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ゴーン前会長の初公判 9月に開く方向で協議 東京地裁

20193201752ゴーン前会長

 

日産自動車カルロス・ゴーン前会長の事件で、東京地方裁判所がことし9月に初公判を開く方向で協議を進める考えを検察と弁護団に示したことが、関係者への取材で分かりました。検察は、ゴーン前会長の来日後の報酬総額は314億円に上り、高額の報酬が明らかになるのを避けるためさまざまな工作を側近に指示していたと主張する見通しです。

 

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日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン被告(65)は、みずからの報酬を有価証券報告書に少なく記載した金融商品取引法違反の罪や特別背任の罪で起訴され、20日、東京地方裁判所で裁判所と検察、弁護団が今後の裁判の進め方を協議しました。

関係者によりますと、この中で裁判所はことし9月に初公判を開く方向で協議を進める考えを示したということです。また、初公判の前に争点を整理する手続き5月23から始めることが決まったということです。

一方、検察が裁判で立証する予定の内容の詳細も関係者への取材で明らかになりました。検察は、ゴーン前会長が平成11年に来日してから19年間の日産の報酬総額は314億円に上り、9年前に導入された1億円以上の役員報酬の開示制度が過少記載のきっかけだったと指摘する見通しです。そのうえで、高額の報酬が明らかになるのを避けるため、金融庁などへの働きかけを部下に指示し制度の導入を阻止しようとしたほか、報告書に記載していない未払い分の報酬退任後に受け取るさまざまな方法を側近に検討させていたと主張するものとみられます。

これに対し、ゴーン前会長は全面的に無罪を主張していて、弁護士によりますと、争点を整理する手続きには前会長も出席する意向だということです。

 

検察が立証予定の内容詳細

 

ゴーン前会長がみずからの報酬を有価証券報告書に少なく記載したとされる事件について、検察が裁判で立証する予定の内容の詳細が関係者への取材で明らかになりました。

 

報酬の決定権限はゴーン前会長に

 

それによりますと株主総会で決められた日産の取締役の報酬総額は平成20年6月以降、299000万円が上限で、平成15年6月から各取締役への報酬の配分はゴーン前会長に一任されました。そして各取締役の報酬額はゴーン前会長が最終的に決定していたとしています。

 

前会長の報酬の内訳

 

ゴーン前会長には業績に連動する報酬を含む基本年俸や賞与が支給され、光熱費や家族の航空券代なども報酬に加算されていたということです。また前会長は日産からの報酬のほかに平成24年度からはオランダに本店を置く日産の子会社「ニッサンインターナショナルホールディングスBV(NIH)」からも年間50万ユーロの報酬を受けていました。

 

報酬の推移は

 

ゴーン前会長の報酬は日産に入った平成11年度はおよそ3億円でしたが、平成14年度からは10億円を超え、平成20年度は26億円あまりにまで増えたとしています。その後、リーマンショックの影響で報酬はいったん減りましたが、逮捕前の平成29年度は249100万円で、ゴーン前会長の来日から19年間の実際の報酬総額はおよそ314億円に上るとしています。

(参考:ゴーン前会長の報酬額の推移)
平成11年度3億400万円、平成12年度5億2600万円、平成13年度6億9500万円、平成14年度103100万円、平成15年度147000万円、平成16年度155000万円、平成17年度169300万円、平成18年度16700万円、平成19年度143700万円、平成20年度262300万円、平成21年度143900万円、平成22年度177700万円、平成23年度189400万円、平成24年度202500万円、平成25年度194600万円、平成26年度221300万円、平成27年度228200万円、平成28年度24200万円、平成29年度249100万円

 

過少記載のきっかけは

 

検察は平成22に導入された役員報酬の「個別開示制度」が過少記載のきっかけだったとしています。

金融庁は平成22年2月、1億円以上の報酬を得た役員の名前や金額を有価証券報告書に記載するよう義務づける内閣府令の改正案を公表し、制度の導入に向け本格的に動き出します。平成20年度の報酬は26億円を超え、毎年10億円をはるかに上回る報酬を受け取っていたゴーン前会長は、高額の報酬が明らかになるのを避けるためグレッグ・ケリー前代表取締役や渉外担当の専務執行役員らに金融庁などへの働きかけを指示導入を阻止しようとしたとしています。しかし、「個別開示制度」は平成22年3月に導入され、役員報酬平成21年度の有価証券報告書から開示の対象になりました。

 

報酬隠蔽の方法は

 

ゴーン前会長は平成21年度分の報酬から過少記載を検討し、平成22年3月下旬、報酬の開示額を8億9000万円とするよう当時の秘書室長に指示したとしています。そしてすでに受け取っていた報酬から7億円を、いったん日産に返金し、その7億円は、翌年度に連結対象ではない日産とルノーの統括会社「ルノー・日産会社(RNBV)」から受け取る計画だったとしています。しかし、ケリー前代表取締役は平成2210月ごろ、RNBVから支払えば、ゴーン前会長への支払いはフランスで開示対象になるおそれがあるとして断念したとしています。ゴーン前会長の指示を受けたケリー前代表取締役や当時の秘書室長はほかにも別の子会社から支払う方法を検討しましたが、前会長はこれを採用せず、平成23年2月から3月にかけて取締役退任後の相談役や顧問の報酬名目で未払い分の報酬を支払う方法を検討するよう指示したとしています。そのうえで、ゴーン前会長は平成23年4月平成21年度と22年度の総報酬、支払い済みの報酬、未払い報酬をそれぞれ1円単位まで具体的に記載し、未払い分の報酬については退任後の顧問などの報酬名目で支払うと記載した書面を秘書室長に作成させみずから署名したとしています。また同様の文書は平成25年4月にも作成され平成23年度と平成24年度の報酬が記載されていたとしています。

 

さまざまな報酬隠蔽策を検討か

 

ゴーン前会長はその後も未払い分の報酬を開示せずに、退任後に支払うさまざまな方法について検討や準備を続けさせたとしています。その1つが退任後の顧問としての報酬や退任後に競業に就くことを避けるための対価の名目で支払う方法で平成23年、平成25年、平成27年に書面を作成させたということです。

2つめが役員の退職慰労金を増額する方法です。日産では平成19年6月に役員の退職慰労金として総額65億円を支払うことが承認され、このうち44億円がゴーン前会長に、支払われる予定で費用が計上されました。この支給額を増額して未払い分の報酬の支払いに充てるため平成25年度の決算で241800万円が追加計上されたとしています。

3つめは優秀な執行役員などを引き止めるために将来的な報酬を約束する「長期インセンティブプラン」と呼ばれる制度を使って支払う方法です。この制度には平成26年度から平成28年度までに合わせて851500万円の費用が計上されました。そして平成21年度から24年度までの未払い報酬額と1円単位で完全に一致する金額をこの制度で受け取る「権利付与書」が後付けで作成され前会長も署名しましたが、税務調査で説明を求められるなどしたため、計画が取りやめられたとしています。

このほか自社の株を1円で買う権利が得られる「1円ストックオプション」を導入し、未払い分の報酬の支払いに充てることも検討されていたとしています。

 

ケリー前代表取締役との共謀時期は

 

報酬の過少記載についてゴーン前会長とケリー前代表取締役は一連の経緯を通じて遅くとも平成23年6月までには共謀したとしています。

 

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(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190316/k10011850441000.html?utm_int=detail_contents_news-related_001)

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190320/k10011855031000.html

 

 

 

まあゴーンは既に過去の人となってしまっているのであるが、これほど巨額な報酬を取っていたとは、誠に驚きである。これでも欧米の水準に比べると、少なすぎると文句を言っていた様だが、驚き以外の何物でもない。盗人猛々しいとはこんなことを言うのであろう。

(続く)