Ghosn,Gone with the Money(23)

知人への16億円、「販売促進費」名目で ゴーン元会長

2018/12/23 18:01
日本経済新聞 電子版

 日産自動車元会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)の特別背任事件で、日産からゴーン元会長のサウジアラビアの知人側に流出したとされる約16億円が「販売促進費」などの名目で支出されていたことが23日、関係者の話で分かった。東京地検特捜部は販促活動などの実態はなかったとみている。ゴーン元会長は「業務の正当な報酬だった」と反論しているという。

 逮捕容疑では、ゴーン元会長は200912年、日産子会社から知人が経営する会社に対し計約1470万ドル(現在のレートで約16億円)を支払わせ、日産に損害を与えたとされている。

 

 関係者によると、知人側への約16億円は、当時最高経営責任者(CEO)だったゴーン元会長が必要に応じて使途を決められる「CEO reserve」(CEO予備費から捻出。「販売促進費」などの名目で、中東での販促などを担当しているアラブ首長国連邦の子会社「中東日産会社」を通じて支払われたという。

 この知人は09年初めごろ、ゴーン元会長の私的な金融取引の損失を巡って銀行に対する信用保証に協力。約16億円は、知人が経営している会社の預金口座に対し09年6月から12年3月にかけて4回に分けて振り込まれていた。

 特捜部は、知人が経営する会社は日産の販促に関わる業務を手掛けておらず、巨額の支払いに見合う活動実態はなかったと判断。信用保証に協力した見返りなどの趣旨だった疑いがあるとみているもようだ。

 一方、弁護人によると、ゴーン元会長は知人についてサウジアラビアのビジネス界の重要人物であると説明。日産のために同国の政府や王族へのロビー活動を担っていたほか、日産と現地販売店の間で深刻なトラブルが生じた際に解決に尽力するなどし、約16億円はこうした業務への正当な報酬だったと主張しているという。

 ゴーン元会長の私的な資産管理会社は08年のリーマン・ショックに伴ってデリバティブ取引の契約で巨額の評価損を抱え、契約相手の銀行から担保不足を指摘された。

 ゴーン元会長は担保の追加に応じず、0810評価損ごと契約を日産に移転。しかし、証券取引等監視委員会などから契約移転を問題視され、09年2月ごろに契約を資産管理会社に戻したとされる。この際に改めて担保の不足が問題になり、サウジアラビアの知人が銀行に対する信用保証に協力したという。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39319590T21C18A2CC1000/?n_cid=NMAIL006

 

 

 

サウジの知人中東日産から支払われた計約1470万ドル(現在のレートで約16億円)は、「CEO reserve」(CEO予備費から「販売促進費」などの名目で支出されたものであると言う。

 

その知人とはサウジアラビアの実業家、ハリド・ジュファリ氏であり、彼の会社は日産の販促に関わる業務を手掛けておらず、巨額の支払いに見合う活動実態はなかったと判断していると言う。

しかも販売促進費と言うのであれば、当然「中東日産」もそれなりに絡んでいる筈なので、そのことに(販促費用)ついては熟知していた筈なのである。

 

しかし「中東日産」はそのこと(販促)には関知しておらず、販促費の送金も要請していないと言うではないか。中東日産の担当者は、その支出は「明らかに不自然な支出であり、こちらからは何も要請はしていないものであった」と証言しているのである。

 

 

 

現場は送金「要請せず」 ゴーン氏私的利益図る目的か

ゴーン前会長 https://www.asahi.com/topics/word/カルロス・ゴーン.html?iref=com_matome

2019160555

写真・図版日産自動車のカルロス・ゴーン前会長


 日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(64)が私的な損失を日産に付け替えたなどとして逮捕された特別背任事件で、前会長が日産子会社からサウジアラビアの実業家ハリド・ジュファリ氏に送金した約16億円について、子会社の担当者(当時)が東京地検特捜部に「明らかに不自然な支出で、現場から要請もしていない」と証言していることが、関係者への取材でわかった。特捜部は約16億円が使途不明の支出であり、実態は前会長らの私的な利益を図るものだったとみて調べている。

 ゴーン前会長はジュファリ氏への約16億円について「現地の販売店のトラブル処理や、投資を呼び込むための王族へのロビー活動、王族や政府との面会の仲介を担ってもらっていた」として、「仕事への正当な対価だった」と主張。弁護人も「王族との面会の適正価格を評価するのは難しい。無報酬でやることはありえない」と主張している。

 これに対し、ドバイの子会社「中東日産」の担当者は、ロビー活動などのためであれば、現場から「緊急で数億円が必要」などと本社に支出を求めるのが普通だと説明。現場ではジュファリ氏によるロビー活動の必要性は感じておらず、「約16億円は上司の命令でそのまま送金した」と証言しているという。

 また、中東日産の年度ごとの事業目標について達成できたかどうかを計算する際、約16億円の送金は支出に含まれていなかったことも判明。特捜部は証言や資料から、ゴーン前会長がCEO(最高経営責任者)直轄の「CEOリザーブ予備費)」を使って、トップダウンで送金を指示していたとみている。

 ゴーン前会長は、約18億5千万円の評価損を生んだ私的な取引をめぐって、ジュファリ氏から約30億円分信用保証の協力を得た見返りに、中東日産から計1470万ドル(現在のレートで約16億円)を不正に送金した疑いが持たれている。2009(H21)年6月~12(H24)年3月の間の4回にわたり、「販売促進費」などの名目で送金したとされる。

https://www.asahi.com/articles/ASM154TWYM15UTIL006.html

 

 

この記事によれば、「中東日産」の担当者によれば「ロビー活動などの必要性は更々無かった」と言っているように、相当不自然で訳の分からない支出であったようだ。

(続く)