続続・次世代エコカー・本命は?(32)

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【記者の目】 心地よい運転 グレード設定に疑問

内装はシンプル。「ECO(エコ)」「S(スポーツ)」などのモード変更は、シフトノブ近くに配置されたスイッチで行う

内装はシンプル。「ECO(エコ)」「S(スポーツ)」などのモード変更は、シフトノブ近くに配置されたスイッチで行う

 「eパワー」は心地よく運転できる。日産がアピールポイントにあげる「自分の足を操っているかのような一体感」「運転が楽で楽しい」というのは掛け値ない。モーターだけで十分な加速力を発揮する。「S(スポーツ)」モードなどでは、ほとんどアクセルペダル操作だけで運転でき、「ECO(エコ)」モードでは燃費を良くするための運転を積極的に楽しめる。特殊な運転感覚だけでなく、普通のガソリン車と同様の運転感覚の「ノーマル」モードがあるのもうれしい。連続コーナーを調子に乗って飛ばすと、ボディー剛性や足回り性能がついてきていないのを痛感させられるが、約177万円から選べるコンパクト車としては上々の加速感だ。

 ただ、その最も安い177万円の「eパワーS」は内情を知れば、ほとんど誰も買わないグレードだ。車両重量を減らすことでモード燃費を良くして、入り口価格を下げることで注目度を高める戦略で、日産だけでなく、各社も同様なことを繰り返してきた産物だ。特に価格志向、燃費志向が強いコンパクト車、軽自動車では、よくみられる。「eパワーS」ではガソリンタンク容量は他の2グレードより6L少なくし、エアコン、後席のパワーウインドー、後席のボトルホルダー付きドアポケットは不採用、ガソリン車の最廉価グレードにも標準装備している自動ブレーキさえも外した。多くのオプション装備にも対応できない。諸元表や装備表をじっくり見ないとわかりにくいが、そもそもカタログ上でもホームページ上でも「eパワーS」の露出度は低い。ディーラーでも最初から推奨しないだろう。最量販グレードの「eパワーX」は何とか200万円割れにもってきたのだから、ここから勝負してほしかった。(広光貢一)

【製品の仕様】

 

対象商品

ベンチマーク商品

製品名/社名

ノート e-POWER(eパワー)/日産自動車

アクア/トヨタ自動車

価格

17722802244240

1761382210109円(Gs除く)

発売日

201611月2日

201412月8日一部改良

 

以下、「e-POWER X」(1959120円)

以下、「X-URBAN」(210109円)

大きさ

全長4100×全幅1695×全高1520mm

全長4030×全幅1695×全高1490mm

エンジン・排気量

直列3気筒DOHC1198cc(発電用)

直列4気筒DOHC1496cc

エンジン最高出力

58kW79PS/5400rpm(発電用)

54kW74PS/4800rpm

モーター最高出力

80kW109PS

45kW61PS

燃費(JC08モード)

34.0km/L

33.8km/L

ホイールベース

2600mm

2550mm

車両重量

1210kg

1090kg

最小回転半径

4.9m

5.4m

 「新製品 プロが解剖」では注目の新製品を選び、同業他社や、卸・小売店の担当者ら流通関係者、大学教授や評論家などの専門家に1品目について3~5人に評価を依頼しています。チャート図は、日経産業新聞の「解剖 ニューフェース」面でご覧いただけます。コンセプト、新規性、技術革新度、生活提案性、性能・品質、デザイン、環境・健康への配慮度、価格メリットといった12の項目をベンチマーク製品(競合製品)と比較して採点しています。

http://www.nikkei.com/article/DGXKZO10444180Y6A201C1X42000/

 

 

エンジン・ミッションの改良とかモーター、バッテリーの性能向上とか、ボデーの重量軽減とか基本的な部分の改良にもっと力を注ぐべきであろう。

 

だから表面的な操作のために、実燃費ではアクアに負けてしまっているのではないのかな。

 

だから日産はシリーズ式ハイブリッド車ではなくて、ノートBEVを出すべきだったではないのかな。

まあノートクラスになれば、それほど航続距離が伸びなくても電気自動車としての価値は、認めてもらえるのではないのかな。例えば、三菱のi-MiEVのように180km程度の航続距離でも、十分使い勝手は良い電気自動車として認められるのではないのかな。あのリーフでも最初は200kmしか走らなかったのであるから(200km→228km→280km)。

 

とは言うものの売れれば良い訳で、2017.3月の新車登録台数は「日産ノート」がぶっちぎりのトップに立っている。これは大したものだ。メーカーも販売店もシャカリキに尻を叩き、叩かれて、新車を売りまくったものと思われる。通常月の5割増しどころか、6割から7割増しの販売増となっている。もともと3月は決算月でもありよく売れる月ではあるが、政策的に押し込んだ部分も多々あったかもしれないが、それにしてもよく売ったものである。

 

その点トヨタよりも日産の方が、強烈であったようだ。プリウスは新車効果が無くなったこともあるかもしれないが、前年比マイナス3割近くなっているので、それほど押し付けはやらなかったのでないのかな。まあ押し売りをやってもこんなものだったとしたら、それこそこれは大問題であろう。

 

 

 

新車乗用車販売台数月別ランキング

 

3月

 

4~3月

順位

ブランド通称名

ブランド名

台数

前年比

 

順位

ブランド通称名

ブランド名

台数

前年比

ノート

日産

24,383

178.2

 

プリウス

トヨタ

225,066

144.3

プリウス

トヨタ

22,447

71.4

 

アクア

トヨタ

155,566

80.9

アクア

トヨタ

17,798

76.3

 

シエンタ

トヨタ

127,392

140.8

C-HR

トヨタ

16,816

(28-12)

 

ノート

日産

123,938

129.9

フリード

ホンダ

14,799

319.5

 

フィット

ホンダ

98,923

88.3

セレナ

日産

14,577

192.7

 

ヴォクシー

トヨタ

92,421

99.9

シエンタ

トヨタ

13,336

103.5

 

セレナ

日産

90,369

150.5

ヴィッツ

トヨタ

12,654

128.9

 

カローラ

トヨタ

81,391

75.1

フィット

ホンダ

11,629

74.8

 

ヴィッツ

トヨタ

78,634

105.5

10

ヴォクシー

トヨタ

10,831

100.6

 

10

フリード

ホンダ

75,384

201.1

http://www.jada.or.jp/contents/data/ranking.html

 

 

技術の日産」と言っていたのでトップ102車種しかないことは、寂しい限りではあるが、これほどまでに「日産ノート」が売れまくっていれば、電気自動車などと横やりを入れなくても問題はなかろう。ただこれからの売れ行き動向とかセレナへの搭載などがどうなるかは、注視する必要がある。

(続く)