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仏大統領、日産牽制「ルノーと提携バランス変わらない」

有料記事 ゴーン前会長

パリ=疋田多揚 20191280919

写真・図版

17日、仏南部トゥールーズ近郊で演説するフランスのマクロン大統領=AP


 仏ルノー日産自動車の提携関係をめぐって、フランスマクロン大統領は27日、訪問先のカイロで「両社のアライアンス(提携)のバランスが変わらないよう注意を払っている」と記者団に語った。AFP通信が伝えた。

 ルノーが日産に43%出資する一方、日産のルノーへの出資は15%にとどまり議決権もない関係をめぐっては、業績で上回る日産が見直したい考えだ

 だが、マクロン氏は「今起きていることが、提携のバランスをひっくり返す性質のものとは全く思わない」と話した。会社法違反(特別背任)などの罪で起訴されたカルロス・ゴーン被告(64)が両社の会長を退いても関係見直しの理由にはならない、との見解を示し、日産側を牽制(けんせい)した。

(略)

 

https://www.asahi.com/articles/ASM1X24MGM1XUHBI015.html?ref=msn

 

 

 

これで愈々ルノーと日産の真の戦いが始まることになる。

 

ルノーは、現状の資本関係(日産株43.4%保有)を維持して、日産を傘下に置きたい。

日産は議決権のないルノー株を15%しか保有しておらず、しかも現状のルノーを養っている状況であるため、それから脱却して真の対等な関係を構築してゆきたい、と念願している。何と言ってもルノーの利益の半分は日産が提供しているわけだから。

 

しかしアライアンスが順調に機能してゆかないと、今は百年に1度自動車産業の変革期となっているその流れに、置き去りにされてしまいかねない。

 

それは是非とも避けなければならないことだ、と両社も心底から思っているのであろうか。特にマクロンに押されて、ミシュランからルノーに雇われてきたジャンドミニク・スナール氏にとって、マクロンに意に逆らって、この流れの厳しさを熟知して、日産との提携関係を実りあるものとすることが出来るのか疑問のあるところでもある。

 

少しでもマクロンの意に沿う姿勢を強めれば、この提携関係は瓦解するように、小生には思われてならない。今回は日産も、この不平等条約の解消に、必死だからである。

 

ここ当分の間は、水面下での神経戦が続くことになろう。

 

 

ルノー・日産「融和」なるか 新会長決定、神経戦も

2019/1/25 17:30
日本経済新聞 電子版

 仏ルノーの新たな経営体制が24日、発足した。ルノー日産自動車カルロス・ゴーン被告の逮捕後に揺らいでいた企業連合の安定を最優先することを表明し、ひとまず歩み寄った。融和ムードがみられる両社だが、水面下ではお互いへの警戒感から神経戦も繰り広げられた。近く本格化する日産の会長人事など積み残された課題もある。

新体制の抱負を述べるルノー新会長のスナール氏(24日、ルノー本社)

新体制の抱負を述べるルノー新会長のスナール氏(24日、ルノー本社)

「一緒に議論を」「前向きなサイン」

 

 「スナールさん、ともにアライアンス(企業連合)を発展させていきましょう」。24日夜、ルノーが新会長にミシュランのジャンドミニク・スナール最高経営責任者(CEO)を招く首脳人事を決めると、日産の西川広人社長兼CEOはスナール氏と電話で話し、今後の協力を確認し合った。
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 ゴーン元会長という司令塔を失って2カ月あまり。両社の主張は平行線をたどり、「取締役同士のコミュニケーションが難しい状況が続いていた」(日産の西川社長)。ようやく協調の芽は出始めた。

 ルノーが取締役会を開くことが分かっていた24日の午後、日産はタイミングを合わせて4月中旬の臨時株主総会の開催を検討すると発表した。ルノーが繰り返し求めてきた要求を日産が受け入れ、譲歩した形だ。日産はゴーン元会長とグレッグ・ケリー元代表取締役を取締役からも退任させ、4月にも取締役に迎える予定のスナール氏と「一緒に議論したい」(西川社長)と秋波を送った。

 ルノー筆頭株主、仏政府のルメール経済・財務相はわざわざスイス・ダボスの地で、臨時総会開催を「前向きなサインだ」と評価。仏側からも歓迎ムードが出た。

臨時総会は開催するが…

 

 だが、ゴーン被告の逮捕で表面化した対立は一気に雪解けとはいかない。水面下では神経戦も繰り広げられていた。

 「スナール氏をうちの会長に指名してくるという情報がある」。ルノーが首脳人事を固めた今週半ば、日産の西川社長らにパリから連絡が入った。ゴーン被告のルノーの役職退任の情報を聞いて緊張が和らいでいた日産社内は、一気に警戒感が高まった。西川社長は話を聞くや、側近を集めて対策を至急練るよう指示した。

 その結果が臨時総会の開催だった。事前に取締役会で議論はしておらず、日産経営陣には後日に開く取締役会で開催の是非について協議すると伝えただけだったという。

 なぜ臨時総会がルノーへの対策なのか。日産の真意はこうだ。ルノーが求める臨時総会までは譲歩するが、あくまで会長職の指名は受け入れない――。ある幹部は「日産が譲れる範囲はここまで、というルノーへのシグナルだ」と明かす。

 日産とルノーの提携には詳細な協定がある。ルノーが日産に最高執行責任者(COO)以上のポジションを選定する権利があることや、日産の取締役会は日産がルノーよりも1人多い状態を維持できることが明記されている。日産が仏政府などから経営干渉を受けたと判断した場合、独自の判断でルノー株を買い増せるという項目もある。

 協定に基づけば会長職をルノーが指名してきてもおかしくはない。仏紙レゼコーは25日、仏政府が、空席になっている日産会長にルノーが指名する人物が就くことを希望していると報じた。スナール氏が推される見通しという。ルノーの新体制発足後も、仏政府の基本的な姿勢は変わっていないもようだ。

 だが、日産はゴーン被告の一連の不正を受けて企業統治を見直すためのガバナンス改善特別委員会を設け、会長職の候補者なども同委員会の結論を待って自社の取締役会で決めると表明している。西川社長も24日の会見でこう念を押した。「(ルノーから)新たな取締役を迎える以上のことはガバナンス委員会の結論を待つ」

日産の西川社長は記者会見で、ルノーの新体制発足を歓迎した(24日、横浜市西区)

日産の西川社長は記者会見で、ルノーの新体制発足を歓迎した(24日、横浜市西区

示せるか「脱カリスマ依存」体制

 

 100年に1度といわれる業界の変革期。日仏連合が対立を続けても、誰も得しないことは両社トップは理解している。

 スナール氏はゴーン元会長と異なり対話重視のスタイルと評される。会長就任後にパリ郊外のルノー本社で報道陣に対し、「優先順位が高いのは日産や三菱自動車との関係を落ち着かせることだ」と語りかけるように訴えた。西川社長も「企業連合を安定的に維持することが最大の課題だ。取締役会同士の信頼関係を築くのが一番大事だと思っている」と呼応している。

 「自動車業界で最も成功した再編」「日本企業のグローバル化のお手本」と呼ばれた日仏連合は、ゴーン元会長の逮捕で一転瓦解の懸念もあった。ようやく日産の会長職や資本関係の見直しなどの協議が本格化する。両社とも6月に定時株主総会を予定し、新たな企業統治のあり方を示す必要がある。脱カリスマ依存を進める過程ではいずれ人と資本の見直しは避けて通れない。両トップの手腕が問われる。

(伊藤正泰)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40472830V20C19A1000000/?n_cid=NMAIL006

 

(続く)