読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ならず者国家・中国、アレコレ!(64)

本土から留学した女性、悲痛の思い語る

 

f:id:altairposeidon:20160224153609j:plain

事件を聞いて駆け付けた常連客も多い 

 

 店の外には海外のメディアもかけつけていたが、シャッターが閉じられており店内に人影は見られなかった。

 客と思しき人が次々と訪れては、シャッターが閉まったままの書店を眺め、苦悶に満ちた表情を浮かべながら帰っていく。その中の一人、30代の女性に話を聞いた。

 王さん(仮名)は現在、香港ではなく中国本土に住んでおり、事件の一報を知人から聞き、いてもたってもいられず駆け付けたという。学生時代に香港に留学生として訪れて学び、銅鑼灣書店にはよく通っていた。留学時代、香港は既に中国へ返還された後であったが、言論や表現の自由が許された社会を体感して「いつかは中国全体が香港のようになればいい」と考えるようになったという。

 留学を終えて中国本土に戻って働くも、その後の展開は王さんが思い描いていたものとは正反対になった。香港の自由は奪われ、強大な中国本土に呑み込まれつつある。

 1997年に英国から返還された際、香港は50年間、高度な自治権を有する特別行政区として社会主義の制度と政策を実施せず、従来の資本主義制度と生活様式を保持するという「一国二制度」が約束された。

 資本主義はもちろん、これまで通り言論の自由も保証されるべきである。だが、現実は異なる。自由はどんどん失われていると香港の人々は感じている。

 2014928から約3カ月間にわたって普通選挙の実施を求める大規模デモ「雨傘運動」が実施され、世界が注目した。その中心にいた一人、学生運動家の周庭(アグネス・チャウ)氏は2日、自身のフェースブックページで香港の現状を嘆いた。

 「香港はもはや(かつての)香港ではない。名前だけ」

 彼女の投稿は、22000件を超える「いいね」を集め、13000件近くシェアされるなど、若者を中心に共感を呼んでいる。

台湾総統選挙にも影響か

 香港の次は台湾――。

 台湾と海を挟んだ先にある中国福建省に長く勤務した国家主席の視線は、確実に台湾を捉えているだろう。昨年11月には、1949年の中台分裂後初めて、トップ会談が実現した。その台湾では今月16日、トップを決める総統選挙が実施される。経済的にも離れがたい存在の中国本土との距離感。詰め寄ってくるであろう中国に対し、次期トップがどう対応するかに注目が集まる。

 現状、親中派の与党・国民党の候補である朱立倫主席の支持率は低く、中国とは一定の距離感を保つ現状維持派の最大野党・民進党の候補、蔡英文主席が支持を集めている。中台トップ会談の後、蔡氏の支持率はさらに上昇した。台湾の人々にとって、中国との距離を縮めるのは本意ではないようだ。

 肥大化する中国とその影響力。言論の自由だけでなく、自治権までもが侵された可能性がある香港の事件は、今月予定されている台湾の総統選挙の投票にも影響を及ぼす可能性がある。

 

ニュースを斬る

日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/010500199/?P=1

 

 

一国二制度」などと言う都合のよい言葉は、中国の策略なのである。数年は忠実に(でもないが)一国二制度を守るのであるが、世間がそれに慣れると(馴れると)、そんなことは守らなくなり自国の都合のよいように中国は振る舞うようになる。まあ、これも中国の「策略」である。

 

習近平は、周到に準備して「一国二制度」の打ちこわしを遂行している。中国の懐に入ってしまった香港としては、どうすることもできない。第二の天安門事件をおこす覚悟で、中国当局と当たることぐらいしかないであろう、と外部から軽く言ってしまって申し訳ないが、英国、スウェーデン米国からの厳しい批判や非難が必要となろう。それでもどうにもならないが、やらないよりもマシである。

(続く)