した、一連の「爆発」事件について考えてみたい。
事故について簡単に振り返っておこう。天津港にある危険物物流センターで2度にわたり巨大な爆発が起きた。1回目の爆発はマグニチュード2.3、2回目が2.9という凄まじい威力だった。事故原因についてはいまだに最終的な調査結果が発表されていないが、まず火災が起き、消防隊がむやみに放水したため化学物質が反応して爆発したとの説が有力視されている。当局発表によると、9月1日時点で確認された死者数は159人、なお14人が行方不明となっている。
もっとも、公式統計の犠牲者は約3分の2が警察官と消防隊員で占められている。大きな被害を受けた近隣のマンションや、ほぼ吹き飛ばされた工事現場従業員宿舎の被害が正しくカウントされているのか、疑問視する声もある。また飛散した化学物質による健康被害、環境汚染を懸念する声もある。いまだに事故原因が特定されていないことも含め、当局の事後対応には問題が多いが、世論対策だけはパーフェクトだ。
強力なメディア検閲によって批判的な報道を封じこめた。人民解放軍による、危険をかえりみない「英雄的」現場処理が大々的に喧伝された。毒ガスが発生しているのではという懸念には、事故現場に動物を入れた檻を置き健康被害はないことをアピールした。また、事故によって損害を受けた近隣マンション住民には返金や代替住宅の提供といった補償プランをはやばやと打ち出した。サインをしぶる住民には圧力をかけ、すでに9割近い住民が合意したと伝えられる。
(続く)