ここに挙げられている著名な研究者は、錚々たるメンバーなのであろう。トヨタの本気度、と言うか豊田章男社長の本気度が判ると言うものである。彼らには「出来る限り自由に研究開発が出来る環境を提供する」と言っているようだ。そしてそのために、 5年間で10億ドル(約1200億円)を投じると言っている。
人工知能AIとロボット工学のオールスター、と言った表現も見受けられた有力メンバー達。
Gill Pratt CEO(最高経営責任者)DARPAでロボット競技会のプロジェクトマネジャー(PM)
James Kuffner氏Googleのロボティクス部門長を務めていた、ロボティクス分野の有力研究者
Ken Goldberg教授米California大学バークレー校のロボット研究者、クラウドロボティクス
Eric Krotkov氏DARPAのPMを務めていた。TRIのCOO(最高執行責任者)
Larry Jackel氏米Bell Labsの部門長やDARPAのPM、機械学習研究のアドバイザー
John Leonard氏MIT教授、自動運転の研究責任者
Russ Tedrake氏MIT助教授、シミュレーションと制御の研究責任者
そして主な研究テーマは、次の4つであると言う。
(1) 事故を起こさない車づくり
(2) 運転が困難に人でも運転しやすい車づくり
(3) 介護用ロボットなどの屋内用ロボットの開発
(4) AIや機械学習の知見を利用した科学的・原理的な研究
このほかにもスタンフォード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)との連携研究や外部の企業や団体との連携にも力を入れると言う事のようだ。
(http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/event/15/121400021/010600018/?P=1 などを参照のこと。)
そしてトヨタは、高速道路での自動運転は2020年頃を目標としているようだが、すでにその実験車両は2015年10月に、デモ走行映像とともに公開している。
次を参照されるとよい。
(20年に高速道路へ トヨタ「自動運転車」の実像
ではなぜ突然に、これほどまでにトヨタは自動運転に注力しだしたのか。
自動運転で出遅れたトヨタ、ギアチェンジの裏側何が豊田社長の心境を変化させたか
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米デトロイトの北米国際自動車ショーで初披露となったレクサス「LC500」に乗るトヨタ自動車の豊田社長(11日) Photo: Brian Widdis for The Wall Street Journal
By
YOKO KUBOTA
2016 年 1 月 13 日 12:23 JST
2015年9月、トヨタ自動車・東京本社にある豊田章男社長のオフィスに3人の幹部が入った。3人には、トヨタも、無人運転の可能性も含む自動運転車を作るという目標を受け入れる必要があると考え、社長に抜本的な変化を求めようとしていた。カーレースの熱狂的ファンで、自らもハンドルやアクセルを操作するのが好きな豊田氏は長く抵抗してきた。
3人は社長室で豊田社長と向き合った。参加者の1人は当時を振り返り、ミニカーやレース用ヘルメットが飾られた豊田氏のオフィスが、まるで10代の少年の部屋のようだったと話した。彼らは社長を説得するのに長時間を費やす覚悟だった。
ただ、豊田氏はすでに考えを変えていた。
参加者の1人によると、豊田氏は「何を難しく考えているのだ」と語った。「とにかく色んな人が、自由に移動できることが大事なのだ」
北米国際自動車ショー(2016.1.11Mon.~1.24Sun.)が開かれているデトロイトでインタビューに応じた豊田氏は、自分自身の中に大きな考え方の変化があったと話した。この変化は1年以上前、格好良い自動車に乗りたがっているパラリンピックの選手たちと会った時に起こったという。同氏は心境の変化を公にしたのはそれから随分後のことだった。
豊田氏は「トヨタにも自動運転に対する参加意義、それから参加する大きなリソースがあると思う」と語った。
トヨタの創業者の孫である豊田氏の方針転換は業界革命の一翼を担うものだ。安価なガソリンや米国での記録的販売など、自動車会社の事業は好調さを示している。とはいえ、自動車メーカーにはテクノロジーの変化の波に飲みこまれかねないという不安がつきまとう。
世界市場で一歩先んじようとする競争が繰り広げられる中(http://jp.wsj.com/articles/SB11055450168849313420504581461020011671128)、伝統的な自動車各社はソフトウエア会社が自動車の魂と収益性の両方を奪い取ってしまい、自分たちはスマートフォン(スマホ)を受託生産する中国の工場のような地位に追いやってしまうのではと恐れている。
米グーグルの親会社アルファベットは自動運転車を開発中で、アップルは2019年までに電気自動車(EV)の出荷を開始する目標を設定したという。これらIT企業に加え、配車サービスの米ウーバー・テクノロジーズのような新興企業も未来の自動車に率先して向かっているのだ。
米テスラ・モーターズなどが生産するEVの台頭(http://jp.wsj.com/articles/SB11055450168849313420504581457121883062738)は、内燃エンジンと長年蓄積されたエンジニアリング技術を脇に追いやることで、自動車産業の参入障壁を引き下げた。
世界的な自動車大手の中には新参者との間に架け橋を築く企業もある。米ゼネラル・モーターズ(GM)が相乗りサービスを手掛ける米リフトに5億ドルを投じた(http://jp.wsj.com/articles/SB11055450168849313420504581458280097682232)ほか、関係者によると フォード・モーターも自動運転技術の採用でグーグルとの提携を目指している(http://jp.wsj.com/articles/SB10421733196172483684504581433192276295996)という。
トヨタほどこの挑戦が克明に描き出されている企業はない。トヨタは販売台数でも利益でも世界最大の自動車メーカーだ。トヨタの販売台数は年間1000万台以上となり、純利益は2016年3月期に190億ドルになると見込まれている。
ただ、同社の現旧幹部らによると、信頼性と生産能力という従来の強みの外の分野に競争の場が移っているという不安が、トヨタ内部でも徐々に強まってきたという。
自動車排気系システム大手のフタバ産業に昨年異動するまでトヨタの役員を務めていた吉貴寛良氏は、「自分の土俵で勝負している限りは強くても、そこに対して全く別のところから思いもかけなかった形での参入者が来て、盤石だと思っていたゲームのルールが変わってしまう。そうすると、今まで古いゲームのルールで一番強かったところがすぐにやられてしまう」と話した。
過去4年間、トヨタの経営陣はグーグルからの極秘の申し入れを断り、一部でタブー視されている「自動運転」という言葉をどう扱うか頭を悩ませてきた。
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グーグル本社がある米マウンテンビューでデモ運転が行われた自動運転車の試作車 Photo: Tony Avelar/Associated Press
(続く)