続続・次世代エコカー・本命は?(36)

日産・リーフのJC08モードでの航続距離は280kmであるが、今年2017年(末)投入の次期型リーフでは、350km~400kmに伸ばすと推定されている。まあこのくらいNO(ノー)充電で走れれば、先ずは御の字であろう。相当実用的なEVとなる。そして更には、

 

2020には、それを550kmまで伸ばすと見られている。この担当者はすでに開発済みと言っているが、すぐには発売できない事情があるのではないのかな。まずバッテリーは新開発されたものであるから、その耐久性や品質保証上の問題などまだ解決すべき問題が山積しているのではないのかな。それが2020年には解決されると、否解決しないといけれないとしているのであろう。何せバッテリーは厄介である。

 

 

20175月号 Automotive Report

エコカーの本命は「なぜPHEVか」
日産、エンジン並EV20年頃投入

  • 清水直茂

  • 2017/04/10 00:00

 

エコカーの本命は「なぜPHEVか」
日産、エンジン並EV20年頃投入

出典:日経Automotive20175月号、pp.14-16(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 日産自動車は、1回の充電あたりの航続距離が550km前後に達する電気自動車(EV2020年までに投入する検討に入った(図1)。「エコカーの本命」として、プラグインハイブリッド車PHEV)を推すトヨタ自動車。日産はEVの航続距離をエンジン車並みに延ばすことで、トヨタと真っ向勝負する。

1 日産はEVの航続距離をエンジン車並みに延ばす

a)リーフの航続距離。2010年の発売から少しずつ延ばしてきた。2020年までに550km前後に達しそうだ。2017年以降は本誌の推定値。(b2015年に発表したEVコンセプト車「IDS。電池容量は60kWhで、航続距離は550km程度に達する想定。

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 「十分な航続距離のEVができたときに、なぜPHEVがいるのか」──。

 日産で電動化技術の戦略をまとめる矢島和男氏EVHEV技術開発本部アライアンスグローバルダイレクター)は、トヨタへの対抗意識を口にする(図2)。PHEVは、日常の移動ではEV走行を主に据えて、長い距離を走るときにエンジンを併用するもの。EVの航続距離が延びて長距離走行時に充電する必要がなければ、充電用エンジンを搭載するPHEVの存在価値は低くなる。

2 エコカーの本命はEV

日産で電動化技術の戦略をまとめるキーパーソンが矢島和男氏(EVHEV技術開発本部アライアンスグローバルダイレクター)。同氏はPHEVではなくEVが優位とする考えを淡々と語る。

 PHEVに疑問を呈する日産の根拠が、EVの最大の課題である航続距離の問題を今後23年でほとんど解決できるとみていることだ。

 2017に投入する見込みの次期EV「リーフ」で、航続距離を現行の280kmJC08モード)から延ばして、350k400km(同)にするとみられる。価格は、補助金を引いた実質価格である約360万円を維持したい考えだ。

 2020までに、550km前後に達するEVの投入を検討する。現段階で、「現行リーフと同じ外形寸法で、荷室容量を維持したまま550km走れる試作車を開発済み」(矢島氏)だ。エネルギー密度を高めた新しい電池セルを使うことに加えて、電池パックに搭載するセルの充填密度を高めて実現する。

電池価格は1万円/kWh

 日産は、2010年に初代リーフを発売。2016年度までに、世界で150万台のEVを販売する目標を掲げた。だが、もくろみ通りにいかなかった。日産は「(これまで)30万台近くEVを売っており、世界最大のEVメーカー」(矢島氏)と語る。

 確かに少なくない数字だが、掲げた台数とのかい離は大きかった。日産のEV戦略を「失敗」と見る向きは多く、ハイブリッド車HV)の次のエコカーPHVで、EVはもっと先と見る機運が広がってしまった。

 日産の「失敗」を尻目に、トヨタ20172HVの次のエコカーの本命はPHVとぶち上げて、「プリウスPHV」を日本で発売した。形勢はPHVに一気に傾いたかに映る。

 だが、リーフを発売してから7年。ようやくEVに勝算が見えてきた。2020年にかけて、リチウムイオン電池の価格が大幅に下がることが大きい(図4)。矢島氏は、「2020年に1kWhあたり1万円になるだろう」と語る。リーフを発売した2010年時点で電池価格は、1kWhあたり89万円とされていた。10年間で10分の1近くまで劇的に下がるわけだ。

図4 車載向けリチウムイオン電池セルの価格推移を示した(図:取材を基に日経Automotiveが推定)

4 車載向けリチウムイオン電池セルの価格推移を示した(図:取材を基に日経Automotiveが推定)

PHVの“EV化”進む

 現行リーフの電力効率は、1kWh当たり約9km。今後投入するEVの電力効率が同じ程度と仮定すると、航続距離が550km前後に達するには60kWh程度の電池がいることになる。2020年ごろの電池価格は約60万円と試算できる。現行の国の補助金制度が続けば、実質価格で350万円程度の販売価格が見えてくる。地域によっては、さらに多額の補助金を用意する。

 現時点でのプリウスPHVの販売価格は日本で326万円から。十分に戦える水準と言える。電動車両を購入するときに、PHVではなくEVを選ぶ消費者は多くなるだろう。

 日産には次期リーフで、ユーザーの使い勝手を高める新機能を投入する考えもある。現行リーフに搭載する通信機能で集めたEVの走行データを生かして実現する。矢島氏は、「初代リーフから集めてきたビッグデータを蓄積し続けている。このデータを解析することで、(次期リーフに搭載する新機能の形が)おぼろげながら見えてきた」(矢島氏)と言う。

 なお矢島氏は電池価格について、1kWh当たり1万円を切る水準になると、価格の下落速度が小さくなると見ている。材料価格を積み上げた価格に近くなるからだ。「もっと安くするには、新しい技術が必要」(矢島氏)と考える。例えば、全固体電池電解質を固体にして安全性を高められることに加えて、電池電圧を上げてエネルギー密度を大きく高められる可能性がある。

 消費者がEVを選ぶ土壌が育ちつつあることも、EVを本命とする日産には追い風だ。201611月に日本で発売したシリーズハイブリッド機構「e-POWERを搭載した小型車「ノート」の販売が絶好調である。20172月までの平均販売台数は月14000台超に達し、プリウスに迫る。

 e-POWERはモーターのみで駆動し、ガソリンエンジンは発電だけに使う。走る感覚はEVそのもの。ノートの好調は、モーターによる“電気駆動”を歓迎する消費者が多いことを示す。電気駆動の“本家”と言えるリーフの次期型を開発するに際して、矢島氏は大きな手応えを感じていた。ノートの電気駆動に親しんだユーザーは、違和感なくEVに移れる。

 消費者のEVに対する期待は、着実に高まっている。PHVの“EV化”が進んでいるからだ。

 例えばトヨタは、新型プリウスPHVの開発に際して、当初予定していた航続距離を途中で変更して延ばした。もともとEV航続距離は40km程度の計画だったが、最終的に68.2kmにした。PHVを運転するときに、EVのようなモーター駆動を重視したいとする消費者の声が多かった。

 実のところトヨタの技術者の本音は、「PHVに大容量電池はいらない」というもの。車両価格が高まる上に、日常運転では40km程度のEV航続距離があれば十分だからだ。

 だが消費者や他社の動向を調査していた営業部門から、「EV航続距離をもっと延ばしてほしい」と言われる。電池容量を増やすと、電池パックが大きくなる。部品配置を大幅に見直さねばならない。トヨタは荷室容量を狭めて、航続距離を延ばした。大容量電池が要らないことがPHVの利点であるにもかかわらず、航続距離を競うEV開発の様相を呈している。

日産にPHV投入計画

 トヨタの技術者がPHVに「本来は必要ない」と考える急速充電機能についても、プリウスPHVに搭載した(図5)。PHVの“EV化”を象徴する。

図5 トヨタは「プリウスPHV」に急速充電。本来は必要ない機能と言えるが、顧客の要望には逆らえない

5 トヨタは「プリウスPHV」に急速充電。
本来は必要ない機能と言えるが、顧客の要望には逆らえない

 急速充電は、電欠すると走れなくなるEVには必須の機能である。だがエンジンを積むPHVでは、なくても問題ない。PHVの場合、電池残量が減るとモーター駆動とエンジン駆動を併用するハイブリッドモードに移行するからだ。だが同モードに移行したときにエンジンが動くのを嫌い、EVのように急速充電したいと望む声が多かったようだ。

 PHVのユーザーで、モーター駆動を重視したい要望が多く集まるのはトヨタに限らない。PHVにいち早く急速充電機能を搭載した三菱自動車(図6)。「アウトランダーPHEV」を手掛ける上平真氏(プロジェクトマネージメント本部商品開発プロジェクト主任)は、「PHVであるにもかかわらず、エンジンをかけないで走りたいという顧客がとても多かった」と採用の経緯を振り返る。

図6 三菱自動車が一部改良した「アウトランダーPHEV」。2017年3月に発表。EV航続距離は従来同様に60.8kmと、比較的長い

6 三菱自動車が一部改良した「アウトランダーPHEV」。20173月に発表。EV航続距離は従来同様に60.8kmと、比較的長い

 PHVへの対抗意識が強い日産だが、実はPHVを発売する計画がある。三菱自動車PHV技術を使って開発する。矢島氏は、「三菱自動車の技術者と話しを始めた」と明かす。

 背景にあるのは、環境規制への対応である。特に中国の「NEVNew Energy Vehicle)規制」を意識する。PHVを大きく優遇する見込みで、世界最大市場である中国の意向は無視できないと判断した。ただしPHVは、あくまで中国などの限られた地域に対応するニッチな車両と位置付ける。

 e-POWERを投入した2016年後半から、くしくもドイツ勢がEVの開発に邁進し始めた。EVを手掛ける「仲間」は一気に増えつつある。EVは「失敗」との厳しい声を受けながら、着々とEVを開発してきた日産に春は来るのか――。答えが出るのは少し先だが、冬の終わりは近づいている。

(日経Automotive 清水直茂)

[日経Automotive2017年5月号の記事を再構成]

 

 

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/mag/15/397260/040300156/

 

 

まあトヨタが「プリウスPHV」を2017.2.15に発売しているから、しかもEVとして68.2kmも走ると言うから、ある意味気が気ではないのでしょう。

 

しかもテスラの「モデル3」が今年中には発売されると言うし、その対抗上新型リーフの550kmをぶつけなければならない、と考えているとしても何にもおかしくない。

 

しかも自動運転機能を付けての販売となろう。

 

即ち、2018年には高速道路での複数レーンでの自動運転を可能とするとしているので、次期リーフの投入は2017年末ではなくて2018年のいつかになるのかも知れない。まあZEVはあまり関係はないが、2018年にはずれこまないであろうが、自動運転航続距離の延長350km~400kmの二つが同時に達成されれば、鬼に金棒と言ったところだ。これで一気にトヨタを引き離したい、と思っている筈だ。

 

ハイブリッドでは、既に「ノートe-POWER」がプリウスを凌駕しているから、次はEVでもトヨタを引き離したいと思っている筈だ。トヨタ2020年にはEVを投入すると言っているから、きっとそれに「新型リーフを当てたいのであろう。まあ、当然のことではあるが、自動運転2020年の550kmとくれば、トヨタも相当の脅威を感ずるであろう。

 

日産が新型「リーフ」の9月デビューを急遽発表!その理由と採用される新技術は?

2017/03/23 08:03 by Avanti Yasunori

日産自動車(以下日産)は一昨年、知能化により快適性と安全性を高めた自動運転を「日産インテリジェント ドライビング」と命名、それをPRするコンセプトカー「IDSコンセプト」を東京モーターショー15に出展しました。

2020年までに高速道路と市街地を走行できる自動運転車を商品化するとしており、数々の技術について、順次新型車に投入して行く考えを明らかにしています。

 

 

同社のロードマップによれば、昨夏新型セレナに搭載した単一レーン自動運転技術「パイロットドライブ1.0」に続き、来年には高速道路において複数レーンでの車線変更を自動で行いながら目的地まで向かう、自動運転技術「パイロットドライブ2.0」を商品化するとしています。

さらに2020には交差点を含む市街地での自動運転が可能な車両の商品化を計画しており、来年導入予定の「パイロットドライブ2.0」搭載モデルが次期「リーフ」と予想されています。

そうしたなか、日産の北米法人が39日、EVに関する公式ツイッターで、新型リーフを今年9月にワールドプレミアし、年内に発売すると発表しました(写真はジュネーブモーターショー15に出展された日産「Sway)。 日産

同社が新型「リーフ」の発表を半年前から告知するのは、米テスラが量販EVモデル3の受注を開始、今年後半のデリバリーを予定していることや、米カリフォルニア州ZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)法が改正され、2018年モデル(今夏以降の新車)に対するZEV基準が厳しくなるため、各メーカーが電動車販売拡大に向け、新型EVPHVを相次いで投入することが背景にあるようです。   ↓これはテスラのモデル3です。

情報によると、次期「リーフ」には「IDSコンセプト」のデザイン要素が織り込まれるようで、現行「リーフ」の車体前後形状をアレンジして新型風に仕立てた覆面車両が走行する様子も既にスクープされているようです。

フランクフルト・モーターショー17でのデビューが注目される次期「リーフ」ですが、次世代の「プロパイロット」機能の詳細も含め、続報が待たれます。

Avanti Yasunori・画像:NISSANTESLA

http://clicccar.com/2017/03/23/456459/2/

(続く)