続・次世代エコカー・本命は?(7)

ここでトヨタFCVMIRAI」とホンダFCVCLARITY FUEL CELL」との性能比較をしてみよう。5年以上も早く開発を始めたホンダの方に、一分の進歩があるのかな?

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ホンダの燃料電池のセルの数がいくつかわからなかったが、小型化したと言っているので多分トヨタ370セルよりも少ないのであろうと思っていたが、先の4/6に紹介した記事では約400としていた。しかしFC燃料電池)スタックの出力は、トヨタの方が少し大きくなっている。

 

しかしモーターの出力はホンダの方が大きいが、トルクはホンダの方がやや小さい。

 

搭載電池はホンダがリチウムイオンに対して、トヨタHEVで使っているニッケル水素である。その関係でモーター出力に違いが出ているものなのか?

 

もう一つ特徴的なことは、水素タンクである。

 

トヨタ60L62.4Lとほぼ同じ容量のタンク2を搭載しているのに対して、ホンダは24L117Lと言う大と小の二つのタンクである。これは搭載場所による狭さのためにそうなったものであろうが、ホンダの方がトヨタより19L程余分に水素を積んでいる。この結果航続距離も伸びて(それだけではないだろうが)750km(←トヨタ650km)となっているようだ。

 

ちなみにホンダの水素タンクの合計容量は141.0L750kmの航続距離としているので、これに対してトヨタMIRAIはタンク容量122.4Lで航続距離は650kmとされている。なんとなく750kmの方が性能が良いように感じられるが、さにあらん、計算してみればまったく同等なのである。

 

ホンダの水素燃費?750km÷141L=5.357km/Lとなるので、MIRAIと同じ量の水素での走行距離は、5.357km/L×122.4L=651.06kmとなり、トヨタMIRAIの航続距離と全く同じとなる。だからホンダの「CLARITY FUEL CELL」の航続距離が750kmだからと言って、トヨタMIRAIより性能が良いなどと思わない方がよい。ただ水素タンクの暈がMIRAIよりも18.6L=141-122.4)程大きかっただけであったのである。まあそのためMIRAIよりも長い距離をノンストップで走ることができるのであるが、600km~700kmと言う長距離になれば、どちらも似たかよったかではないのかな、と思われるのである。水素を18.6L余分に積んでいることが性能が良いとなれば、その通りであるのだが効率ということからすれば両車のFCは全く同一性能であった。

 

カットモデルの写真をみると、後席下のタンクは極小でその後ろのタンクはかなり大きく写っている。

いずれもストレートにつながっているフレームの間に収められている。

 

車体は、全幅が60mm、全長が25mm程、ホンダ車の方がデカく、堂々としたものとなっている。

 

ただ燃料電池スタックと駆動モーターなどのパワートレインの小型化に成功したおかげで、それらをすべてボンネット内に収めることができているので、車体がでかい割には全高はMIRAIよりも55mmも低くしている。

 

そして「ミライ」の4人乗りに対して「クラリティ FC」は5人乗りとなっている。モーターショーの場でトヨタの説明員に聞いた話では、「十分5人乗りに出来たのだが、5人乗る頻度を考え更にはゆったり感を持たせるために敢えて4人乗りにした」と、言っていた。まあそんなところだと思われるが、体験試乗会でのこの「ミライ」の運転感覚は格段によく、これなら保有してみたいなと本気に思ったほどだ。クラウン程の図体であったが、まるで小型車を運転しているような感覚で違和感などはまるでなかった。

 

まあそんなわけだから、後席下の水素タンクの直径を少し小さくして座面を厚くして5人乗りとし、後席後ろの水素タンクの直径を更に大きくして水素を多く積むようにすれば、750kmの航続距離の確保も可能となるの筈であるが、まあそんなことをしてまでやる必要はないか。

 

 

「クラリティ FC」も、次の論考でも言っているように更に車両の小型化を進めるためには、これらのパワーユニット全体をもっともっと小さくしなければ成り立たなくなってしまう。V6エンジン相当の大きさだと言うが、ボンネットだけでかくてその他は小さいと言ったクルマは成り立たないからだが、そもそもそれらのパワーユニットはすでにCセグメントに適した大きさになっているということか。そうであれば大したものだ。

 

ただ燃料電池、モーター、コントロールユニットなどがそれほど小型化出来ていなければ、いわゆるプリウスクラスのCセグメントの車両は作れないことになる。

 

このクラスのクルマでいうと、プリウスアクセラインプレッサ、ゴルフなどでは、FCVは作れないと言うことになってしまう。このクラスはEVで我慢せよ、ということには納得できないでしょう。

 

だからもちろん小型化は必要となるが、燃料電池は床下に、そして駆動モーターとコントロールユニットはボンネットなどに搭載して、更に水素タンクも載せて、いわゆるCセグメントの車両を開発することは十分にあり、と考えられるのではないのかな。全長が5m近い大型車でなければ、燃料電池車はできないとなるとエコカーとは言えないものと、小生は考えているのである。

 

今後の技術革新が期待されるところである。そこらへんも含んで、次の論考も参考に掲載する。

(続く)