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ならず者国家・中国、アレコレ!(32)

この”主要先進国が強調して行動しなければ、”と言うことは何を意味するのであろうか。まさか中国に何らかの援助をしよう、などと言うことではないであろう。中国の下振れの影響を各国でうまく裁け、と言うことなのか。それとも中国にもっとしっかりと対策をせよときつく督促することなのか。いずれにしても、その具体策については小生には直ぐには思いつかない。何はともあれ難しいことであろう。

 

まあこれを機会に、中国に市場の自由化への機運が高まれば、この上ない事ではある。その上、中国自体が民主化してゆけば、海外からの投資も活発となる可能性はある。そうなれば中国経済も持ち直すことであろう。しかし、中国にはそんな気配はないから、中国経済の困難な状況には変わりないことであろう。

 

ただし「ルイスの転換点」を経過した中国では、もう余剰労働力に頼った「世界の工場」タイプの経済成長は望めない。習近平はこの状態を「新常態」と呼び、低成長に備えよと呼びかけている。しかもこの新常態の低成長時代から脱却するためには人々の総意と工夫が必要で、そのためには人の能力資質、技術進歩に頼る経済成長に頼るしかないとまで言っている。これを経済の構造改革と呼び、「内需主導の経済構造に体質を変えるため、市場経済をさらに進める」(中国バブル崩壊」日本経済新聞社編、59ページ)とも言っている。しかもさらにその先には、「中国の夢・中華民族の復興」が存在していると、扇動までしている。

 

これは何を意味するのか”と言うと、習近平政権は、こんなところで中国経済が足踏みしているととんでもないことが起こってしまう、と危惧しているのであろう。中国は経済成長を推し進めて漸く世界第二位の経済大国となったが、その内情は火の車だろう。そのためいわゆる「中進国のわな」にはまりつつあることを、感じ取っているのである。

 

中進国のわな」と言うのは、中国バブル崩壊」(日本経済新聞社編、60ページ)によれば、

 

一人当たり国内総生産GDP)が3000ドルから1万ドル程度の国を指す。歴史を振り返ると、低所得国から中所得国に脱皮できた国は多いが、さらに高所得国への発展できた国は比較的少ない。

韓国や台湾は1990年後半にわなに陥れかけたが、その後に電気・自動車産業を中核に産業の高度化をなし遂げ、高所得国・地域の仲間入れを果たした。一方でブラジル、アルゼンチン、タイ、マレーシアなどは伸び悩んでいる。習指導部が新常態と呼ぶ中国経済はこの分岐点を迎えている可能性がある。

中所得国のわなに関し、ある中国要人の154月末の発言が注目を集めた。「今後5~10年の間に(中国が)中所得国のわなに陥る可能性はとても大きい。私は五分五分だとさえ思う

発言の主は中国の財務政策の責任者で、改革派の一人と目される楼継偉財政相だ。出身校である名門大・精華大学が開いたシンポジウムで自説を展開した。共産党・政府が自らの正当性を主張し続ける中国で、現職の当局者がリスクを赤裸々に語るのは珍しい。

 

と記述している。「中進国のわな」は、リスクなのである。

 

このわなに陥らないために楼継偉財政相は、五つの措置が必要だと指摘していると、この日経の「中国バブル崩壊」は続けている。

 

その内容を自分なりにまとめてみると次の様になる。

 

(1) 農業改革の実施  その中身は

 

  ⅰ、農民の都市移動(2次・3次産業)を容易にする。(労務費の引き下げ)
  ⅱ、戸籍改革農村戸籍都市戸籍への変更の容易化で都市化を進める。

  ⅲ、土地制度改革。農地の売却の自由化。

 

(2) 労使関係の改革。自由な雇用契約の推進。

(3) 社会保障制度の充実。高齢化対策。

 

この太字の五つがその措置の内容であるが、これを見ると、なんとなく資本主義化の趣があるように感じられるが、お上のやることなので実施されずに済まされてしまうのがオチなのかと思われる。

 

中国では歴史的に作り上げられた社会制度自体が構造改革のネックになるようで、まずべースとなる社会構造(共産党支配)の改革が必要なのである。その上で漸く、「中進国のわな」からの脱出のための施策を実行することにならざるを得ないのだろう、と小生は考える。

 

即ちイノベーション・技術革新の遂行による経済発展への脱皮である。

 

この事は習近平政権もよく判っているようで、技術革新・イノベーションに頼った経済成長を唱えだしたのだが、果たしてうまく行くのか見ものである。即ち技術革新・イノベーションの遂行によって、「中進国の罠」からの脱出を意図している(ようだ)。

 

5中全会では、経済にはそのイノベーション第一だと、言い出している。

(続く)