ドイツはディーゼルの延命を図ったことになる。
独、ディーゼル車530万台無償修理 環境対応で延命
排ガス制御ソフトを修正
- 2017/8/3 9:44
- ニュースソース
- 日本経済新聞 電子版
【フランクフルト=深尾幸生】ドイツ政府は2日、同国内のディーゼル車約530万台を自動車メーカーの負担で修理すると発表した。排ガスの制御ソフトを修正し、大気汚染物質の排出を抑制する。同国政府とメーカー各社が合意した。英仏が2040年のディーゼル・ガソリン車の販売禁止を打ち出すなか、環境対応の強化で主力であるディーゼル車の延命を目指す思惑が透ける。
ダイムラーのディーゼル車(2015年のフランクフルト国際自動車ショー)
大気汚染の抑止策を協議する目的で独政府とメーカーがベルリンで開いた「ディーゼルフォーラム」で合意した。現行の排ガス規制の「ユーロ6」対応車の一部と1世代前の「ユーロ5」対応車の合計約530万台を対象に、排ガス制御ソフトを修正する。これは同国のディーゼル登録車の3割強に相当する。
独フォルクスワーゲン(VW)グループと独ダイムラー、独BMW、独オペルがそれぞれ費用を負担する。大気汚染物質の窒素酸化物(NOx)の排出を25~30%抑えることを目指す。
ソフト改修に必要なコストは1台あたり1万円程度。同20万円前後の浄化装置の追加設置を求める構想もあったが、メーカーが受け入れやすい選択肢に落ち着いた。ダイムラーのディーター・ツェッチェ社長は「最も効果的な手段だ」と合意を歓迎した。
ソフト改修に加え、古いディーゼル車を持つ消費者が最新の環境対応車に買い替える際の奨励金をメーカーが負担する。BMWは09年以前の「ユーロ4」より古いディーゼル車から買い替える場合、2千ユーロ(約26万円)を割り引く。買い替え対象には最新のディーゼル車も含める。
VWによる排ガス規制を逃れるための不正発覚以降、欧州を中心にディーゼル車への不信が高まっている。英仏が将来の販売禁止という厳しい措置を打ち出したのに対し、ドイツはディーゼル車の「延命」を図る方針を鮮明にした。
同国の新車販売(乗用車)に占めるディーゼル車比率は約4割。自動車メーカー経営の柱の一つで約80万人の関連雇用を支える。主力産業を危機にさらすことを避けるため、当面のディーゼル車存続に保証を与えた格好だ。ただ消費者の反発が収まるかは不透明で、合意文書には「効果次第ではさらなる行動が求められる」との一文も盛り込んだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGT02H0R_T00C17A8MM0000/?n_cid=NMAIL002
しかしメルケルの心は揺れている。果たしてディーゼルを延命させてもよいものか。ドイツ国民はどう考えているのか、国民は英仏に追従せよ、と言う方に軍配を上げるかもしれない。選挙もあることだし、どうしようと言ったところではないのかな。
結局メルケルは、自動車か雇用と環境か、という問題に対してはっきりした態度をとらずに、両方のいいとこ取りをしようとするつもりのようだ。
独首相、ディーゼル車の新車販売の段階的禁止を示唆=雑誌
Business | 2017年 08月 15日 11:09 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース
8月14日、ドイツのメルケル首相は、他の欧州諸国と同様にディーゼル車の新車販売を段階的に禁止する必要があると表明した。写真はフランクフルト近郊ゲルンハウゼンで撮影(2017年 ロイター/Ralph Orlowski)
[ベルリン 14日 ロイター] - ドイツのメルケル首相は、他の欧州諸国と同様にディーゼル車の新車販売を段階的に禁止する必要があると表明した。「ズーパー・イルー」誌の取材に応じた。同国でのディーゼル車廃止への言及はこれが初めてで、排ガス不正の発覚に伴い同型車の「余命」が限られていることが示唆された。
英仏は2040年までに内燃機関車の段階的廃止を予定しているが、メルケル首相は「具体的な日程は示したくない」と述べた。
フォルクスワーゲン(VW)などが排ガス試験で不正を行ったことが発覚して以来、ドイツの自動車メーカーに対する批判が高まっている。こうしたなか、デマー報道官は7月26日、英国の対応に関連して、メルケル首相はディーゼル車を「悪者扱い」してはならないと繰り返し述べてきたと指摘、英国に追随しないことを示唆していた。
休暇から戻ったメルケル首相は、自動車業界は下取り時の優遇制度やソフトウエアの更新などを提供することで信頼を回復すべきだと呼び掛けた。消費者は「欺かれてきた」とし、約束されていた通りの環境廃出物対策が得られるべきだと述べた。ただ、ディーゼル車はガソリン車より二酸化炭素(CO2)排出量が少ないため、優遇税制は当面継続するとした。
首相は9月の連邦議会選を控えたキャンペーンで、国内自動車メーカーが過ちを犯したことを認めることが重要だと主張した。ただ、労働者に非はなく、雇用を守り自動車産業の持つ力を確保することも重要だと述べた。
首相はさらに、ディーゼル車は環境汚染を制御するために必要であり、政府は新技術の導入を促進しインフラを確実に利用可能にすることで自動車産業の変革を支援すべきだと指摘。「雇用が守られるよう、新時代への円滑な移行を計画しなければならない」とした。
(続く)