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ならず者国家・中国、アレコレ!(26)

それは、新築住宅価格の上昇が止まったことであった。先にも紹介した日本経済新聞社の「中国バブル崩壊」によると、20149,10,11と3ヵ月連続で、主要70都市で新築住宅価格上昇が見られなかったと言う。住宅市況の不振は、不動産関連投資の終焉を意味して、景気の減速感が愈々強まってきたことになる。不動産バブル崩壊である。土地譲渡収入の伸びは、既に2013年には急激に鈍っていたのであるが、2014年後半には減少に転じていった、と記されている。

 

個人も企業もさることながら、地方財政も行き詰っていた。地方政府も土地を売って金を工面して公共工事を行っていたが、その土地の使用権を売ってその歳入に当てていた割合は、約3割にも達していたと言う。その回転が止まりだしたので。地方政府は早々に資金繰りに、当然行き詰まってしまった。

 

地方政府が資金繰りに困り、ばたばたと倒産したらそれこそ一大事である。そのため習近平政権は、大慌てで金融緩和に走ったのである。

 

即ち地方政府の借金返済の負担を軽くするための、大幅な金融緩和であった。

 

地方政府が借金を借り替えるためのカネを工面するために、大量の債券の発行を特別に認める特例を制定したのである。更には先の日経編の書籍によれば、中国人民銀行2014.11月以降毎月のように金融緩和策を講じていった。2015.8月までに5回もの利下げを実施し、今年になって3回(2,4,9月)もの預金準備率引き下げている

 

4兆元(約57兆円)もの経済対策は、5年ほどの中国景気を維持して来たが、そろそろ下降局面になりつつあった。4兆元の大半は公共工事・不動産関連に投資されたが、それもそろそろ飽和状態となり、不動産価格の上昇が止まりだした。2014年の秋ごろからは新築住宅価格が下落を始める。それに伴い、土地譲渡収入に頼っていた地方政府は土地財政がほころび始めた。

 

地方政府の破綻は、習近平政権にとっては一大事である。一挙に社会不安が爆発しかねないからだ。そのため、習近平政権は、大慌てで金回りをよくする必要に迫られた。習近平政権の最大テーマは経済問題となった。8月の北戴河会議8/6~8/16は経済問題一色だったと言われていることが、その証拠である。

 

ルイスの転換点に突入       2012~2013年頃(完全雇用、賃金上昇、過剰設備)

新築住宅価格の下落        2014.10~

土地譲渡収入の減少        2014.10~  2014.10~12月、20%減少

政府による利下げ金融緩和)   2014.11~2015.8月まで毎月実施

借金借り換え債券発行許可     2014.~2015.初(推定)

預金準備率全面的引き下げ    2015.2,4,9

元の切り下げ(約2%、結局4.5%2015.8.11(輸出増対策か)

人民元SDR化           2015.11.30(外に向かって需要を求める、過剰設備のはけ口)


 

このような状況は、中国政府による苦しい景気対策の状況をあらわしている。

 

このような状況であるから、中国景気はおいそれとは回復はしないであろう。

 

そして金融緩和を背景に、不動産に向かっていた資金は、株式市場へとなだれ込むことになった。

 

この「中国不動産バブルの崩壊」に伴い、この中国の余剰資金不動産市場から株式市場へと流入し、株式市場がバブル化し飽和する事になる。株式の下落が始まると、今度はそのカネは再び不動産市場への流れ込む。シャドーバンキングなども急速に膨らみ、住宅市場が供給過剰から不振になると再びカネは株式市場へと向かうのである、と記されている。この歴史は繰り返されると言う。不動産指市場と株式市場との間で、景気の主体が行き来するのである。

 

このことは、中国では革新的成長が生まれ難い状況にあることを示しているのではないのかな。これこそが共産党一党支配による最大の弊害なのであろう。人民にによる自由な発想が乏しくなってしまうのである。一党独裁下では、新しい発想でのカネの使い道が、なかなか見つからないのである。だからこの局面を打開するには、全国民の自由な発想が最も必要となるのである。しかし共産党一党独裁体制では、中国の場合はその人民(国民にあらず)の自由な発想と言うものが、常に抑圧されている結果、誠に乏しくならざるを得ないのである。

 

習近平政権は、この行き詰まりを「新常態」と位置づけて、何とか人民の目を誤魔化そうとしていると見える。


 

中国「新常態」という異常事態
改革開放を超える大転換か、経済崩壊のシグナルか

2015311日(水)  福島 香織

 中国の国会にあたる全国人民代表大会35から開幕し、李克強首相は政府活動報告で、中国の経済成長率目標7%前後に引き下げ、「中国の経済状況が新常態(ニューノーマル)に入った」と位置付けた。この首相の新常態宣言は、鄧小平の改革開放以来の30年の中国の高度経済成長に終わりを告げる低成長宣言」と受け取る向きもあれば、鄧小平の改革開放以来続いてきた経済構造を痛み覚悟で転換するというシグナルと受け取る向きもある。左派経済学者の郎咸平などは、「習総書記の語る『新常態』は鄧小平の南巡講話以上の影響力」とも言っていたが、果たして「新常態」とは、どういう状況をいうのだろうか。そして、その「新常態」とはいつまで続くのだろうか。

新状態に適応し、戦略上の平常心を保て

 習近平が最初に「新常態」という言葉を使ったのは20145河南視察旅行中の発言だ。「中国の発展は依然重要な戦略的チャンスの時期にあり、我々は自信を強化し、目下の中国経済発展の段階的特徴から出発して新常態に適応し、戦略上の平常心を保ち続けなければならない(更に次のように続く。---戦略上は各種のリスクを重視して防ぎ、早めに策を練り、雨が降る前に雨戸を修理し、対応措置をタイミングよくとり、マイナスの影響をできるかぎり小さくせねばならない。---日本経済新聞社の「中国バブル崩壊56頁による)」。

 この新常態の理念について、さらに具体的に説明されたのはその年の11APEC商工サミットでの「発展の持久を求め、アジア太平洋の夢をともに築こう」という演説の中で、「新常態は中国のさらなる発展のチャンスをもたらすものなのだ」と発言。新常態の六つの特徴とは、1高速成長から中高速成長への転換 2経済構造の不断のレベルアップ 3経済の牽引力を投資駆動からイノベーション駆動へ転換 4中国経済の新常態の出現 5中国政治の新常態の出現 6中国社会建設の新常態の出現、とした。

 この新常態中国の発展にもたらす状況として、四つ挙げられている。

 1経済成長は緩やかに減速するが、たとえ7%前後に落ちても、その経済規模総量にしろ成長率にしろ、全世界の中で上位に入る2成長動力が多元化し、各種のリスクに対応する能力がつくようになる。新型工業化、情報化、農村の都会化、農業の現代化などにより、成長に伴う各種の悩みを緩和できる。3経済構造のレベルアップにより、消費の経済成長の貢献度は投資を超え、サービス産業の占める割合は第二次産業を超える。ハイテク産業と装備製造業の成長速度が工業の平均的成長速度を上回り、GDP単位あたりのエネルギー消費が下降し効率化する。4政府の「簡政放権」(認可などの手続きの簡略化、権力の干渉の減少)により、市場が活性化し、企業登録制度改革により新企業数が増加する。

 さらに、新常態には九つの特徴があるという。

 1模倣型横並び消費(みんなが持っているから買う、人気の少数商品が市場を席巻するような消費)の段階が終わり、個性化、多様化消費が主流となる。2基礎インフラの相互連携による新技術、新産品、新業態、新ビジネスモデルの投資機会が続々とできる。3低コストが売りの業態からハイレベル品質が売りの業態に転換し、大規模な企業の海外進出が同時に起きる。4新興産業、サービス業、マイクロビジネスがさらに突出し、生産小型化、知能化、専業化が産業組織の新たな特徴となる。5人口高齢化が進むことで農業の余剰人口が減少し、低賃金労働に頼る経済成長から人の能力資質、技術進歩に頼る経済成長に転換する。6単純な質と量による市場競争から、差異化を主とした競争に転向する。7エコ・省エネ型の低炭素循環型経済の発展方式を推進しなければならない。8経済リスクはおおむねコントロールできるが、ハイレバレッジとバブル化がもたらすリスクの解消にはしばらくかかる。9生産過剰問題はすでに緩和しているが、市場メカニズム作用の発揮を通じて未来型産業の発展方向を探らねばならない。

(続く)