続・次世代エコカー・本命は?(58)

昨年度は復活の手応えをつかんだが

 日本経済をけん引する自動車メーカーだが、会社ごとの成長曲線は大きく異なる。下のグラフを見ていただきたい。

 三菱自1990年代に黄金期を迎え、営業利益が富士重工業マツダ、スズキを上回っていた。

 2000年以降、紆余曲折がありながらも競合他社は経営努力で、大きな成長を遂げてきた。

 その一方で、三菱自オリンピック周期不正を繰り返し、上昇の機会を逸し続けた

 同社は2014年度の営業利益が1359億円と過去最高を更新した。ついに成長軌道に入ったと思われた矢先に、新たな不正が発覚してしまった。しかも、今後のブランド戦略の核としていた環境性能を、自ら傷つけてしまった格好だ。

 今後の業績について、相川社長は「我々としても手が付けられない状況。国内でどのくらい影響が広がるか見通せない」と語った。

自動車各社の営業利益

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三菱自動車2000年度以降、オリンピックの開催年ごとに業績を悪化させてきた

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 不正の影響は軽自動車4車種にとどまらず、さらに広がるかもしれない。同社は多くの車種について、日本で認められていない手法で燃費測定の基になる走行抵抗値を測定していたことを明らかにした。ほぼすべての車種で、不正があった可能性がある。

 三菱自動車は法令順守を徹底し、隠ぺい体質を根絶できなければ2020年の東京五輪を迎えられないかもしれない

このコラムについて

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日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/042100321/?P=1

 

 

 三菱自動車は法令順守を徹底し、隠ぺい体質を根絶できなければ、2020年の東京五輪を迎えられないかもしれない」と結んでいるが、この記事は2016422日(金)のものであり、日産が資本提携を発表したのは2016512日(木)のことである。日産・ルノーがどのように三菱自を料理するかはわからないが、結局はルノー日産自動車・三菱工場として東京五輪を迎えることになるのではないのかな。

 

まあ中国企業に身売りされることにはならなかったと言う事で、メデタシめでたしと言う事ではないのかな。まあ日産としても背後に存在する大三菱の息のかかった会社をどう料理してゆくのか、見ものである。うまく料理してゆけば、日産は三菱商事などの販売網を有効に使えることになり、相当なメリットを享受することが出来る訳だ。

 

日産と三菱自動車は、軽自動車製造の合弁会社株式会社NMKVを共同で設立していることからも分かるように、それなりに近い関係を維持していた様だ。NMKV2011に設立されているから、それ以前から親密な関係となっていたものと思われる。日産のカルロス・ゴーンと三菱の益子修会長とは以前から親しい関係にあったから、共同での会社設立もスムースに進んだものと思われる。

 

それにもまして、ルノー・日産のゴーンには、新ビッグ3に早く追いつきたいと言う願望、と言うよりも野望があったようだ。早く一千万台クラブに入りたかったのだ。

 

参考までに日産と三菱の販売台数を見てみよう。

 

 

        2014年販売台数

ルノー・日産  8,471千台(暦年)・・・日産グループは5,318千台。

三菱自動車   1,090千台(年度)

  Total     9,561千台

ルノー・日産(http://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2015/_STORY/150204-01-j.html)より

三菱自動車http://www.mitsubishi-motors.com/jp/investors/individual/about.html)より

 

 

暦年と年度ではあるが、これは2014年の両社の販売台数である。合わせると一千万台グループにようやく仲間入り出来る台数となることが判る。既に2015年の販売台数も分かっている筈であるが、まだ一千万台には届いていない筈だ。

 

だからカルロス・ゴーンが狙っているのは、一つは、一千万台クラブへの入会ではないのかな。VWがスズキを子会社化扱いした目的と、期せずして同じことをゴーンは狙っていたのであろう。

 

 

日産、三菱自34%出資し筆頭株主に 燃費不正での経営悪化、日産傘下で再建へ
2016.5.12 13:41


日産の傘下に入る三菱自動車本社=東京都港区

 三菱自動車(2016.5.)12に取締役会を開き、日産自動車との資本業務提携の交渉入りを決めたことが12日分かった。日産が2千億円超を出資し、三菱自株の34%程度を取得して筆頭株主になる見込み。燃費データ不正問題で経営悪化が避けられない三菱自は、日産の傘下に入り再建を目指す。

 日産は12日午前、「本日の取締役会の議論のひとつとする」とコメント。三菱自も「取締役会で議論する」と発表していた。

 両社は平成23に軽自動車の企画、開発を手掛ける共同出資会社を設立。資本関係はなかったが、日産は提携で三菱自の水島製作所(岡山県)で製造する軽の供給を確保する狙い。三菱自が主力とする東南アジアなどの生産・販売でも協力する見込み。出資比率が3分の1を超える34%になれば、会社の重要決定事項に拒否権を確保できるなど、強く経営参画できる。

 一方、三菱自は出資を受け入れ、不正問題で悪化が見込まれる財務体質を強化する。両社が注力する電気自動車EVなど環境対応車の開発加速につなげる考えだ。

 三菱自1216リコール隠し後の経営危機で、現在の筆頭株主三菱重工業など三菱グループの金融支援を受けた。だが、今回の不正問題は、生産・販売での相乗効果が大きい日産の主導で再生が進むとみられる。

 国内自動車業界では、トヨタ自動車マツダが昨年、環境技術や安全技術分野を中心に包括提携で基本合意トヨタが今年8月に軽市場トップのダイハツ工業を完全子会社化するなど、小型車や環境対応車を軸とした再編の動きが活発になっている。
http://www.sankei.com/economy/news/160512/ecn1605120031-n1.html
(続く)