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ならず者国家・中国、アレコレ!(21)

中国の成長率への疑心暗鬼

 実体経済に表れているこういった現象を捉えて、中国のGDP信頼できず、実際はさらに悪いといった意見もある。また、それとは逆に、「中国経済が減速しているというが、あまりに悲観視しすぎている」といった声もある。

 中国のGDPに信頼が置けないという意見は以前からあった。だが、中国の高度成長が続いているうちは、「信頼が置けない」ことを前提に置きながらも、高い成長を実感し、期待した上で多くの企業や投資家が資金を投じてきた。

 だが今夏、中国経済の減速が徐々に鮮明になり、株式市場の急落人民元切り下げを巡る当局の対応などを見るうちに、改めて中国の成長率への信頼性に注目が集まっている。実際の中国の成長率は3を切っているといった試算結果を出す調査会社も登場した。

 中国経済の実情を知るために、GDP以外の指標を参考にするという動きはこれまでもあった。代表的なものとして知られているのが「李克強指数」だ。李克強首相が遼寧省共産党委員会書記時代に「GDP人為的」として、鉄道貨物輸送量電力消費量中長期貸出残高3つの指標を重視したことから、その名がついたとされる。

李克強指数の落ち込みは経済構造転換の証」

 確かにこれら3つの指標はGDP成長率と比べても落ち込みが目立っている。その一方で、李克強指数では中国経済の実情を正確に知ることはできないといった意見がある。中国共産党の機関紙「人民日報」は今年6月に、現在の状況を予見するような記事を掲載している。記事では「確かに鉄道貨物量や電力消費は落ちているが、それは産業構造の転換によるもの。中国経済はサービス業の占める割合が高まってきており、実態を表す指標が必要だ」と主張している。

 野村国際の趙揚チーフエコノミストも「2%、3%の成長率しかないという見方は一部の部門の数字に基づくもの。これは中国経済の劇的とも言える構造転換と関係しており、鉄鋼やセメントなどの重工業は減速している一方で、サービス業などは20%から30%の成長を遂げている」と話す。実際、中国の映画興行収入は昨年に比べ50%近く伸びていると言われており、こうした指標が現在の中国経済を正確に表しているといった意見もある。

 いずれにしても、こうした論争が起きる背景にあるのは、政府が発表するGDPへの不信感だ。こう考えると、今年の夏、世界を同時株安へと巻き込んだのは、中国経済の減速そのものではないのかしれない。中国政府が公表する数字の信頼性と、それに伴う経済減速の実態の不透明さが疑心暗鬼を生んだ結果と言えそうだ。

 さらに言えるのは、仮に中国の経済が公表されている成長率より低かったとしても、13億を超える人々が日々の生活を営む巨大なマーケットがあるという事実は変わらないということだ。工業や貿易の指標が落ち込むなかで、個人消費は今も高い伸びが続いている。GDPと同時に発表された9月の小売売上高は前年同月比10.9%増だった。日本では「中国バブル崩壊」といった見方も出ているが、冷静に実体経済を見つめることがさらに重要になりそうだ。

 

ニュースを斬る

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http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/101900112/?n_cid=nbpnbo_mlp


 

いまや中国では、自動車矢鉄鋼などの製造業・いわゆる第2次産業では不況の状況に入っているのであろうが、反対に教育、娯楽、飲食、小売と言ったサービス産業は堅調で、二桁の成長を維持していると言う。

 

ただ製造業がマイナス成長となれば、その影響はかなりのものとなろう。いくらサービス産業が堅調だと言っても、中国経済を引っ張ってゆくにはまだまだ力不足ではないのかな。

 

先の津上俊哉氏の「総力特集 どん底の中国経済 グローバル・リスクに備えよ」の内容を概略しよう。


 

(1)中国は7.0%成長を標榜しているが、過剰投資による不良資産の蓄積に病んでいる。正直な経済統計より推察すると、ほんとうの成長率は5%を割り込んでいる

 

(2) 4兆元(57兆円)もの経済対策による不動産ブームが止まり、地方政府は債務が膨れ上がり財政は火の車だ。しかし景気が急減速すると中央政府地方政府のために金を工面するようになった。

 

(3) 国有企業も地方政府と並んで過剰債務だ。習近平政権は株バブルを起こして金を工面しようとしたが、その株バブルも6/上旬に崩壊した。そして国有企業は株バブルで大損をしている。

 

(4) 元安を見込んだホットマネーは元売り・外貨買いに走り、中国外貨は減少していった。おりしもIMFが元の国際化にはレートを市場にあわせよ(実勢は元基準値より安い)との指摘もあり、輸出産業支援もかねて、8/11に突然元を切り下げた。それだけ中国景気は悪化していたと言うことか。

 

(5) 元の国際化(元のSDR化)を希求していた中国政府は、悪化している状況でも元を切り下げた。しかし中長期的にも元安は進むし、中国経済の不景気は長期化するであろう。このチャイナリスクは、すぐにもグローバルリスクとなり世界全体を揺るがすことになる、と覚悟しておくべきだ。


 

と言ったところが、小生の偏見と独断でまとめた津上俊哉氏の論考の内容であるが、結論的に言えば、「中国経済は不透明で、景気の低迷は長引く。そしてそのチャイナリスクは世界に広がり、グローバルリスクに結びつく。」と言うものであった。

 

習近平元の国際化に執念を燃やしていた。いわゆるIMF国際通貨基金の特別引き出し権の構成通貨として認定してもらいたかったのである。これがSDRである。

 

なぜ中国が人民元の国際化を希求しているかと言うと、これは小生の偏見と独断での解釈であるが、[以上見てきたように中国は過剰投資で生産設備が過剰で景気が低迷している。そのため海外から資金を調達して、人の金でその設備の稼動と雇用を拡大させようと考えた。それがAIIBのアジアインフラ投資銀行なのである。そのカネの投資先は中国ではなく、一帯一路などで示されるように、開発途上国である。それにはどうしても人民元の国際化が必要である]と言ったストーリーを習近平は魂胆したのではないかと勘ぐっている。

 

しかしアメリカはSDRSpecial Drawing Rights、特別引き出し権)と言う一種の国際通貨の中で、最大の割合41.9%を占めている。そのアメリカIMFで拒否権を持っているにも拘らず、人民元SDR化を拒否しなかった

(続く)