ディーゼル不正問題で揺れたVWがトヨタを抜き世界一の販売台数になった理由とは?
投稿日: 2017年1月12日 TEXT: 山本晋也
中国を中心にアジア太平洋地域での販売増が大きく影響
フォルクスワーゲン・グループの2016年暦年のグローバル販売台数が1031万2400台となることが発表された。悲願の1000万台オーバーを実現し、初めてトップとなることが確実視されている。
2015年には北米に端を発したディーゼルエンジンのエミッション不正問題、いわゆる「ディーゼルゲート」があり、後半失速したフォルクスワーゲンだが、2016年はフォルクスワーゲンの乗用車だけでも598万7800台と前年比2.8%増。売上を伸ばしている。
ちなみに、フォルクスワーゲン・グループに含まれるのはフォルクスワーゲンのほか、アウディ、ポルシェ、シュコダ、セアト、ランボルギーニ、ベントレー、ブガッティ、スカニア、MANといったブランド。
とはいえプレミアムブランドの販売台数は少なく、アウディ(2016年の販売台数は187万1300台)、シュコダ(同112万7700台)、セアト(同41万200台)、ポルシェ(23万7800台)、フォルクスワーゲン商用車(同48万100台)といったブランドで台数を稼いでいる。
地域別のセールスでみると、前年比12.2%増の中国を含むアジア太平洋地域で431万8700台も売っているのが目立つ。ちなみにヨーロッパ地域は前年比4.0%増の420万6500台で、フォルクスワーゲン・グループにとってアジア太平洋地域のほうが市場は大きくなっているのだ。
ディーゼル不正問題のアメリカ市場は数字を落としたがそれでも回復傾向にある
「ディーゼルゲート」について、まだ片が付いたとはいえないアメリカ市場は2.6%減となっているが、その販売台数は59万1100台。ヨーロッパや中国市場と比べると桁がひとつ小さい市場なのだ。なお北米においても徐々に回復傾向にあるという。
そのほか、市場自体のシュリンクにより、ロシアが前年比4.3%減、ブラジルは33.9%減となっているが、いずれも15から25万台規模の市場であり、全体としての影響は少ない。
つまり、フォルクスワーゲン・グループの販売台数が1000万台を超えたのは、中国市場が前年比12.2%増の398万2200台と大幅に伸びたことが原動力となったといえる。
一方、2015年まで4年連続で世界ナンバーワンの販売台数を誇ったトヨタ・グループの世界販売台数は1000万台を超えるものの、フォルクスワーゲン・グループには届かない模様だ。
トヨタとしては、2016年に愛知製鋼の事故や熊本地震の影響による操業停止があったことも、トップを明け渡す原因のひとつになっているといえそうだ。
もっとも、前述したようにフォルクスワーゲン・グループが多数のブランドを抱えているのに対して、トヨタ・グループの販売台数というのはトヨタ、レクサス、ダイハツ、日野の4ブランドの販売台数を合計したものである。
基本的には協業戦略をとるトヨタだが、資本比率を高め合算対象になるメーカー(ブランド)が増えるようなことがあれば、またトップ争いの状況は変わっていくだろう。
https://www.webcartop.jp/2017/01/64647/2
まあトヨタがトップから陥落した原因、言い換えればVWがトヨタからトップの座を奪い取った理由は、諸々の原因があり一概には決めかねるものである。
(続く)