続・次世代エコカー・本命は?(54)

さてナカニシ自動車産業リサーチ 代表兼アナリスト 中西孝樹氏は、先の論考で、マツダトヨタと提携することにより外資に乗っ取られることが無くなりよかった、と言った趣旨のことを述べていたが、その証拠に、トヨタマツダの提携に関しては具体的なテーマがあって提携したものではなかった。具体的なテーマは何も定まっていなかったにも拘わらず、提携を発表している。何をするかは今後検討委員会で検討する、と言う事になっている。

 

だから外資の問題に言及しているのであるが、その懸念は大なり小なりスズキにも、あの三菱にも当てはまる。

 

スズキは今トヨタと深く静かに潜航して交渉中であり、三菱は日産が手を差し伸べているので、日本の自動車メーカーが外資に乗っ取られると言う事はなくなっている、と思っても良かろう。

 

しかしよく考えてみなくても、日産自動車はある意味外資にのっとられている会社なのである。

日産は、株式43.4%%をフランス・ルノー3.1%ダイムラーが保有している外資企業になってしまっている。幸い今は日本の日産本体の調子が良いので、それほどルノーなどの外資の影響はないかもしれないが、いったん状況が変われば日産と言えどもルノーに何をされるか分かったものではないのではなかろうか。

 

そうしてみると純粋の日本の自動車メーカーは、期せずして燃料電池車を販売しているトヨタホンダの2社になってしまっている。

 

その外資系の日産がつぶれかかった三菱に手を差し伸べたのだがその話はあとにして、取りあえずは、3度目の不正となった三菱自動車の記者会見の様子から。

その記者会見は2016.4.2017時から国土交通省で開かれている。

 

 

三菱自動車、燃費試験の不正発覚

自社用で15.7万台、日産向けに46.8万台の計62.5万台が対象

  • 近岡 裕

  • 2016/04/20 20:05

三菱自動車、燃費試験の不正発覚



1◎苦渋の表情を見せる三菱自動車社長の相川氏

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2◎燃費試験の不正行為を謝罪する社長の相川氏(中央)、副社長の中尾氏(左)、開発本部長の横幕氏(右)の3

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 燃費を510%分良くみせる不正があった──。三菱自動車2016420、軽自動車の型式認証取得において燃費試験に使うデータに対する不正を行っていたことを明らかにした。同日17国土交通省で会見を開いた同社取締役社長兼最高執行責任者COO)の相川哲郎氏は「意図的な不正があった」ことを認めた(図1)。

 現在、日本では燃費を台上試験で評価する際に走行抵抗値というデータから負荷(等価慣性質量)を決める。その走行抵抗値を不正に操作した。対象車種は、20136から同社が自社向けに生産している「eKワゴン」と「eKスペース」と、日産自動車に供給して同社が販売する「デイズ」と「デイズルークス」の4車種。20163月末時点で、「eKワゴン」と「eKスペース」は累計157000台が、「デイズ」と「デイズルークス」は累計468000台が販売されている。

 会見では、相川氏の他、三菱自動車取締役副社長で、品質統括部門長、開発担当の中尾龍吾氏、同社執行役員開発本部長の横幕康次氏が出席して謝罪した(図2)。

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/042001727/

 

 

三菱の軽自動車4車種の燃費を、10%程よくするような不正があった、と言う事である。

 

例えば「ekワゴン」の燃費は、2015/10にようやく30.4km/Lに達しているが、スズキのワゴンR2013/7にすでに30.0km/Lを達成していたのである。しかも実際には「ekワゴン」の実燃費は(10%の水増しだとすれば)27.4km/L程であったので、三菱の技術陣は見劣りしないように燃費を改ざんするより仕方がなかった、と言う事だったのであろう。

 

ダイハツの「ムーブ」も、201412~の6代目のLA150型の燃費も、NA2WD車で、前期型の29.0km/LJC08モード)だったものを31.0km/Lと伸ばしてきているのである。

 

VWディーゼル車での「ディフィート・デバイス(無効化装置)」による排ガス不正にびっくりしたわけであるが、まさか日本の自動車メーカーでも同じような不正が行われていたと言う事でこれまた大びっくりであった。

 

 

やり切れない三菱自動車の燃費偽装
事業構造の抜本的な再構築が不可避

2016422日(金)鶴原 吉郎

 

会見で説明する中尾龍吾副社長(左)、相川哲郎社長(中央)、横幕康次執行役員開発本部長(右)

 やはり、書かなければならないだろう。420に発表された、三菱自動車燃費偽装事件のことだ。記者発表が行われた当日の夜、筆者は別の打ち合わせがあって現場に行けなかったのだが、インターネットの実況中継を見ていた。そして見れば見るほどやりきれない気持ちになった。規模の小さい完成車メーカーが今の競争環境の中で生き残っていくことが、いかに厳しいかをひしひしと感じたからだ。

 まずは何が起こったのかをおさらいしておこう。不正の対象となったのは、20136月から三菱自動車で生産している「eKワゴン」「eKスペース」と、同じ車種を日産自動車向けにOEM供給している「デイズ」「デイズルークス」の4車種。三菱自動車向けの15万7000台と、日産自動車向けの468000台の、合計625000である(20163月末現在)。

 事件の内容は、三菱自動車国土交通省に提出した燃費試験データについて、燃費を実際よりも良く見せるため、不正な操作を行っていたというもの。具体的には、燃費を測定するときに使用する「走行抵抗」の値を実際よりも小さくすることで、燃費の測定値が実際よりも良くなるようにしていた。実際の燃費との乖離がどの程度なのかは現在社内で調査中ということだが、これまでに得られたデータでは510かさ上げされていたという。

 また、非常にややこしいことに、「走行抵抗」の測定方法自体も、「高速惰行法」という米国向けの手法が採られていたことが今回明らかになった。国内向けでは「惰行法」という別の方法で走行抵抗を測定することになっているので、この行為自体が法令違反となる。この走行抵抗の測定方法の違反は、今回問題になった軽自動車以外でも判明しており、2002年以降に発売された車種では「ミラージュ」「デリカD:5」、「アウトランダーPHEV」以外の車種はすべて国内法規とは異なる方法で測定した走行抵抗が燃費の算出に使われていたという。

(続く)