続続・次世代エコカー・本命は?(96)

このように、かの書籍モビリティー革命2030自動車産業の破壊と創造」(デロイト トーマツ コンサルティング著、日経BP社発行)は、来るべき「モビリティー革命」を駆り立てる要素としてこの三つを挙げている。

 

(1)「モビリティ革命」を引き起こす第1の要因環境問題である
   ここではパワートレーンの多様化(主に電動化)といっているが、元はCO2の削減である。

(2)「モビリティ革命」を引き起こす第2の要因は、クルマの知能化IoTである。

(3)「モビリティ革命」を引き起こす第3の要因は、シェアリングサービスの台頭となろう。

 

 

このためクルマとしては、

 

ZEVZero Emission VehicleCO2の排出ゼロの車)であり、且つ

SAVShared Autonomous vehicle、自律走行型の共有的利用車)と言うかたちをとることになる、としている。

 

だからトヨタGMなどは、単なるモノ(クルマ)作りの会社からクルマを用いたサービスを提供する会社(プロバイダー)にならんと、それこそ死に物狂いの競争に晒されている、と言う認識なのであろう。

 

だからトヨタ豊田章男社長)としては、今年のル・マンの24時間耐久レースで優勝して、ルマンからは撤退して、そちら方面へ全力で集中したかったのではないのかな。トヨタとしては計画が狂ってしまったことになる。今やF1WECFormula-Eに、とってかわられようとしているくらいなのである。モータースポーツの世界でも、CO2は毛嫌いされだしているのである。ルマン24時間レースも、今年はAudiが抜けてトヨタとポルシェだけとなっている。そのポルシェ2017年の今季限りでルマンから撤退することを決めている。トヨタはどうするのかはわからないが、そのうちルマンもLMP1クラスは、ワークスチームは居なくなってしまうかもしれない。WECの各ワークスチームは、Formula-Eへの参戦となる筈ではないのかな。

 

LMP1については、2016.9.8の続・次世代エコカー・本命は?NO.104を参照のこと。)

 

既に世は、猫も杓子も電動化の時代となってきているのである。

 

 

18年はトヨタ単独ルマン? ポルシェはEV転戦

2017/8/1 11:50
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 高級車メーカー、独ポルシェが自動車の世界耐久選手権(WEC)の最上位クラス「LMP1」から今季限りの撤退を決め、モータースポーツ関係者の間で波紋を呼んでいる。ハイブリッド車で競うこのクラスに参戦する自動車メーカーはポルシェとトヨタ自動車の2社。ポルシェが去ることで、2018の「ルマン24時間」トップクラスの戦いはトヨタだけになってしまう恐れもある。

ポルシェは「ルマン24時間」を3連覇した実績をひっさげ、EVレースに転戦する(今年6月)=AP

ポルシェは「ルマン24時間」を3連覇した実績をひっさげ、EVレースに転戦する(今年6月)=AP

ルマン3連覇、トヨタの前に立ちはだかる

 ポルシェは7月28日、17年末でのWECのLMP1からの撤退と、1920年シーズンから電気自動車(EV)レースの「フォーミュラE」に参戦を発表した。ポルシェは14年にルマンを含むWECに復帰し、1516年は製造者部門で総合優勝した。さらにルマンは15年から3連覇し、マツダ以来の日本勢の優勝をめざすトヨタの厚い壁になってきた。

 ポルシェ撤退の観測は以前からあったが、同社は今年初めに18年も参戦する考えを示していた。それだけに関係者のショックは広がる。WECを主催するフランス西部自動車クラブ(ACO)と国際自動車連盟(FIA)は声明で、「ポルシェの急な方針転換に衝撃を受け、彼らの旅立ちを残念に思う」と正直な気持ちを吐露している。

 ポルシェは来季も参戦中の「GTカテゴリー」と呼ばれるクラスは続けるが、最上位のLMP1から去る影響は大きい。すでにポルシェと同じ独フォルクスワーゲン(VW)傘下のアウディ16年シーズンでWECから撤退済み。最上位クラスでトヨタ以外の競合が不在となれば、ルマンなどのレースの価値そのものが問われかねない。

 ACOとFIAは早速、対策を打ち出す方針を明らかにした。「WECの存続と品質を守る者として、18年シーズンの概要を早急に提唱する。来年は様々なイノベーションが導入される」という。WECは以前から開発コストの高さが新規参入の妨げと指摘されてきた。コスト削減などにつながる新たな施策にも取り組むという。

存在感高める“格下”フォーミュラE

 ACOなどは9月上旬にWEC改革の詳細を発表する予定。「18年は前例のない年になる」「参戦するチームやシリーズのパートナー、そして耐久レースファンを興奮させるものになる」と結び、強気な姿勢を崩していない。

 モータースポーツは各社が先端技術を競い合い、ファンを魅了してきた。だが今や地殻変動が起き、従来は格下とみられた「フォーミュラE」は活気づく。1718年シーズンからアウディが本格参戦。1920年シーズンまでにBMWダイムラー傘下のメルセデス・ベンツポルシェの独高級車4社がそろう。すでに仏グループPSAの高級ブランド「DS」やジャガー・ランドローバーは参戦済みだ。

 ポルシェの場合、走りの性能を磨き長距離走行ができるEV「ミッションE」を開発中で、それを試す場がフォーミュラE。研究開発を担当するミヒャエル・シュタイナー取締役は「独自開発の技術の採用の自由度が増すフォーミュラEは非常に魅力的なカテゴリー」と語る。硬直的なWECの現行制度を暗に指摘している。

 各社の研究開発費が増え続ける中、EV開発の重要度が高まりレースの優先度も変わる。フォーミュラE運営会社のアレハンドロ・アガグ最高経営責任者(CEO)は「モータースポーツを通じて都市の電動革命を主導する」と唱え、各社がこの理念に共鳴している面もある。ちなみに現時点で日本車のフォーミュラE参戦表明はゼロだ。

 もともとブランド戦略が巧みな欧州勢は、フォーミュラEを「EVでも走りを楽しめるクールなレース」(アウディ幹部)と位置づけ、若い世代中心にイメージを定着させたい考え。英仏の政府がガソリン車などの販売禁止を打ち出した「追い風」も吹く。相次ぐ主力の移籍に揺れるWECの巻き返し策だけでなく、日本勢がモータースポーツにも押し寄せる電動化の波にどう対応するかも注目だ。

(加藤貴行)

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ01H6Y_R00C17A8000000/?n_cid=NMAIL001

 

 

2018年のルマンLMP1クラスは、この調子だと、トヨタ一社だけとなってしまいかねない。となるとトヨタはどうするつもりなのかなあ。まさか依怙地になってトヨタ一社でもLMP1クラスに参戦するなどと、豊田章男社長なら言いかねない感じもするが、折角研究開発を進めてきた手前、2018年はタイムトライアル的にLMP1に参戦して次年度からは撤退するのではないのかな、などと推測もするが、トヨタだけのルマンなんぞはルマンではない、と潔く不参加とする方が余程良いのではないのかな。

 

トヨタは昨年は優勝に値する戦いをした訳であるから、そのように理解してきっぱりとあきらめることが肝心である。負け惜しみかも知れないが、CO2を出しながら何も速く走ることだけが能ではなかろう。

 

フォーミュラ Eがどんな規則になっているか小生は詳らかではないが、トヨタとしてはそれに参戦する準備は、まだ出来ていないのではないのかな。だから、トヨタは当分の間ルマンからは撤退することになろう、と言うよりも電動化での参戦ができる状態にはないと言った方がよいのかも知れない。

 

ここでもトヨタは一歩出遅れていた感がある。ヨーロッパに駐在しているトヨタマン(日本人に限らずに)が、欧州のこの電動化の動きに対するトヨタ本社への情報提供とか戦略的提案力が足らなかったし、トヨタ本社でもこれらの動きに対する洞察力や戦略的思考が偏っていたと言われても、仕方がないのではないのかな。

 

まあ、トヨタはきっぱりとルマンを諦めることが出来るか、と言う事が電動化への分水嶺となろう。

 

モビリティ革命」は、このような形でルマンにも押し寄せている、と言う事である。

(続く)