続続・次世代エコカー・本命は?(98)

まあトヨタがまずやらなければならないことは、高性能な電気自動車を売り出すことではないのかな、と小生には思われるのであるが、かの書籍では次の2点の対応策が考えられると記述されている。

 

第一には、持ち駒の「高付加価値化」を図ることである。

 

高付加価値化とは、現在のポルシェやフェラーリ、ベンツなどの高級車のように「ラクジュアリー車」への特化を図ることである。ラクジュアリー車やプレミアム車に特化して、徹底的にわがままな顧客に対応してカスタマイズしてゆくことである。但しこの方法は、顧客が限定されしかも欧州老舗ブランドとの真っ向勝負となるので、とても勝ち目はなかろう。

 

第二には、あまりピンとこないが「超オペレーションエクセレンス」を図る、と言うものである。

 

これは台湾の電子機器製造受託メーカーのフォックスコン社のビジネスモデルのように、複数の他のカーメーカーから製造を受託すると言うものである。コスト競争力を持ち高品質を維持できる製造能力を持っていれば、こんなビジネスモデルもあながち不可能とは言えないだろう、と言っている。

 

この製造受託については、小生にはあまりピンとこないが、切羽詰まればこんな手もあると言う事なのかなあ。

 

何れも何かの作り話のような感じがしないでもないが、ZEVSAVの世の中になれば、こうでもしないと生き残れないと言う事なのであろう。それほど革命的ななのである。だから「モビリティ革命」と言うのかも知れない。

 

 

第三には、いっそのことクルマを使った「移動要求にオールマイティに合致するサービスを提供するビジネスを作り上げてゆくことではないのか、と言っている。

 

これを「モビリティー・ソリューション・プロバイダー」と、かの書籍は呼んでいる。

 

先程言及しておいたCO2の排出が最も少ない移動経路(方法)の提案・実行とか、交通事故を未然に防ぐ移動経路(方法)などの提案の実行などは、組織化されれば一つのビジネスとして成り立つかもしれない。

 

最も莫大な電力を必要とする高性能なAIはホストコンピューターに任せて、それらのネットワークにクルマをうまく繋げてあればよいので、ここでも「コネクティッド」は重要な要素である。まあそれにしても相当なエネルギーを消費する訳なので、ZEV化やSAV化に際しては、高性能なバッテリーが必須となることであろう。とするとまだまだ先は長い様な気もするが。

 

わがままな顧客の「移動」の要求を、その移動の目的・性質に応じて、「モビリティー・ソリューション・プロバイダー」が、その計画をプログラミングしてくれるのである。当然自動運転車の配車、パーキング、公共交通機関との乗り継ぎ、目的地での行動の段取りなどの全てを、顧客にうまく提案してくれることになろう。

 

当然クルマに乗車中にはビジネス上の必要な情報は、逐次表示されることになるし、その間にはコマーシャルなども取り入れられることになろう。場合によっては旅行業の免許も必要になるかもしれない。

 

とまあ、移動・運搬にまつわるあらゆるサービスを総合的にプログラミングするような、ビジネスモデルなのではないのかな。ここで述べたイメージは、どちらかと言うとカーメーカーの川下を取り込んで、サービスを提供してゆくようなイメージではあるが、突拍子もない複合的なサービスが生まれないとも限らない。

 

そんなビジネスをも取り込んでゆかないと、トヨタなどのカーメーカーは生き残れない状況がやってこないとも限らないのだ。

 

2030年代になると、きっとモビリティ状況は、このように一変していることであろう。この変化の内容がどんなものか、どのように企業を導いてゆくか、経営者は寝る暇もないほど大変なのであろう。

(続く)