Ghosn,Gone with the Money(62)

と言う事は、日産は丁度良い縋(すが)りつきたい「わら」だと思っているのではないのかな。

 

だからマクロンは、日産を絶対に離さない筈だ。日産も相当苦戦することになる。ここは踏ん張りきるしかない。

 

マクロンルノーがこのような態度に終始すれば、アライアンスの基本原則はどこかへ吹き飛んでしまう。

 

 

 

ニュース解説

三菱自の益子CEO、「3社アライアンスは基本原則に立ち返るべき」

2019/02/01 20:58 木村 雅秀=日経 xTECH/日経Automotive

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三菱自会長兼CEOの益子修氏(写真は201811月に撮影)

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 三菱自動車の会長兼CEO最高経営責任者)である益子修氏2019212018年度第3四半期(2018412月)の決算発表において、3社アライアンスの考え方について説明した。 三菱益子氏Image0 s5nk

 



 三菱自20165月に日産自動車資本提携した。この時、短期間で結論を出せた理由の一つに「フランス・ルノーRenault)と日産のアライアンスの基本原則への共感があった」(同氏)という。

 その原則とは、1個々のアライアンスメンバーの経営ブランド、個性を尊重して独立性、自主性が担保されていること、2最もコンペティティブなメンバーが、その分野と地域でアライアンスをリードし、徹底的に重複を排除するという考え方、3関連するすべてのアライアンスメンバーにとってWin-Winとなるようにプロジェクトを推進すること、だという。

 この基本原則に基づくアライアンスへの参加が、当時の三菱自が抱えていた経営問題を解決する「最良のソリューションだと考えた」(同氏)という。資本提携以降の約2年間の経験を踏まえると、「この判断に何ら変化はない」(同氏)。

 ただ、その後の経営統合を巡る主導権争いや、201811月のカルロス・ゴーンCarlos Ghosn)氏の逮捕など、ここへ来て状況が大きく変わった。さらに自動車業界には100年に1度の大変革といわれるCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の波が押し寄せている。このため、「各アライアンスメンバーがあらためて基本原則と、目的、狙い、必要性を確認し合意することが必要。アライアンスメンバーが価値観を同じくして前に進んでいくことが重要」(同氏)と訴えた。

 アライアンスの目的や狙い、必要性については、次のように説明した。「大切なことはアライアンスメンバーであることに誇りを持てること、そして働きがいを実感でき、成果をあげることだ」(同氏)。これらを実現するには「アライアンスパートナーが互いをリスペクトし、対等、平等の精神で仕事に取り組むことが必要」(同氏)とした。

 CASEをはじめ、自動車業界が直面する課題は多岐にわたっており、「1社ですべての課題に対処するのは現実的ではなく、信頼できるパートナーが必要だ」(同氏)。「とりわけ規模の小さい三菱自にとっては、アライアンスを有効に活用することが不可欠」(同氏)とする。

 具体的な課題として、CASEのほかに、2021年から本格化する欧州、中国、米国での環境規制強化への対応を挙げ、「アライアンスメンバーが得意な技術を持ち寄り、技術を相互補完する形が望ましい」(同氏)と述べた。また、支援してもらうだけでなく、「当社が強みとする地域と、得意な商品を今後さらに強化し、アライアンスメンバーに貢献していきたい」(同氏)と説明した。

 アライアンスの基本原則から考えると、3社を経営統合する必要性はないと主張する。「3社を統括する会社は存在しない。日産とルノーが折半出資するルノー・日産BVRNBV)に三菱自が加わることも考えていない」(同氏)。あくまで3社の対等・平等の精神でアライアンスを運営すべきとし、「何かのエンティティーを想定したり、それが重要な役割を果たしているとはまったく認識していない」(同氏)と強調した。

 勾留中のカルロス・ゴーン氏が日本経済新聞社のインタビューで持ち株会社方式での経営統合を計画していたと発言した件についても、「私は持ち株会社について話を聞かされたことはない。もし相談を受ければ、アライアンスの基本原則を踏まえて考えていきたい」(同氏)と述べた。

(略)

https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00001/01622/?n_cid=nbpnxt_mled_at



 

ここに書かれている「ルノー・日産のアライアンスの基本原則」が、まだ機能しているのであれば、ルノーマクロンは無下に「経営統合」などには取り掛かれない筈だ。

 

ただルノーは日産の資本を43.4%も所有しているので、この基本原則がどの程度機能するかは疑問のあるところである。

 

個々のアライアンスメンバーの経営ブランド、個性を尊重して独立性、自主性が担保されていること」と言う基本原則が尊重されていれば、ルノーが強引に「経営統合」などを言い出すはずがないものと思われるのであるが、三菱自会長兼CEOの益子修氏が今年の2月1日に言っていることなので、この基本原則は生きているものと判断できる。

 

ならば日産はこれを盾に、ルノーのスナール会長に迫ることが出来る筈なのである。だがルノーの日産への締め付けはかなりの規模に達していた様だ。次の記事を読む限り、日産社内の雰囲気は相当悪化しているように見受けられる。

 

 

クルマのうんテク

日産・ルノーの行方は? 手放し運転が実用化?

2019/02/15 05:00 2019年の自動車業界を占う

鶴原 吉郎

 

 皆様、あけましておめでとうございます。昨年は本コラムをご愛読くださり、誠にありがとうございました。おかげさまで、本コラムも5回目の新年を迎えることができました。本年もよろしくお願いいたします。

 さて、恒例の年初コラムだが、二つのテーマを取り上げたい。一つめは、日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン有価証券報告書の虚偽記載で逮捕された事件の今後である。筆者はこれまでゴーン氏を稀有の名経営者だと思ってきたから、受けた衝撃は大きかった。最近の出来事で印象に残っているのは、20165月に燃費不正で企業としての信用が地に堕ちた三菱自動車への電撃的な出資を決めた一手だ。

アーティストは清廉とは限らない

 このコラムの過去の記事でも触れたが、転落していく巨大企業の巻き添えになるのを誰もが恐れるなか、両社のシナジーを見出し、しかも底値で三菱自動車の株を手に入れたやり方は、まさにカリスマ経営者の真骨頂だった。一橋大学大学院経営管理研究科教授の楠木建氏はベストセラーとなった経営書「ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件」の中で「戦略はサイエンスというよりもアートに近い」「優れた経営者は『アーティスト』です」と述べているが、まさにそれを地で行く経営者だったと思う。

 ただ、アーティストが清廉であるとは限らないのが世の常であるように、ゴーン氏自身も一個人として見れば、問題の多い人物だったことが、今回の一件で明らかになりつつある。世間の興味は東京地検特捜部とゴーン氏の闘いの帰趨(きすう)にあるようだが、筆者の興味はそこにはない。筆者の興味は、ゴーン氏なき後の日産がどうなるかということだ。

 たまたま201811月末から12月始めにかけて、日産の関係者と話す機会が多かったのだが、彼らの口から異口同音に出るのは、いまの経営体制への不満だった。その不満が高じて退職に至る例も少なくない。最近の報道の関心は、ゴーン氏が会社を利用して私腹をいかに肥やしたか、ということにあるようだが、筆者が聞いた社員の不満の原因はそこにはなかった。もっと真摯(しんし)に、会社自体の将来について憂える声のほうが圧倒的に多かったのである。

「見栄えのいい技術」を重視

 その一つは技術開発に対する姿勢だ。筆者からは、他の日本メーカーが逡巡するなかで、EV(電気自動車)の世界初の量産化を決断したり、いち早く自動運転技術の実用化を表明したりといった日産の動きに、先見の明があるように見えていたのだが、内部からの眺めは違うようだ。彼らに言わせると、ゴーン氏が重視したのは「株価の上がる見栄えのいい技術」だったという。

 その陰で、パワートレーンやプラットフォームといった「地味な技術」の刷新が日産は遅れたトヨタ自動車、ホンダ、マツダ、スバル、スズキといった他の完成車メーカーがここ数年でプラットフォームやパワートレーンを全面的に刷新、あるいは刷新しつつあるのに対し、日産のプラットフォームやパワートレーンは旧態化している。

 日産の新世代プラットフォームとされる「CMF(コモン・モジュール・ファミリー)」も、実際には古い世代のプラットフォームからエンジンルームなどを引き継いでおり、まったく新しいプラットフォームとは言い難い。また現在の主力エンジンである「HRエンジン」(1.21.6L)が登場したのはもう14年前、「QRエンジン」(2.02.5L)に至っては18年前に遡る。研究開発投資がEVや自動運転に集中し、そのほかの研究開発投資を抑制した副作用と見られても仕方がないだろう。

 

もう関係の修復は不可能

 こうした状況に輪をかけて日産のプロパー社員のモチベーションを下げているのが、20184月以降になって部長クラスにルノーから人材が送り込まれる例が増えていることだ。20184月以降の部長級の人事を見ると、88人中33人が外国人となっており、2017年の同じ時期に82人中26人だったのに比べて、その比率は32%弱から37%強へと増加している。こうした人事政策の結果、20184月以降に日産からの退職者が急増しているとの話も聞いた。

 では、この後日産とルノーの関係はどうなるのだろうか。まず手を着けるのは、ルノーとの不平等条約」の解消だろう。日産からルノーへの利益貢献は、株式配当などの目に見える部分だけでなく、プラットフォームの開発費用の分担や、ルノーからのディーゼルエンジンの購入費、ルノーへの生産委託費用など、目に見えない部分でも行われていた可能性がある。こうした関係を対等に是正していくことが第一段階だろう。

 ただ、最近の新聞報道などをみると、こうした条件をルノーが簡単に呑むとは考えにくい。そうなると考えられるのは、日産によるルノー株の買い増しである。すでに多く報じられているように、日本の会社法では、日産のルノーに対する出資比率が25になれば(現在は15%)、ルノーの日産への議決権が消滅する。日産がルノーの意向にかかわらず、単独で方針を決められるようになる。このため日産は今後、現在の15%から25%へルノー株の買い増しなどを検討するとみられるが、ルノーや仏政府の反発は避けられないだろう。

 もちろん、ただちに日産とルノーが提携を解消することは考えにくい。両社が享受している、共同購買やプラットフォームの共同開発などによるコスト削減効果は、現在年間7000億円規模に達しており、両社にとってこれを失う影響は大きい。このため短期的には日産・ルノーアライアンスは維持されるだろう。しかし、今後両社の距離は次第に開いていくと筆者は考えている。企業の関係も人間関係と同じだ。相互の信頼尊敬の念がなければ関係の維持は難しい。そして今回の事件は、そのどちらも決定的に失わせてしまった。

 

(略)

 

https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00050/00027/?P=1


 

この記事によれば、ルノーと日産との関係は次第に離れてゆく、と考えられている。とすれば、最悪の場合、日産によるルノー株の買い増しに突入するのか、可能性はかなりありそうだ。

 

(続く)