続続・次世代エコカー・本命は?(86)

モデルS1充電あたりの航続距離は500km以上。長距離ドライブもまったく心配ありません。

 

 

F 環境のことを考えてEVを選ぶ、EVに乗るという話ですが、電気を作る手段についてはどのようにお考えでしょうか? どうやって電気を作るのか? 石炭やLNGだとCO2が出てしまう。やはり風力なのか、太陽光なのか、あるいは原子力発電なのか?

ケルティー 先ほどギガファクトリーの話をしましたけど、あれは世界一大きな電池工場になります。そこではCO2の排出は一切なしです。太陽光発電風力発電しか使わない。

F
 それはすべて自分たちで創電するのですか?

ケルティー 基本的には自分たちで作り、足りない部分は他社からも買います。他社から買ってもCO2はゼロです。いま工場を作っている段階でどういう設備を入れたらいいのか、CO2ゼロを念頭に設計されています。

F
 日本はその問題に直面しています。すべての原子力発電所を停止したことにより、LNGを燃やし、1日に100億円ほど余計に支出している。

ケルティー そしてかなりのCO2を出していると。

F
 そうです。じゃあ、原発がいいのかといえばそれは難しいところですが。

ケルティー 日本にはすでに原発の設備があるわけで安全性の問題が確保されていれば当然、原子力の方が効率はいいでしょう。しかし、自然災害のリスクが高いし、これから新しい原発を建設するのはコストが合わない。アメリカの場合は、新しく発電所を建設する場合は、太陽光風力地熱発電のいずれかですね。いま風力発電はテキサスがすごくて、夜間に発電した電気を蓄電しきれずに捨てているくらいです。これを今後うまく蓄電技術と組み合わせていきたいと考えています。

F
 ところで日本はテスラにとって売れているマーケットなのですか?

ケルティー 我々は世界を大体1/3ずつに区分しています。北米、ヨーロッパ、アジアです。

F
 アジアで一番売れるのはやはり中国ですか? 環境を気にしている?

ケルティー 中国ですね。彼らはパフォーマンスで選んでいます。人口も多いですから。

F
 今後はモデルXに続いて、モデル3、それから新しいロードスターも出るそうですが?

 

ケルティー モデルXシャシー、電池、パワートレインなどがモデルSと共通のSUVです。モデル3は新しいシャシー、新しい電池パックなどすべて新規で開発しています。最初は小さめの4ドアでメルセデス・ベンツのBクラスくらいのサイズです。ロードスターについては、まだ具体的なスケジュールは発表していないのですが、いずれ出します。

F
 これからEVの比率は、テスラに限らず、ワールドワイドで増えていくとお考えですか?

ケルティー 当然増えます。モデル3が出る2018年末2019年頃(実際には2017.7.2830台が、社員に配車された)には、テスラだけで年間で50万台を作る予定です。ただし、それでも世界の自動車のシェアの0.5%です。我々のフリーモント工場、ここはもともとトヨタGMが設立した合弁工場「NUMMI」ですが、ここでは50万台しか作れません。もちろん今後は新しい工場にも投資をしていきます。

F
 うんと先、例えば50年先にはガソリンやディーゼルがなくなって、すべてがEVになっているなんてことがあると思われますか?

ケルティー 50年経てば、あるかもしれませんね。ただこれからの20年間はガソリンがあるし、ディーゼルもあるし、EVもあるし、HEVもと選択肢はいろいろある。ですが、基本的にEVはガソリン車に劣るところはなにもありません。ですから何年先になるかわかりませんが、いずれはすべてEVの時代がくるかもしれません。
(続く)