この無資格者による完成検査問題を時系列にまとめてみると、このようになる。
2017.09.06 新型リーフ、幕張メッセ・大ホールで、発表イベント。
2017.09.18 日産車体湘南工場に国交省職員が立ち入る。無資格検査判明。
2019.09.19 追浜工場で新型リーフのオフライン式兼世界生産累計1億5千万台達成祝賀式典。
2017.09.19 日産他工場でも同様な無資格検査判明。
2017.09.20 暫定対策を実施、但し効果なく依然と無資格者による検査が行われる。
2017.09.27 日産、各工場長を集め国交省の立ち入りには正直の応えよと指示。不適切対応在り
2017.09.29 日産5工場での完成検査工程で、無資格者の点検検査があったこととその後の経過(対策)を、日産部長クラスが、記者発表する。役員クラスではない。
2017.10.02 新型リーフは発売開始。
2017.10.02 西川廣人社長が記者会見、9/20以降は100%認定検査員と発表。
2017.10.04 国交省、日産6工場に立ち入り調査実施。3年以上前から無資格検査を確認。
2017.10.06 約116万台('14.1.6~'17.9.19製造分)のリコールを発表。
2017.10.18 日産車体湘南工場にて、10/11まで無資格者が検査を継続と報道。他の4工場でも無資格検査が続いていた。
2017.10.19 西川社長が記者会見で、該当車種のリコール実施を表明する。
2017.10.30 対象車種ユーザーにDM発送。以後持ち込み点検となるが、販売店は多忙となる。
2017.11.✕✕ 日産、国交省へ調査報告書提出
まあこうなると、2017.4月より取締役会長となったカルロス・ゴーンの責任は、重大となる。2001年より日産の取締役社長で最高経営責任者CEOで、2008.6月からは取締役会長兼社長で最高経営責任者CEOであったからである。無資格検査の真っ最中に、ゴーンは日産の総責任者だったことになる。
世間に安心・安全な車両を供給することが、総責任者たるカルロス・ゴーンの最大の責務なのである。
国交相「厳正に対処」 日産の無資格検査継続で
- 2017/10/20 12:07
- ニュースソース
- 日本経済新聞 電子版
日産自動車で無資格の従業員が完成検査をしていた問題を巡り、石井啓一国土交通相は20日、閣議後の記者会見で、問題公表後も同社の4工場で無資格検査が続いていたことについて、「再び使用者に不安を与え、制度の根幹を揺るがす行為。事実関係を把握し、厳正に対処する」と述べた。
同社の西川広人社長は19日の記者会見で、無資格検査を継続していた工場から出荷した車約3万4千台について、再検査やリコール(回収・無償修理)を検討する方針を表明。石井国交相はリコールについて「当然そういったことになると想定している」と述べた。
今回の不正の原因に関して、同社は社内の意思疎通が十分でなかったと強調しているが、石井国交相は「安全確保には組織内の連携が不可欠。日産にそうした体制がないのであれば、管理体制の再構築をしっかりする必要がある」と指摘した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22492850Q7A021C1CR0000/
意思疎通が十分でなかった、などと言っているが、これこそが問題ではないのかな。まさに技術の日産には組織内の連携が不十分である、と言明しているようなものである。本当に技術の日産なのか、疑われてしまいかねない。日産の顔のゴーンが表に出てこないのも問題だ。
日産の無資格者完成検査問題とは何だったのか
2017年11月15日 / ビジネス https://bestcarweb.jp/news/business/2026
2017年秋、「日本のモノ作り神話」を揺るがす大きな事件があった。
(2017年) 9月29日、国交省の立ち入り検査を受けて、日産が型式指定自動車を生産している国内6工場で、無資格者が完成検査を行っていたことが発覚したのだ。
一時期、完成検査をすべて停止して再調査を実施したこの問題も、11月中旬の今ではあまりメディアの話題にのぼることはない。
しかしこの大きな問題を記録する意味でも、「日産の完成検査問題とは何だったのか」を今一度改めてここで検証しておきたい。
文:福田俊之
ベストカー2017年11月26号
■問題の発覚は、「お祭り気分」の直後だった
「この1カ月間は、まるでお祭り騒ぎとお通夜の物哀しい気分を同時に味わったような複雑な心境だった」
と、日産の中堅社員は疲れ果てた表情で振り返る。
夏が過ぎて秋の涼風を感じるようになった2017年9月6日。日産の約7年ぶりにフルモデルチェンジした新型リーフの発表イベントは、幕張メッセの大ホールを貸し切り、世界各国から報道陣をはじめ、販売店や取引先関係者など約5000人を招待するという超豪華なイベントだった。
しかも、発表イベントから2週間足らずの9月19日には、新型リーフの生産拠点でもある横須賀市の追浜工場内で、量産開始のオフライン式と世界生産累計1億5000万台達成を同時に祝う式典が盛大に行われた。こうした式典には作業服姿のカルロス・ゴーン氏が見慣れたものだったが、出席した西川社長はダークスーツ姿で約1000人の従業員を前に「予約受注が4000台を超えており、気を引き締めて万全の品質でリーフをお届けできるようにがんばっていただきたい」とメッセージを送った。
そんなお祭り気分も束の間、自業自得とはいえ、出鼻をへし折られたようなショッキングな大事件が発覚。社内は一転して重苦しい雰囲気に包まれた。
日産の工場では新車の出荷前に必要な完成検査を、無資格の従業員が行っていた事実が明らかになったからだ。
その不正は2017年9月18日、国土交通省(国交省)が平塚市にある日産車体の湘南工場に抜き打ちで立ち入り検査してわかった。さらに追浜工場、栃木工場など国内の車両組み立ての6つの工場すべてで同様の検査体制だったことも判明した。
■なぜ最初から西川社長が謝罪会見を開かなかったのか?
対応に追われた日産は、9月29日夜には緊急記者会見を行い、企画・監理部と広報担当の部長クラスが出席。経過説明とともに深々と頭を下げて謝罪した。
本来、経営を揺るがしかねない不祥事が発覚した場合は、経営トップか、それに準ずる代表権を持つボートメンバーが説明するのが通例だ。昨年、三菱自動車とスズキが燃費データ改ざんを公表する際は経営トップが対応している。
ところが今回、日産の西川廣人社長が重い腰を上げて記者会見を開いたのは、部長クラスによる最初の会見から3日後の10月2日夕刻。会場は都心から離れた日産横浜本社だった。
経緯を説明し、「お詫びを申し上げる」と陳謝したものの、(企業が謝罪会見を開いた際には通例となっている「深々と頭を下げる行為」はなく)淡々と事情説明に終始した会見だった。
以前、トヨタ自動車もリコール問題が取り沙汰された際に、当時マスコミ取材に消極的だった豊田章男社長の会見を夜遅く名古屋のオフィスで行ったことがあった。
在京のメディアのなかには最終の新幹線に乗り遅れて始発まで駅周辺で夜を明かした記者もいたという。取材となれば、いつ、どこでも駆けつけるのが記者の使命だが、「上から目線の対応では、危機管理意識が足りないと思われてもしかたない」(大手メーカーの広報担当)との指摘もある。この時点での日産の対応も(「謝罪会見ではない」と印象づけるための危機管理処置だったのかもしれないが、のちに発覚する諸々の状況を考えると)、企業体質そのものを如実に反映した認識の甘さがあったと言わざるを得ない。
(続く)