ならず者国家・中国、アレコレ!(80)

中国のマラソン戦略が首尾よく進行するためには、日本と言う国が邪魔で仕方がないようだ。その証拠に、日本固有の領土である尖閣諸島近海へ常時海洋監視船を派遣してきている。そして2013.11.23には、東シナ海に防衛識別圏(ADIZ)を設定したのだ。しかしながらアメリカが派遣した2機のB52戦略爆撃機に、その防衛識別圏内を自由に飛び回られてしまった。この防衛識別圏は、張子の虎であった。これに懲りた中国は、南シナ海だけでもと、サンゴ礁を埋め立ててレーダー基地を作り戦闘機まで常駐させ始めた。そして日本の国力を弱めるために、日本を悪者に仕立てるために、日本をはじめアジア全域に捏造話を流し始めた。「日本のタカ派は密かに1930年代の軍国主義を復活させようとしている。それを看破し、タカ派を政治的に無力にしなければならない」と言うものだ。China 2049P311

 

そして日本もそれなりの手を打っている。

 

2013年、ますます横暴になっている中国に対抗するために、アメリカと日本は安保体制の強化に合意した。「アメリカは今後も環太平洋地域で重要な国でり続ける」と言う決意を表明するためだ。この合意により、米海軍の偵察機が日本に送られ、尖閣諸島一帯をパトロールすることになった。・・・・・アメリカは尖閣諸島をめぐる論争でどちらかに味方することを拒んでいるが、日米安全保障条約は日本が攻撃された場合、その防衛に協力することを誓っており、それが尖閣諸島にも適応されることをオバマ政権は保障する、とヘーゲル国防長官は明言した。China 2049P313

 

 

そしてここでは、我々がやってはいけないこと又はやってゆかなければならないことを、3つ挙げている。

 

(1) 我々が最もやってはいけないことは、「中国を過大評価することだ。中国を過大評価すると、中国はうぬぼれて何をしでかすかわからなくなる恐れがある」ということである。まあそんなことだけではなくて、過大評価がその対応を間違えてしまって取り返しがつかないことになってしまうことを恐れる、と言うことであろう。

 

(2) 特に安倍晋三首相の補佐官たちに強調したいのは、中国で書かれた中国語の生の資料をもっと入手し、それらを読み込むべきだ、彼らが何をどのように考えているかを知るべきである。

 

(3) 中国内のタカ派ハト派を見分けることは極めて難しいが、ハト派であり中国国内の改革派を支援していくことだ。中国共産党は失敗に学ぶ力を持っているので、持続性がある。しかし中国内には改革派は必ずいるので、よく見極めて彼らを支援して、その共産党の持続性を弱めてゆくことが必須である。

 

 

さてそろそろこのテーマも終盤に近付いてきた。

 

M.ビルズベリー氏の第3回インタビューの末尾で言及している、日本にも参考になると言う米国が取るべき12の方針を紹介して、このブログを終えよう。

 

アメリカは嘗ての冷戦時代には、数々の計画や戦術を駆使して、冷戦に勝利している。ソ連邦が崩壊して、ロシアは丸裸にされた。同じ方法で、アメリカは中国の桁外れ野望を打ち砕くことが出来るであろう。そのための一案は言うまでもなく、政策立案者が中国古来の知恵と戦略を学び、中国が何をしてきたかを知ることだ、とM.ピルスベリー氏は言っている。そして米国がとるべき12の方針を述べている。

 

 

第1段階 問題を認識する

 

北京の指導者がアメリカに見せたい中国は、真の中国ではない。アメリカの政治や世論をリードする人々は、中国人から送られる「メッセージ」と、根底にある事実を見分ける必要がある。

 

中国の経済が成長すれば、中国は欧米諸国のように開けた国になる、と言う中国政府の繰り返す主張を信ずるべきではなかった。

そうでないとアメリカは、中国のマラソンに負ける。

 

第2段階 己の才能を知る

 

毎年、アメリカは税金のかなり額が、中国の発展を支援するために使われている。この支援はほとんどは、目立たないように遂行されているため、メディアや国民は気付いていない。意図的にそうしているからだ。・・・・・

マラソンで中国に対抗するには、中国を支援する機関や省のすべてに、毎年の報告義務を負わせるべきだ。

 

そうすれば中国に批判的な人々に明確な理論武装を与えることが出来る。

 

まあなんと生ぬるいことを言っていることだと、小生には思えるのだが、自由な国アメリカなので言うに言われぬ理由が必要なのであろう。

 

第3段階 競争力を測定する

 

競争で前を走るものを抜くには、自分がなぜ後れを取ったかを知る必要がある。毎年、中国はアメリカとの比較における自国の競争力を分析している。なぜ、アメリカも同じことをしないのだろうか。 ・・・・・一方、中国は、政府が製造業と工業に多額の資金投入をするなどの理由から、トップに居続けるという予測が、詳しく書かれている。

 

第4段階 競争戦略を考え出す

 

戦国の戦略ではしばしば、指揮官がどのように「修正」を受け入れて、気宇層相手より迅速に力を増していくかが語られる。重要なのは、戦略を変えるべき時を見極め、望む結果を売るために新たな戦略を断行する柔軟さである。・・・・・中国の技術力の進歩を、1957年にソ連が打ち上げたスプートニク人工衛星と比較した。スプートニクは、アメリカの技術的優位と軍事的優位への挑戦とみなされたが、それかアメリカの工学と科学教育への投資と、民間セクターの革新を促したことに、ヒューズは注目した。

 

そうだ、遅れていたアメリカだったが、宇宙競争ではその遅れを挽回してソ連を打ち負かした実績を持っている。中国に対しても、やればできないことはない。

 

第5段階 国内で共通性を見出す

 

戦国時代のリーダーたちは、同盟国と親密な関係を結び、共通の目的のもと、絶え間なく変わる協力体制を作り上げた。昔も今も分裂は危険である。・・・北京の中国人学者は、自国の対中政策を批判するアメリカ人は政治的見解の相違から分裂し、決して互いに協力しようとしないということを、嬉々としてわたしに語ってきた。・・・・・中国を変えていくために、アメリカ人は垣根を超えて大々的に手を結ぶべきだ。

 

第6段階 国家の縦の協力体制を作り上げる

 

中国が南シナ海に関する要求を拡大し、フィリピンの漁船を脅かし、ベトナム地震石油探査船が施設中のケーブルを切断し、さらに、最近になって東シナ海防空識別圏を設定したのには理由がある。その一帯の豊富な天然資源を狙う中国は、近隣諸国が団結して中国の野望を妨害しないよう威嚇しているのだ。・・・・・中国もまた、近隣諸国がそのような同盟を結ぶことを恐れている。アメリカはまさにそれを、モンゴル、韓国、日本、フィリピンなどの国々と進めるべきだ。

 

第7段階 政治的反体制派を守る

 

ソ連を崩壊に導いたのは、ソ連や東欧の反体制主義者で、彼らは検閲や宣伝工作、宗教迫害、経済的奴隷化が永遠に続く未来を拒み、戦った。・・・・・彼らは、勇気と情熱、信念を武器として、ソビエト連邦鉄のカーテンを崩壊させた。しかし彼らは自分たちだけでそれを成し遂げたわけではない。トルーマンからレーガンへと続く大統領たちが、彼らを擁護したのだ。

・・・・・

下院議員のナンシー・ペロシやジョージ・Wブッシュ大統領は・・・彼らを支持した。だが、残念ながらオバマ大統領は支援を求めるフーの嘆願に沈黙で答えたそうだ。オバマ大統領は、中国の人権問題を中国政府が気にかけている貿易関係などの問題と結びつけようとしなかった。オバマ政権は、2009年4月に胡錦濤国家主席と開催した「戦略経済対話」に人権を盛り込むことさえしなかったのだ。

 

そうだ、オバマ大統領は、まさしく史上最大のおバカ大統領だったのだ。

 

第8段階 対米競争的行為に立ち向かう

 

中国はアメリカに対するサイバースパイの主たる発信源だ。ある推定によると、アメリカに対するサイバースパイ事件の90%以上が、中国を発信元としている。中国ハッカーは、頻繁にアメリカの企業や政府機関に侵入する。・・・・・知的所有権の窃盗はアメリカ経済に毎年3000億ドル以上の損害を与えているそうだ。

・・・・・

機密技術や軍事機密、知的財産権の窃盗に関するウルフの強い懸念は非常に重要なものだ。もしアメリカが100年マラソンで中国と張り合うつもりなら、ウルフの提案を復活させ、さらに発展させる方法を見出す必要があるだろう。

 

日本もこの中国のサイバー攻撃に対しては、もっともっと金と人でをかけて、防御すべきである。

(続く)