続続・次世代エコカー・本命は?(54)

9トヨタ環境チャレンジ2050

 

 

2016.11.4に、今世紀末にはCO2の排出をゼロにすると言う国際的な枠組みの「バリ協定」が発効している。具体的には、地球の気温上昇を産業革命前に比べ2度未満とし、1.5度に抑える努力もする、と言う内容だ。

 

そのために日本は、省エネやCO2エネルギーへの転換によって「2030年度までに、2013年度比で、温室効果ガスの排出を26%削減」し、「2050年には、80%削減する」目標を掲げている。

 

自動車から排出されるCO2は、日本全体のCO218%程を占めていると言う。この削減対策は重要な課題である。

 

トヨタは率先してクルマからのCO2の排出削減に取り組んだ来た。1997年には世界で初めてハイブリット車プリウスを販売し、2014年には燃料電池車「ミライ」も発売している。しかしこれではこの削減目標には、到底追いつかないのだ。

 

そしてトヨタは、20151014に発表した「トヨタ環境チャレンジ2050」の必達を(このバリ協定で)半ば義務づけられたカタチとなった。この日本国の環境目標とトヨタの目標との整合性は、小生にとっては解らないとしか言いようがないが、トヨタとしては単なるチャレンジ目標から、必達目標として取り扱うことが求められることになった訳だ。いや、これ以上のことをしなければならないかも知れない。だから「トヨタ環境必達目標2050」となってしまったわけだ。2050年にはエンジンだけを動力とする新車の販売をゼロにする、と言う物である。

 

しからば「トヨタ環境チャレンジ2050」とはどんなものであろうか。

 

トヨタ自動車、「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表

 20151014http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/9886860/

 トヨタ自動車()(以下、トヨタ)は、持続可能な社会の実現に貢献するための新たなチャレンジとして、「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表した。

 「トヨタ環境チャレンジ2050」は、気候変動、水不足、資源枯渇、生物多様性の劣化といった地球環境の問題に対し、クルマの持つマイナス要因を限りなくゼロに近づけるとともに、社会にプラスをもたらすことを目指して、「もっといいクルマ」「もっといいモノづくり」「いい町・いい社会」の3つの領域で6つのチャレンジを掲げた。
 併せて、「トヨタ環境チャレンジ2050」の実現に向けて、当面の実行計画である第6次「トヨタ環境取組プラン」を策定し、2016年度から2020年度までの5ヶ年計画として展開を図る。

 

トヨタ環境チャレンジ2050」の6つのチャレンジと実現に向けた当面の主な取り組み・目標

 

  1. もっといいクルマ

チャレンジ1 新車CO2ゼロチャレンジ

  • 2050年グローバル新車平均走行時CO2排出量を90%削減2010年比)

当面の主な取り組み・目標

  • 燃料電池自動車FCVの販売は、2020年頃以降は、グローバルで年間3万台以上、日本では少なくとも月に1,000台レベル、年間では1万数千台程度

  • 燃料電池FC)バスは、2016年度中に東京都を中心に導入を開始し、2020年の東京オリンピックパラリンピックに向けて100台以上を目途に準備を推進

  • ハイブリッド車HVの販売は、2020年までに、年間で150万台、累計で1500万台

  • 2020グローバル新車平均走行時CO2排出量を22%以上削減2010年比)

チャレンジ2 ライフサイクルCO2ゼロチャレンジ

  • ライフサイクル視点で、材料・部品・モノづくりを含めたトータルでのCO2排出ゼロ

  1. もっといいモノづくり

チャレンジ3 工場CO2ゼロチャレンジ

  • 2050年グローバル工場CO2排出ゼロ

当面の主な取り組み・目標

  • 新工場と新生産ラインでは、生産1台あたりのCO2排出量を、2001年比で、2020年に約半減、2030年に約1/3へ削減。さらに、再生可能エネルギー水素の利用により2050年にCO2排出ゼロ

  • 工場での水素利用技術の開発を進め、2020年頃に、FCV生産ラインで導入に向けた実証を開始

  • 田原工場に、2020年頃を目指して、風力発電設備の設置を推進

  • 2019年メキシコ新工場生産開始時の生産1台あたりCO2排出量を、約40%以上削減(2001年比)

  • ブラジル工場では、2015年から、電力は100再生可能エネルギーの利用を達成

チャレンジ4 水環境インパクト最小化チャレンジ

  • 各国地域事情に応じた水使用量の最小化と排水の管理

  1. いい町・いい社会

チャレンジ5 循環型社会・システム構築チャレンジ

日本で培った「適正処理」やリサイクルの技術・システムのグローバル展開に向けて、2016年から2つのプロジェクトを開始

チャレンジ6 人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ

  • 自然保全活動を、グループ・関係会社から地域・世界へつなぎ、そして未来へつなぐために、2016年から3つのプロジェクトを展開

 6つのチャレンジ実現に向けた主な取り組みは、以下のとおり


この「以下のとおり」の内容を小生が、独断で一覧表にまとめてみた。

トヨタ環境チャレンジ2050

 

 

領域

6つのチャレンジトヨタ環境チャレンジ2050

No

チャレンジ名称

内容

主な取り組みと目標

もっと
いい
クルマ

新車CO2ゼロ

2050年新車CO2排出量90%削減(2010年比)

1.省エネ、高熱効率・低燃費E/G
HV
車拡販

2.燃料多様化、・電気利用、PHV. EV.

  FCV、・全個体電池開発
水素社会2020年・FCV燃料電池
 3万台/年・ 世界、 1.2万台/年・日本

Lifecycle CO2ゼロ

ライフサイクルで材料 ・部品・モノづくりで全体で取り組む

・開発・設計段階から環境配慮設計
・リサイクル

もっといいモノづくり

工場CO2ゼロ

2020年新工場CO2半減 20301/3

2050年排出ゼロ(2010年比)

1.生産技術開発・導入と改善、・スリム・シンプル ・メキシコ新工場、2019CO2/台・約40%以上削減(2001年比)
2.
自然エネルギー水素エネルギー活用、・燃料電池発電・風力発電設置・ブラジル完全再生可能エネルギー使用

水環境影響
最小化

水使用量最小化
排水管理

・使用量削減、再利用、排水リサイクル
・排水水質の管理

いい町いい
社会

循環社会・
システム構築

適正処理やリサイクル技術・同システム展開

・エコ素材、長寿命化、リサイクル技術、
 廃車再生、・廃棄物処理技術展開

人と自然が共生する未来

自然保全活動のグル ープから世界へ展開

トヨタ森づくり、環境活動、環境教育

 

詳しくは、ここ(http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/9886860/)を参照のこと。

(続く)