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続・次世代エコカー・本命は?(30)

謝罪から電動へ、“New Volkswagen”へ第一声
VW
社が2台のEVコンセプトを公開

久米 秀尚

2016/01/07 19:02

 

 「truly sorry」━━。ドイツVolkswagenVW)社の基調講演は、謝罪の言葉でスタートした。

 同社で乗用車部門を率いるHerbert Diess氏は201615日、米ラスベガスで開催される米国最大のコンシューマーエレクトロニクス関連の展示会「2016 International CES」に登壇した(図1)。ほぼ満席に埋まった会場のステージに立ったDiess氏は、真っ先にディーゼルエンジンEA189」を中心とした排ガス不正問題を詫びた関連記事 ↓)。
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/120900013/122500017/?P=1

 「今回の件でお客様や米国の人々を失望させてしまい、本当に申し訳ありません。心よりお詫び申し上げます」——。

1 CESの基調講演のステージに立ったVW社乗用車部門トップのHerbert Diess

[画像のクリックで拡大表示] VW謝罪1_Dx

 実はCESでの基調講演の前日、VW社による排ガス不正問題に新たな展開があった。同年14日、米司法省が米国内で排ガス規制を違法に逃れていたとしてVW社を民事提訴したのである。VWブランドやAudiブランドなど約60万台のディーゼルエンジン車が対象となる。1台あたり最大で37500ドル(1ドル=120円換算で450万円)の制裁金を求めた。数兆円規模の罰金の支払いが求められる可能性がある。

 こうした状況を受けてDiess氏は、「(不正の)明らかにし、できる限りの保証をし、世界中のお客様や当局のために、技術的な救済策を見つけるために昼夜を問わず作業に取り組んでいる」と語った。そして、「全ての要素で再定義と再構築を進め、“New Volkswagenとして進めていきたい」(同氏)と言葉を継いだ(図2)。

2 “New Volkswagen”をアピール

[画像のクリックで拡大表示] VWアピール2_Dx

 “New Volkswagen”として生まれ変わるべく、今回の基調講演では今後注力する四つのキーワードをアピールした。それが、1電動車両(Electric mobility2インターネットへの常時接続(Fully connected3自動運転(Automated Driving4ユーザー体験(User experience、である。

 中でも、VW社が重要視しているのが電動車両の開発だ。すでに、これまでディーゼル重視だった軸足を電動車両へと移す方針転換を発表済み。基調講演では、2台の電気自動車EV)のコンセプトを世界初披露した。

 1台目のコンセプト車である「e-Golf Touch」は、ジェスチャー入力機能や音声入力機能など「ユーザー体験の向上を特に意識した車両」(VWHead of Electric and Electronic DevelopmentVolkmar Tanneberger氏)である(図3)。Diess氏は「とても近い将来に登場する」と述べ、早期に市場投入する考えを示した。

3 ジェスチャー入力や音声入力などの機能を搭載した「e-Golf Touch

[画像のクリックで拡大表示] VWeタッチ3_Dx

 もう1台が「BUDD-e」だ(図4)。日本では「ワーゲンバス」の愛称で知られるマイクロバス「Type 2」をEVとして蘇らせたもの。開発を進めている電動化ツールキットModular Electric Drive KitMEB)」を初めて採用した車両だ。床下のリチウムイオン電池を配置し、NEDC(新欧州ドライビングサイクル)モードにおいて533kmの航続距離を実現した。

4 ワーゲンバスEV版「BUDD-e

 

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/event/15/121400021/010600027/=1

 

 

VWは不正発覚の直後の2015.10.13に、環境戦略の転換を発表している。ディーゼルエンジンから電動車両に軸足を移す訳だ。

 

 

Volkswagenが戦略を転換、ディーゼルから電動化へ

櫛谷 さえ子     関連記事14

2015/10/16 17:31

 

次期モデルはEVとなる高級車Phaeton

[画像のクリックで拡大表示]

 ドイツVolkswagen社は20151013Volkswagen乗用車ブランドの経営委員会で今後の環境戦略の転換を決めたと発表した。排ガス規制不正回避問題を受けてディーゼルエンジン車の売り上げ減少が見込まれ、これまでディーゼル重視だった軸足を電動車両へと移す。また、投資計画も毎年10億ユーロを削減して効率化を図るとしている。

 ディーゼル戦略は、できるだけ早く欧州と北米のディーゼルエンジン車に尿素剤「AdBlueを使ったSCR(選択還元触媒)技術を取り入れることになった。これが最も優れた排ガス処理システム用環境技術になるとしている。

 VWグループで商品開発の中心となる開発手法「MQB(横置きエンジン車用モジュールマトリックス」をさらに発展させるため、標準化した技術ツールキットの開発を推進する。このツールキットの開発はVolkswagen Passenger Cars が責任を持つ。ディーゼル、ガソリン、CNGエンジン車の効率化を目指すとともに、航続距離が長いプラグインハイブリッド車1回の充電で300kmを走行できる電気自動車48Vシステムのマイルドハイブリッド車など電動車両の開発に注力する。また、自動車のコネクティビティ運転支援システムの新基準を設定する。

 電気自動車では、小型車セグメントをEV化するためのMEB電動化ツールキットを開発する。既存の車両構造で得た経験に基づき、すべてのモデルとボディ構造に合うように開発する。乗用車と小型商用車の両方に適応するツールキットとなり、グループ内の電気自動車プロジェクトとの相乗効果を狙う。標準化されたシステムで、モデルによってEV走行距離を250500kmとする。

 また、Fセグメントのラグジュアリーカー「Phaeton(フェートン)」の次期モデルは電気自動車になる。長い航続距離を実現する電気駆動システムや次世代支援システムを搭載し、2020年代に向けてブランドの先進性を表わすフラグシップ車とする。

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/101600762/?d=1460564652175

(続く)