Ghosn,Gone with the Money(75)

そしてその覚書の8項目には、わざわざルノー会長は日産の会長職・取締役会の議長ではなくて、副議長でよい、と明記している。これこそルノーの深謀遠慮なのではないのか、と小生には感じられる。何と言っても、アライアンスボードの議長はルノーが執っている。この方が、現状では動きやすい、とルノーは考えたものと思われる。狡猾である。

 

 

 

ルノー日産自動車三菱自動車、新しいアライアンス オペレーティング ボードを創設

20190312

ルノー S.A.日産自動車株式会社・三菱自動車工業株式会社は、本日、ルノーの会長 ジャンドミニク スナール、日産自動車の取締役社長兼CEO 西川 廣人、ルノーCEO ティエリー ボロレ、三菱自動車の取締役会長CEOの益子 修が、アライアンス オペレーティング ボード(以下、アライアンス ボード)を新たに設立する意向を表明しました。アライアンスの継続的な強化と今後の成功を支える土台作りを目指す同ボードの議長は、ルノーの会長であるスナールが務め、日産、ルノー、および三菱自動車CEOが同ボードに加わります。


アライアンス ボードは日産、ルノー、および三菱自動車3社の協業を推進するとともに、各社の株主および従業員の価値創造を実現するための取り組みを追求していきます。

同ボードは、RNBVおよびNMBVに代わり、アライアンス内のオペレーションおよびガバナンスを監督する唯一の機関となり、アライアンスの「新たなスタート」の顔として、けん引します。

アライアンス ボードによるオペレーション上の意思決定は、アライアンスのWIN-WINの精神に則り、同ボードメンバーの合意に基づき、行われます。

3社間で合意されたMOUMemory of Understanding、覚書)は別添()の通りです。

本件の正式契約は、アライアンス発足20周年記念にあわせて締結する予定です。

アライアンス ボードは、毎月パリまたは東京で開催され、アライアンスの重要な価値創造を目的とする取り組みやその成果をステークホルダーに対し、定期的な状況報告を行ってまいります。同ボードはパートナー3社の価値の拡大を実現する、新たな手法の提案および実行を推進する為、具体的なテーマに沿ったプロジェクトを立ち上げます。

アライアンス発足20周年を迎えるにあたり、日産とルノーの取締役会は、これまでアライアンスが両社とそのパートナーにもたらしてきた多大なる貢献を改めて評価します。

アライアンス ボードは、日産、ルノーおよび三菱自動車が力を合わせて急速な変化及び競争の激化に直面する世界の自動車業界においてトップの座に立つための一助となるべく設立されます。

日産、ルノー、および三菱自動車の従業員の強い決意と貢献、そしてダイムラーとの建設的な協力関係を通じて、アライアンス ボードはすべてのパートナーにメリットをもたらしWIN-WINになる取り組みを引き続き追求してまいります。

 

https://newsroom.nissan-global.com/releases/190312-02-j?lang=ja-JP&la=1&downloadUrl=%2Freleases%2F190312-02-j%2Fdownload

 

 

 

別 紙

覚 書

 

アライアンスの新たなスタートおよびアライアンス ボードの設立

 

1. ルノー日産自動車(以下、日産という)、三菱自動車工業(以下、三菱自動車という)の各社はアライアンスの大きな成功を認識している。3社は、今後もアライアンスの継続を全面的に支持し、アライアンスの強化を願うものである。

 

2. アライアンス発足 20 周年を迎えるにあたり、アライアンスの「新たなスタート」をここに誓約する。

 

3. ルノー、日産、三菱自動車の代表者で構成されるアライアンス オペレーティング ボード(以下、アライアンス ボードという)を設立し、ルノー、日産、三菱自動車の更なる協力を推進し、担保するものとする。

 

4. アライアンス ボードは、RNBV およびNMBV に代わり、アライアンスのオペレーションおよびガバナンスを監督する唯一の機関となる。アライアンス ボードは、アライアンスの「新たなスタート」の唯一の顔として、主たるけん引役となる。

 

5. アライアンス ボードは以下4 名を中心に構成される。

(アライアンス ボードの議長となる)ルノーの会長、ルノーCEO、日産のCEO三菱自動車CEO
アライアンス ボードによるオペレーション上の意思決定は、WINWIN の精神に基づき同ボードメンバーの合意により行うものとする。

 

6. ルノーの会長が、アライアンス ボードの議長を務めるものとする。

 

7. アライアンス ボードは、事実上、RNBV に代わり、RNBV が担ってきたガバナンス機能を果たすものとする。RNBV は存続し、アライアンス ボードの予備として機能するものとする。RAMA および関連するマネジメント協定および権限移譲の効力は継続するものとする。実際面では、アライアンス ボードにおける協力により、コンセンサスに至り、当事者によって実行に移されるものと考える。

 

8. ルノーの会長は、日産の指名のもと、臨時株主総会の承認をもって、同社の取締役に就任する予定である。ルノーの会長が、日産の取締役会副議長代表取締役に適した候補者であると想定される。ルノーと日産の両社は、日産の会長およびその他事項に関するガバナンス改善特別委員会による提言を待望している

 

9. アライアンスの力強い歴史は、アライアンス ボードによってより一層、強化され、アライアンスのWIN-WINの取り組みが継続し、加速化することを期待している。既存のアライアンスおよび各企業の組織の支援のもと、アライアンス ボードに直接レポートし、迅速な意思決定を図ることで、より機敏に共通の戦略的プロジェクトの実行に重点的に注力することを通じ、事業活動は向上し、加速化することを期待する。

 

https://www2.infomart.co.jp/web/jp/images/upload/424/140120190312489322_7081225.pdf

 

 

 

日産の西川社長兼CEOは、初めて笑顔を見せている。経営統合問題から解き放されて、ルノー・日産のアライアンスの本来の業務に立ち返ったからである。

 

但しこのアライアンスの本来の業務の運営がボードメンバーの合意(覚書NO.5)により行われると記載されているように、ボードメンバーは4人中2人がルノー側が占めていることに、注目しておく必要がある。どうしても合意できない事態が発生した場合には、ルノー側が優位になる事態が想定されることも多々あるのではないのかな。それが心配である。西川さんも笑顔を見せている暇はないよ。

(続く)