Ghosn,Gone with the Money(63)

先ずは「ガバナンス改善特別委員会」が取締役会の議長は社外取締役にすべきだと提案するようだが、更に進んでその取締役の過半数社外取締役とすべきだ、とも提案すると言う。

 

こんな形でルノーの矛先をそらしてゆく様だが、どうなることやら。

 

 

日産、社外取締役過半数

統治委、透明性向上狙い

2019/2/23 12:17

©一般社団法人共同通信社

日産自動車ロゴマーク

 日産自動車が設置した外部の弁護士らでつくる「ガバナンス(統治)改善特別委員会」が3月末をめどにまとめる提言に、取締役の過半数を外部から選ぶ社外取締役とする内容を盛り込む方向で調整していることが23日、分かった。外部の経営者らの視点を取り込み、透明性を高める狙い。関係者によると、カルロス・ゴーン被告の不正に関する西川広人社長ら現経営陣の責任は追及しないという。

 現在はゴーン被告を含む取締役9人のうち社外取締役3人にとどまるが、この比重を高める。「指名委員会等設置会社」への移行や、社外取締役が指名や報酬など各委員会のトップを務めることも提言に入る方向だ。

https://this.kiji.is/471848262713820257

 

 

 

日産がルノーから離れないためにもジャンドミニク・スナール会長を、フランスは日本に派遣したわけであるが、いくらスナールの懐柔策の効果が高くても、マクロンが折れない限り混乱は避けられないものと、小生は考えている。今後の動向から目が離せない。ルノーと日産の関係はどんな方向に進むのであろうか。

 

 

ルノーの日産「西川社長」の見方が変わった理由

スナール会長は日産との関係を改善したい

レジス・アルノー : 『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員

20190223

ルノーのスナール会長の胸の内は(写真:Philippe WojazerReuters

「この近くに教会はありませんか?」。数年前、ミシュランのジャンドミニク・スナールCEO(当時)は、出張で日本を訪れていた。この日は日曜日で、彼は同胞のクリスチャンたちと礼拝ができる場所を探していた。このとき、誰も同氏のことを気にかける人はいなかった。

だが、2019214日、パリ=シャルル・ド・ゴール空港では、数十人のフランス人ジャーナリストがスナ―ル・ルノー会長を待っていた。そして、日本に着くと、成田国際空港では数十人の日本人ジャーナリストが彼を待ち受けていた。

スナール会長は「和解策を持ってやってきた」

全世界の注目を集めるようになったスナール会長にとって、今や願いはただ1つだけだ。ルノー日産自動車が「普通の会社」になること、それだけである。簡単なことのように見えるが、日産のカルロス・ゴーン前会長が逮捕されてから3カ月が経った今、これはとてつもなく難しい課題だ。スナール会長に目下求められている役割は、日仏の「パートナー」の仲を改善することなのである。

今回日本を訪れたのも、ルノー・日産の提携関係を強固なものにすることが目的だった。スナール会長は14日夜、日産の西川廣人社長兼CEO三菱自動車の益子修会長兼CEOと夕食をともにした後、16日に帰国するまでそのほとんどを日産で過ごしたとされる。

この場でどういう話し合いがあったかはほとんど明らかにされていないが、1つ明らかなことがある。スナール会長とって、日産との関係を改善するのは今しかないということだ。「スナール会長は、“オリーブの枝(和解策)”を持って日本へやってきた」と、同会長に近い関係者は話す。

ルノーが日産株43%を握っていることを考えれば、スナール会長はもっと強気に、日産にモノを言うことができる立場にあるはずだ。しかし、関係者によると、「彼はすばらしい人物でタイヤ会社のCEOとしては優れているが、自動車業界のことも、ルノーのことも、日産のことも、そして日本のこともよく知らない」と話す。

こうした中、争いを好まない同会長は、西川社長とも対立するよりうまくやろう、と考えているようで、自らがゴーン会長の後を継いで日産の会長になろうとは考えていない。今は役員の1人として、日産がガバナンスを立て直すのを見守っていようという立場である。

目下、スナール会長にとって、日産に関する最大の問題は、日産の取締役会である。フランス人、いや、ほとんどの外国人から見ると、日産の現取締役会は株主の利益を考慮した体制とは言い切れない。

それよりは、多くの日本企業と同じような取締役会――独立した会社の監督者でなく、戦略について議論する内部の役員の集まりにすぎない。彼らは経営について厳しい質問をしない。それがされていれば、ゴーン氏をもっと統制できていただろう。

スナール会長が望む取締役会の姿

スナール会長を知る関係者によると、同会長は日産の取締役会が、必要あらばトップに厳しい質問もできるような体制になることを望んでいる。また、同会長は、日産の次期取締役会はルノーの取締役会と協調すべきことから、取締役会のメンバーも重要だと考えている。

スナール会長にとって、“グッドニュース”は、6月の株主総会で取締役会のメンツが見直されることだろう。

取締役会メンバー9人のうち、ゴーン氏とグレッグ・ケリー取締役はすでに解任決議されているほか(48日に臨時株主総会開催予定)、志賀俊之取締役も6月の任期満了に伴い退任する見通しだ。ルノーのジャンバプティステ・ドゥザン氏とベルナール・レイ氏はどちらもゴーン氏の側近で70歳を超えていることから退任すると見られる。

社外取締役の元レーサー、井原慶子氏と豊田正和氏についても、「もともとゴーン氏が連れてきた人物で、企業経営の経験も知識もまったくない。社外取締役としてまったく取締役会に影響を及ぼしていなかった」(日産関係者)ことから、退任すると見ていいだろう。

では、逆に誰が「残る」のだろうか。

西川社長が残る可能性は大きい。元上司を裏切ったことに対して、一部のフランスの新聞から「ブルータス」というあだ名をつけられた西川社長は、ゴーン氏逮捕直後はルノー本社で最も人気のない人物だった。ゴーン氏に関する社内調査について、大株主であるルノーに一切報告も警告もしなかったからだ。

しかし、時間が経つにつれ、ルノー社内で西川社長に対する評価が変わってきている。一部の取締役会は依然、ゴーン氏は「はめられた」と考えているようだが、同氏の私生活が明らかになるにつれ、西川社長を賞賛する声が高まってきている。誰も声を大にして言わないが、西川社長は日産およびルノーの誰もが手をつけなかった「汚れ仕事」をやった、と見られているのだ。

日産がルノーから得たもののほうが大きい

今後、日産とルノーは関係を修復し、アライアンスを維持することはできるだろうか。そのカギを握るのは、西川社長だとの見方が大半だ。西川社長は、ルノーとの「より対等な関係」を望んでおり、ルノーによる臨時株主総会開催の要求も拒否するなどしている。日産にとって何より重要なのは独立性を維持することなのである。

が、外国人投資家からは、西川社長のこうした態度に懸念の声も上がっている。「西川社長の態度は本当に信じられない。ほかの企業と同様、日産も大株主であるルノーの要請には応じる必要がある。西川社長の一連の言動は、日本に投資する外国人に恐怖感しか与えない」(香港に拠点を置く投資銀行CLSAの自動車アナリスト、クリス・リヒター氏)。

目下、日本ではいかにルノーが日産から利益を得ているかを伝える報道がほとんどだ。だが、西川社長はこれまで日産がルノーから得てきたもののほうが、日産がルノーに与えたものよりも大きいということを忘れるべきではない

1999年、ルノーが日産と提携した際に、ルノーのチームとして関わったある人物は言う。「日産を守るために、ルノーは中国市場にはかなり遅れて参入したし、(撤退した)アメリカ市場に再参入することもなかった。また、採算性の高いSUVや高級車も躊躇しながら投入している。ルノーは日産にコストカットの方法だけでなく、魅力的な自動車の開発や企業経営のノウハウも教えてきた」。

「だが、日産もルノーも今や技術開発では競合他社の後塵を拝している。特に電気自動車(EVではかなり後れをとっている。日産はこれまで『リーフ』の開発に50億ドル以上費やしてきたが、国の補助金があったとしても売れていない

216日に日本を去ったスナール会長。次の礼拝では日産とルノーの関係改善、そして、同じくクリスチャンであるゴーン氏のために祈りを捧げるのかもしれない。

 

https://toyokeizai.net/articles/-/266956

(続く)