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ならず者国家・中国、アレコレ!(70)

ことほど左様に中国の政治・社会は滅茶苦茶な面があるが、中国の国家戦略としては確固たるものをもっている。それは世界に「覇」を極めることである。アメリカにとって代わって世界に君臨すると言う事である。しかもすぐにではなくて、十分に力を蓄えてから「覇」を唱えよう、と言う計画なのである。共産党中国政府は十分に力を蓄えてアメリカを追い越すのに、中華人民共和国が出来てから百年はかかる、とみている。1949年に建国しているから、2049年が目標年となる。即ち2049年には中国はアメリカを凌駕して、世界で唯一の覇権国家として「覇権」を振り回している、と言うのが、中国の「百年目標」(百年マラソン)である。そのためにはあらゆる手練手管を駆使して、必要となる科学技術は手に入れることになる。サイバーはもちろん政治・外交的な行為から恐喝、殺人、騙し、虚偽、盗み、暴動、ハニートラップ、同情・哀れみをはじめなんでもありの方法で必要なものを、持っている国から盗んでくることを国家戦略としてやっていくことになる。

 

(注)このことは、中国共産党「日本開放第二期工作要綱」(全文)に事細かく記載されている。細部は小生のブログ・「中国の不法で無法な夢(1~(2014.11.1~) を参照願う。習近平のいう「強中国夢」(強い中国になるという夢)と言う「中国の夢」とはこんなものなのである。

 

またこの「中国の夢」は、2013.3.5~の第12全人代習近平が、「中華民族の偉大な復興・中国の夢」をぶち上げたものであった。詳しくはないが、このブログの第一回、2015.11.16で言及しているのでご承知のことと思う。

 

この「覇権主義」は中国の古代王朝から引き続いているものであるが、それがいわゆる「中華思想」であり、中国にとっては体に染みついているものである。

 

4大文明の一つとして黄河流域に栄えた文明のことを我々は学校で学んできたが、いわゆる黄河文明以降古来からの中国歴代王朝は、自分たちこそが世界の中心に位置していると間違った考えを持つにいたった。確かに東アジアでは当時としては進んだ文明を形成していたかもしれないが、地球的に見れば、数ある文明の一つに過ぎない。少なく見ても4つの文明の一つに過ぎないのだが。

 

それを勘違いして漢民族は優れている、世界の中心にいて最も進んだ文明を誇っていると考えた。これが「中華思想」で、そのうちに世界の中心にいる国としてこじつけて、中国と言う言い方になっていったようだ。だから周囲の国のことは、夷荻(いてき)と呼んだ。いわゆる華夷思想である。

 

昔からのこのような思想を、今でも、中国共産党政府は後生大事に護持している。

 

今の言葉でいうと、覇権主義である。共産党中国は世界の中心に位置する国であってしかるべきである。力のないときはじっと我慢して、力をつけて来たらそのことを実現させよう、世界の中心に君臨しよう、と言う考えで国の政策を遂行している。現在はそろそろ頭角を現してもよい時期になったのではないのか、と考えて習近平国慶節でもないのに軍事パレードを大々的に執り行ったものである。力がついてきたと思っているから、習近平はまことに頭が高いのである。

 

今まではその野心を隠していただけであった。これを「韜光養晦」と言う。この「とうこうようかい」とは、”才能や野心を隠して、古い覇権を油断させて倒し、復讐を果たす”と言う事だと、「China 2049」(The Hundred-year Marathon,Michael Pillsbury氏、日経BP社、P55)は言っている。ここでいう「旧い覇権」とはアメリカのことを指すのだが、肝心のアメリカは中国のこの考えに気づかずに中国にかなりの支援してしまっていた。アメリカから中国の必要とする技術・知識・理論などを(さも信用できる友達だとだまくらかして)、盗んだり頂いたりするために特に鄧小平が唱えたものであるが、これは中国の春秋戦国時代からある弱い国が強い敵を倒して「」を握るための哲学となっている。

 

当時のアメリカはソ連と対峙しており、中国のことにはあまり注意が行き届いていなかった。その中国は当時の覇権国・ソ連から技術・知識・理論などをいただこうとして接近していたが、ソ連は中国の魂胆を十分弁えていたので、それほどの便宜を与えなかった。そのことをアメリカは知らずに中国とソ連を天秤にかけて値踏みをしていたが、中国は少なくともアメリカの敵にはならないとアメリカをだまし続けていた。そしてソ連が崩壊したのち、ソ連を凌駕した覇権国・アメリカの友達の振りをして、今度はアメリカから技術・知識・理論などを盗んでいった。騙されて続けたアメリカはそのため、それ相応以上の支援を中国に秘密裏に与えていったのである。

 

「米中の秘密協力はレーガン政権時にピークに達した。ニクソンとフォードはソ連の情報を中国に提供した。カーターは、チェスナット盗聴作戦を確立した。だが、秘密裏にではあるが、中国を戦略上の対等なパートナーとして遇したのはレーガンだった。」とP119には記されている。

 

 

China 2049」によればアメリカは12もの便宜を、秘密裏に中国に与えていった、と言う。

 

小生の理解によれば正しくはないかもしれないが、それは次の12項目である。

 

  1. 1971.7月のキッシンジャーの北京訪問後、第三次印パ戦争についてのインド軍の詳細な機密情報を提供して、中国によるパキスタン支援まで認めた。(P93~94

  2. 1972.1月には、この印パ戦争の間中ソ国境でのソ連の脅威を取り除き阻止することを試みる、とアレクサンダー・ヘイグを通じて伝えている。(P94

  3. 1972.2月のニクソン訪中時に、ニクソンは中ソ対立では中国側に立つと表明して、(P95

  4. キッシンジャーをして中ソ国境沿いのソ連軍の核戦力を含む情報を提供した。(P95~96

  5. 1973.2ニクソンは中国に対して(ソ連による)攻撃があれば、米国は中国に協力する用意があると表明している。(P97~98

  6. 1973.6月アメリカがソ連とかわす合意と同じものを中国とも交わすことを約束し、さらに英国経由で(米国の法律を回避のため)技術も提供することを決めている。(P98

  7. 1973.11キッシンジャーは北京でソ連が中国を攻撃してきた場合、装備や他のサービス、例えば高度なレーダー技術も提供することを提案した。この提案に中国は、米ソ戦争に中国を巻き込むためのものではないかと、疑ったという。その後どうなったかは書かれていない。(P100~101
    アメリカは中国が民衆の敵とみなしていたダライ・ラマに対するCIAの秘密支援を打ち切り、台湾海峡の定期的パトロールも中止した。(P107

  8. 1978年鄧小平はアメリカの科学・技術の拝借のため、ジミー・カーターに狙いを定めて接近した。カーター大統領の下、1979.1.1米中は国交を正式に回復した。訪米した鄧小平副総理は米国とのハイレベルな政治交流を獲得し、アメリカは中国の科学者にあらゆる種類の科学的・技術的知識を提供することになり、結果的にアメリカの科学的・技術的専門知識の史上最大の流出となった。(P111~112

  9. 1978年の大統領指令43により、教育、エネルギー、農業、宇宙、地学、商業、公衆衛生の分野において、アメリカの進んだ科学技術を中国に伝えるための多数のプログラムが創設され、さらには最恵国待遇まで与えられた。(P112

 10.  1979年には中国にCIAの支局が設立され中国北西部に対ソ信号傍受施
        
設まで設立している。「チェスナット作戦」と呼ばれた。(P116

    11. 1982年から1989年にかけてアメリカとベトナム共和国軍は、中国、タ
        
イ、シンガポール マレーシアの支援を受けてカンボジアプログラム
         
バンコクで展開した。ソ連は北ベトナムとアフガニスタンを取り込ん
        
中国包囲網を作っていた。中国はそれを破りたくてアメリカと組んだも
         のであった。(P117

この結果ソ連1989年にアフガニスタンから撤退し、ベトナムからも撤退していった。

    12. 1985年アメリカは中国のマラソンを支援するために、武器さえ提供する
         ようになり人民
解放軍の近代化を大々的に支援した。1986.3月には
         
ガン政権は、遺伝子工学知能ロボット工学、人工知能、自動化、バ
         
オテクノロジー、レーザー、スーパーコンピーター、宇宙工学、有人
         
宙飛行に焦点を当てた中国の八つの国立研究センターの設立を支援
         
た。
          ほどなく中国は、一万を超すプロジェクトで著しい進歩を遂げた。

 
それらは中国のマラソン戦略に取って極めて重要なものだった。(P122

 

この結果中国は各プロジェクトで著しい進歩を遂げた。このような西側からの支援がなければ中国の進歩は到底成し遂げなかった筈だ。レーガン政権は、中国がソ連に対抗できると信じ、自由化を進めているという中国の主張を信じようとした。中国は敵(ソ連の敵(米国)の力を利用して、敵(ソ連)の包囲網を破ることに成功したのである。やがてソ連は解体した。
アメリカは中国が信頼できる友人になれると、中国から騙され続けていた。ソ連の脅威
から解放された中国は、初めて本来の「覇=敵」アメリカと対峙することになるとは、アメリカは知る由もなかった。今の中国は(馬鹿な)アメリカが作ったようなものであった。

 

そして今度は中国がロシアからアメリカまでも包囲しようとしている。「一帯一路」やAIIBなどは、逆にアメリカまで包囲しようとする策略ではないか、と思われるのである。

さもなくば2049年に「百年目標」など達成できる筈もない。

(続く)