先ずは、産官の癒着。
(産)は、 瑞海物流の大株主の董社軒 と于学偉である。
(官)は、 国家安全生産監督管理局長で2012年5月上旬まで天津市副市長であった.楊棟梁。
彼は危険物倉庫の建設には関係があったかもしれないが、大量の危険物の保管はそれ
以降(2014年)のことなので、直接には関係はないと見られているのだが。
そして八年も天津市長を務め、昨年暮れから代理書記も兼務していた黄興国 の責任はないのか、と言う疑問が残る。
しかしながら黄興国は習近平の子分だから、習近平は自分の部下を守ろうとしているのでしょう。黄興国からは(この官民の癒着からの利益から)習近平に貢物がいっていたかもしれないと言う想像も成り立つ。
更に天津市の当局の有象無象の職員が加担していた事は、想像に難くない。
瑞海物流は違法倉庫、違法な大量保管で巨額な利益を得ており、天津市当局は巨額な賄賂を貰っていたことでしょう。
次の問題は、この大爆発の政治責任問題の追及。これは”虎”に当たるものである。
先ずは、天津市の現役市長兼天津市代理書記の、習近平一の子分の 黄興国 に責任の矢が向けられている。習近平は黄興国 を救うために、別のところに悪役を見つける必要がある。黄興国 は、自分の責任を認め犠牲者や、遺族・被害者の救済に全力を注ぐとして、善玉官僚として猫を被っていると言う。そのためマスコミも、彼には好意的だという。
瑞海物流は勿論第一の責任当事者であるが、天津市側の責任者としては、 国家安全生産監督管理局長で2012年5月上旬まで天津市副市長であった 楊棟梁 に(習近平は)白羽の矢を立てさせたのであろう。
そして天津市がらみの経済政策の「北京・天津・河北省一体化政策(京津冀一体化)」の失敗、「浜海新区開発」計画の頓挫、天津市の財政破綻問題など解決が困難な問題が山積している。そんなときに「瑞海物流の違法倉庫」大爆発が発生したのである。
そのため習近平は、「もろもろの責任追及の矛先を石油閥の張高麗に向けることで、自分が目をかけている部下の責任を回避させ、しかも石油利権閥を完全に解体でき、本丸の政敵の一人でもある江沢民に打撃を与えることが出来る、と言うシナリオをもっているのではないだろうか。」と福島香織氏の寄稿文は述べている。
この寄稿文では、「このように政治責任の矛先を政敵に持って行かねば、習近平政権の屋台骨自体が揺らぎかねないほどの大事件であったともいえる。」と書かれているほどの政治的にも、物理的にも強烈な爆発であった。
言ってみれば、「”虎”も”ハエ”も一緒に叩く」の”虎”に当たってしまうのは、習近平自身ではないか、とも思えるのである。
従って習近平政権への打撃は相当なものではないか、と習近平自身が感じているのではないのかな。
天津港は世界四位の貨物量を誇ると言う。この港が長期間機能麻痺に陥ることになる。中国経済への影響も馬鹿にならないであろう。
更には、爆発に曝された高級マンション群は売り物にならず、住民達と長期間賠償問題でもめることになるであろう。
以上述べてきたように、責任問題もウヤムヤだ。倉庫建設の許認可に関わったとされる天津市の担当課長は、ビルから飛び降りてで自殺したと言うが、口封じのために殺害されたなどと噂されていると言う。虎はまだどこかにいる筈だ。
(続く)