世界自動車大戦争(16)



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 提携会見で握手する田中富士重工業社長(左)とワゴナーGM社長

99年にはゼネラル・モーターズGM資本提携した。日産の出資比率は5%未満だったがGMは約20%を出資。環境技術の共有など次世代を見据えた提携を模索した。ただ、効率を重視するGM流の経営と独自技術にこだわるスバルは相性が悪く「文化の違い」は埋まらなかった

課題の高コスト体質も改善できないままだった。GMの経営悪化で05に提携を解消した時には本格的なリストラを迫られるまでに業績が悪化した。

GMに代わりスバルの株主となったのがトヨタだ。まずは株式の8.7%を取得して筆頭株主となった。

スバル支援の色も濃かったものの、スバルも「経営の独立性の保持が大前提」(当時の竹中恭二社長)と、一定の距離を置く姿勢だった。スバルの米工場でトヨタ車の生産を受託するなど生産面での協業から始まった。

転機になったのが08だ。トヨタ300億円を投じて出資比率を16.5%まで引き上げた。背景には米市場の低迷でスバルが苦境に立たされていたことがある。

 

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提携を発表する富士重工業の竹中社長(右)とトヨタ自動車の木下副社長(2005105日、東京都中央区

スバルが事業の選択と集中を加速する動きの中で、両社の協業はもう一段踏み込んだ形になっていった。スバルはトヨタとの間で小型スポーツ車の共同開発に乗り出したほか、軽自動車生産トヨタグループのダイハツ工業へ委託した。

その後、小型車「インプレッサ」のヒットなどで業績が改善したこともあり、16には米工場でトヨタ車の受託生産を終えた。世界の新車市場も頭打ちとなり、両社の協業は次世代車が台頭する新たな時代での生き残りへと焦点が移る。トヨタ豊田章男社長は「仲間づくり」と呼ぶ緩やかな連合で新技術の開発を急ぐ。スバルもトヨタハイブリッド技術の採用や電気自動車(EVの基盤技術の共同開発などトヨタの技術を積極的に取り入れる姿勢になっている。

 

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スバルの「水平対向エンジン」は独自路線の象徴だ

スバルの独自路線は転換期を迎えている。同社の代名詞とも言える水平対向エンジンは欧州勢が相次ぎ撤退しても、採用し続けることで「スバリスト」と呼ばれる熱心なファンを生んだことは確かだ。しかし新技術の領域では苦戦が続く

13年に独自開発したハイブリッド(HV)は燃費が悪く後継車からトヨタの基盤技術を使う。99年には、いち早く車載カメラによる運転支援システムを実用化したが、自前での開発にこだわりすぎ、自動運転では外部の経営資源を生かした日産などに後れを取る。17年秋に発覚した一連の検査不正問題からの信頼回復も道半ばだ。

6月の株主総会で中村知美社長は「次世代技術の取り組みは自社で全てはできない。トヨタとの提携を生かしたい」と話しながら、「そこで独自性をどう生かすかは重要なテーマだ」と本音もにじませた。ユニークな存在であるがゆえに、他社との提携が壁にぶちあたってきたスバルの歴史を塗り替えることができるか。来年で15年の節目を迎えるトヨタとの関係構築がスバルの命運を握ることになりそうだ。(山本夏樹、浅山亮)

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50288890X20C19A9000000/?n_cid=NMAIL006

 

 

いわゆる一連の検査不正問題は、2017/09/18国交省日産車体湘南工場に立ち入り、無資格検査が判明したのを皮切りに、翌日の09/19には日産自動車の各工場での検査不正が見つかり大騒ぎとなったことの始まる。この車両検査の不正は、日産系の工場での無資格検査や検査データの書き替え不正に発展し、その過程でスバル排ガスデータの改ざんを行っていたことが判明したのである。その後マツダ、スズキ、ヤマハの三社でも排ガス検査不正が判明し、大事になっている。スバルの吉永泰之社長が、汗タラタラで謝罪会見を行っている。詳しくは小生のブログ「Ghosn,Gone with the Money11~」(2018/12/25~)を参照願う。

 

こんな訳で、スバルとしてもCASEがらみの研究開発もさることながら、体質改善のためにもトヨタの資本を入れる必要を感じたのかも知れない。

 

トヨタとスバルの業務資本提携のプレスリリース(2019/9/27)によれば、次のようになっている。

 

 

トヨタとSUBARU、新たな業務資本提携に合意

20190927

 

トヨタ自動車株式会社
株式会社SUBARU



(略)

資本提携の内容

 

トヨタによるSUBARU株式の取得

SUBARUによるトヨタ株式の取得

取得株式数

議決権比率20%に達するまでの株式数
2019331日現在では
24,289,500
株(議決権比率3.17))

なお、本業務資本提携に基づく、トヨタによるSUBARU株式の取得により、トヨタの議決権比率は現状の16.83から20%以上となり、SUBARUはトヨタの関連会社となる見込みです。

左記のトヨタによるSUBARU株式の取得に要した金額と同額(800億円を上限とする)に相当する株式数

取得方法

市場買付け及び/又は相対取引を通じた買付け

取得時期

競争当局の承認が得られ次第取得予定



(略)

 

https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/29916230.html

(続く)