続続・次世代エコカー・本命は?(102)

まあ排気ガスを排出する内燃機関ICEVのクルマの販売を禁止する目的は、地球温暖化の防止大気汚染を防止するためである。今までCO2で代表して言及していた排気ガス問題であるが、CO2はどちらかと言うと地球温暖化に関与し、大気汚染には窒素酸化物のNOxが主に関与している。ディーゼルエンジンCO2の排出が少ないため、欧州では排気ガス対策にはNOx対策を必要とするディーセルエンジン車で済ませるつもりであった。

 

当然NOx対策も必要となるが、それは別仕立ての仕組みで済まそうとしていたものが、例のフォルクスワーゲン2015.5月のアメリカでの排ガス不正問題で、それもおじゃんとなってしまった。

 

そのため「パリ協定」の排ガス対策には、欧州は、EVまっしぐらとなっている。

 

VWディーゼル車の排ガス不正は、排気ガス中のNOxを分解するための排ガス中に噴射する尿素水の量を、通常走行中にケチったためである。

 

 

尿素水がなぜ必要か

 

自動車NOxPM法改正後の基準を満たすためには、トラック・バスの排気ガス対策が必要です。

排気ガス対策のための装置の一つが、尿素水によって有害物質を分解する「尿素SCRシステム」です。以下では、尿素SCRシステムの概要をご説明します。

尿素SCRシステムとは

尿素SCRシステムとは、尿素水を排気ガスに噴射することでNOx(窒素酸化物)を分解するシステムです。尿素水に含まれるアンモニア(NH3)が窒素酸化物(NOx)と化学反応し、窒素(N2)と水(H2O)に還元されます。この仕組みにより有害な窒素酸化物は、無害な物質に分解されます。

http://eco2light.com/about/index.html

 

 

クルマの台上試験では、その尿素水の噴射を通常通りになるように仕込んで、NOxを分解させて試験をパスさせるが、通常走行ではその尿素水の噴射をさせないようにするか極端に少なくするように仕組んだソフトを組み込んでいたからである。

 

欧州のディーゼル車は、VWに限らず他のメーカーも同様に同じようなソフトを搭載していたようで、

Mercedes BenzAudiBMWPorsche を含むドイツ5社は、どうも結託していたようで、すべて違法ソフトを組み込んでいた様だ。BMWだけは、「そんなことはしていない」と頑強に否定して、リコールを拒んでいるようだが、他社は無償修理に応じたようだ。

 

BMW、「独車5社がカルテル」現地報道を否定

2017/7/24 18:57
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 【フランクフルト=深尾幸生】独BMW23日、独自動車大手5社カルテルを結んでいたという独誌の報道を否定した。「BMWの自動車は不正を犯しておらず、法規を満たしている。ディーゼル車も当然含む」とのコメントを発表した。

 BMWや独フォルクスワーゲン(VW)、独ダイムラーなどは、ディーゼル車の排ガス浄化装置の尿素タンクを小さくするように談合したと報じられた。「BMWが適切な排ガス処理をしていないとの批判は明確に否定する」と述べた。

 他社との話し合いについては尿素を供給するためのインフラの設置についてだったとしている。BMWは複数の技術を組み合わせることで、他社に比べて尿素の注入量が少なく済むという。

 ダイムラーアウディが最新の排出規制(ユーロ6)のもとで発売した車種についてもソフトの更新をする方針を発表したが、BMWは「BMWのユーロ6対応のディーゼル車はリコール(回収・無償修理)もソフト更新も必要ない」と強調した。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ24HOJ_U7A720C1TI1000/?n_cid=SPTMG002

 

 

イギリスはこのディーゼル排気ガスに相当悩んでいたようで、フランスのICEVの販売禁止の発表に喜んで便乗したようだ。ブレグジットを控えるイギリスは、クルマがEUから技術的に遅れてしまっては、ますます取り残されてしまうとの焦りもあったことであろう。思い切ったことをしたものだ。イギリスの自動車メーカーは、いずれにしても、電動化へ大変革を迫られることになる。

 

そうなるとイギリスでクルマを生産するメリットは益々無くなることにはならないのかな。トヨタなどはイギリスから脱出することを真剣に考えた方がよい。早ければ早い方がよいのでは。

 

止まらぬ「脱ガソリン・ディーゼル車」ドミノ

2017/7/26 15:32
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 欧州発の「脱ガソリン・ディーゼル」ドミノが止まらない。英政府2040年までに販売を禁止する方針を発表すると、英メディアが25日一斉に報じた。今月上旬に同様の方針を打ち出したフランスに次ぐ動きだ。18世紀、蒸気機関の発明と国産石炭の活用で世界を引っ張った英国の産業転換の象徴となる。英国に進出する日本の自動車大手の影響も大きい。

大気汚染対策を徹底、HVも販売禁止へ

英国に拠点を置く自動車大手はEU離脱に次ぎ、脱ガソリン・ディーゼル車の対応も迫られる(日産自動車のサンダーランド工場)=ロイター

英国に拠点を置く自動車大手はEU離脱に次ぎ、脱ガソリン・ディーゼル車の対応も迫られる(日産自動車サンダーランド工場)=ロイター

 「政府はディーゼル・ペトロール(ガソリン)の終わりを発表へ。2040年までにすべての新車は完全に電動化しなければならない」。英紙タイムズ(電子版)はこう報じた。ゴーブ環境相26日に方針を発表するという。タイムズや英紙ガーディアン(同)によると、ガソリン車やディーゼル車だけなく、これらにモーターをつけたハイブリッド車(HV)も禁止の対象になる。

 フランスが地球温暖化対策が目的だったのに対し、英国の主眼は大気汚染対策にある。英メディアによると、ディーゼル車がはき出す窒素酸化物(NOX)などの有害物質で、国内では約4万人が死亡しているという。英政府の方針では、20年以降は大気汚染対策に改善がみられないディーゼル車に対し、地方自治体が課税できるようにもなるという。

 もっとも英国が電気自動車(EV)に全面移行するまでのハードルは高い。英国の新車販売(16年)に占めるEV比率はわずか0.4プラグインハイブリッド車(PHV)を加えてようやく1.4だ。同様に内燃機関の車の販売禁止に動くフランスオランダノルウェーといった他の欧州主要国と比べ極めて低い。

 英政府の方針は自動車業界に大転換を迫る。一時は産業が衰退したが、サッチャー政権が外資を積極的に呼び込んだ。その結果、トヨタ自動車日産自動車ホンダや独米勢が現地に工場を建設したり、現地の企業を買収したりした。08年には旧植民地インドのタタ自動車が英ジャガー・ランドローバー(JLR)を買収する象徴的な事例も。典型的な「ウィンブルドン現象」で「メード・イン・ブリテン」の自動車はよみがえった。


(続く)