夫々の経済統計の傾向はわかると思う。
これらは中国では、比較的正しいと思われている統計数字である。
(1) 鉄道貨物量(トン・キロ)の対前年同月比
明らかに低減していることがわかる。2013年は-3%、2014年の数字は-5%、2015年数字は、
-12%ぐらいで、4倍の落ち込みだ。
鉄道貨物量は重厚長大産業を代表する指標と見られている。従って東北三省(黒龍江省
(2) 電力消費量の対前年同月比
これも鉄道貨物量の伸び率と同じように低減しているが、低減の仕方は鉄道貨物量よりも
緩やかだ。電力は重厚長大産業もサービス産業も同じように使っているので、低減の割合
は必然的に穏やかになる。サービス産業はそれほど不況ではなかったと言うことであろう。
それでも(大雑把に言って)前半の7~8%から後半は3~4%と伸び率は半減している。
(3) 国有企業売上高
これも鉄道貨物量の伸び率と同じような割合で逓減している。簡単に言うと三分の一に
なっている。二桁の伸び率が、今年に入り-5 ~ -6%とマイナスに転じている。
相当GDPの伸び率には影響しているはずでGDPが半減していてもおかしくない数字だ。
(4) 間接税収
間接税収は比較的堅調だ。サービス産業が好調だったためだ。日本に爆買いに来ている
中国人は、きっとこんな業種の人種なのであろう。間接税収は2013年からは%で2~3ポイ
ント程度の減少に収まっている。
これらの数字からGDPの変化を推察(伸び率は半分以下に落ちていると)すると、二つ前の論考では7.7%から7.4%へと僅かな減少しか示していないが、ほんとうの成長率はもっと減少しているのではないかと推察する方が真っ当な考え方であろう。しかも2015年の成長率は(7.5%から-0.5%して)7.0%としているが、とてもじゃないが、納得できるものではないであろう。
比較的正直と見られているこれらの経済統計数度から推察からすると、中国のGDPの成長率は、半分近くの減少と見てもおかしくはないのではないか、との考え方もうなづける。
半分とすると、7.7%×1/2=3.9% と計算できる。まあもともと7.7%と言う数字もバイアスがかかっているから、単純に半分と計算してよいものかは?であるが、4%前後ではないかと推察できる。
これは小生のこじつけであるが、 津上俊哉氏もこの論考で5%前後ではないかと記述している。
中国政府は目標成長率を7.0%としているが、2015年4~6月の実質国内総生産(GDP)成長率は、前年同期比7.0%であり(「中国バブル崩壊」日本経済新聞社編、41ページ)面目を保ったものの、2015年7~9月のGDPは6.9%と、リーマンショック後の2009年以来の6年ぶりの6%台となっている。しかも中国国家統計局の数字でも、前期より低下の傾向を示しているのだ。
成長率7%割れでも中国がしぶとい理由
伸び続く個人消費、「バブル崩壊」は起こるのか
2015年10月20日(火)小平 和良
(写真:AP/アフロ)
中国国家統計局は10月19日、2015年7~9月のGDP(国内総生産)を発表した。物価変動の影響を除いた実質のGDP成長率は前年同期比6.9%増と、リーマンショック後の2009年以来、6年半ぶりに6%台となった。政府が2015年の目標としている7%も下回った。
固定資産投資や工業生産、貿易などの指標を見ても減速は鮮明だ。中国税関総署が9月13日に発表した9月の貿易統計では、輸入は米ドルベースで前年同月比20.4%減と、大きく落ち込み、輸出も3.7%減と3カ月連続で前年の水準を下回った。19日に発表された9月の鉱工業生産は、前年同月比5.7%増となり、8月の6.1%増から伸びが鈍化している。
こうした景気減速の影響は、一部で目に見える形で表れ始めている。上海市郊外の工業地区に工場を構える、ある日系の消費関連企業のトップは、最近、従業員募集に応募してきた人物を見て驚いた。応募してきた男性は、「自動車関連の工場の方が給料が高い」といって数年前にこの日本企業を去った人物だったからだ。
これまで急成長を謳歌してきた中国の自動車産業だが、今年に入ってからは減速がはっきりしてきている。米ゼネラル・モーターズなどの大手は、販売価格の引き下げまでして在庫処分に走った。こうした影響は自動車関連の部品工場などが集まる上海郊外のこの工業地区にも波及し、ある工場では残業がなくなり、ある工場では事業が続けられなくなった。その結果、自動車部品メーカーを辞めた従業員が、古巣の日系企業に舞い戻ってきたというわけだ。
この工業地区では、優良企業を誘致する狙いもあって土地や建物にかかる税金はこれまで免除されていた。だが、「今年になって突然、徴収されるようになった。景気減速で税収が不足しているのではないか」(日系メーカー社長)。
(続く)