世界自動車大戦争(44)

さてこのゴーンの逃亡劇の裏には、相当巨大な組織、例えばレバノン政府関係の組織など、がかかわっていることは、容易に推察できる。そうでなければゴーン1人では、世界一流のプロの手配師を使うことはできなかったはずだ。

 

次の記事によると、その手配師たちは元米陸軍特殊部隊員(グリーイベレー)の米警備会社の人間だったと言っている。このほかには、ゴーン宅を訪問した楽団員達がいる。その他連絡係や元グリーンベレーなどと交渉したり、ゴーンの金庫か口座から金を引き出すなどの諸々の諸手配をする要員(夫人の役割は大きい)も必要となったものと思われるので、相当の陣立てだ。ちなみに、この手配師を雇う費用は、さるテレビでは22億円と言っていた。

 

どこでゴーンを楽器ケースに入れて、どのようにして空港まで運び、どのように手続きをして、プライベートジェットにそれらを積み込んだのか、その間の荷物検査をどのようにすり抜けたのかは興味は尽きないが、解明が待たれるものである。

 

 

ゴーン被告、元米特殊部隊員と逃亡か 音響用ケースに潜む?―米紙

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日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告=2018年11月、仏北部モブージュ(AFP時事) 

日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告=2018年11月、仏北部モブージュ(AFP時事)

 【ニューヨーク時事】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は3日、トルコ経由でレバノンに逃亡した日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告が日本から脱出する際、コンサートの音響機器運搬に使われる黒いケースに潜んでプライベートジェット機に乗り込んだと報じた。複数の関係者の話として伝えた。トルコまでは元米陸軍特殊部隊員の米警備会社関係者ら2人が被告に同行したという。

ハリウッド関係者と面会 ゴーン被告、逃走前に映画の相談―米紙

 同紙によると、ケースの底には呼吸用に穴が開けられていた。逃亡に使用された2機を貸し出したトルコの民間航空会社MNG航空が、フライト後に機内から二つのケースを発見。うち一つにはスピーカーが入っていた。
 MNGは今週、ゴーン被告の名前が記録に残らないよう文書を改ざんしたとして従業員を告発。この従業員はトルコからレバノンまで被告に同行していた。従業員は捜査当局に、ケースが被告の輸送に使われた経緯を説明したという。
 トルコの空港で被告は雨の中、車で空港内を移動し、別のジェット機に乗り換えた。
 一方、日本~トルコ間の乗客名簿には米警備会社関係者とみられる男性2人の名前のみが記載されていた。2人はトルコからレバノンへは民間旅客機を利用。旅券には日トルコ両国の出国スタンプがあった。
 ゴーン被告の日本脱出に先立ち、2人はケースを積んだプライベートジェットでドバイを出発し、昨年12月29日午前10時16分に日本に到着。ゴーン被告は同日夜に日本を出国した。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020010400190&g=int

 

 

 

音響機器運搬に使われる黒いケースとは、どんなものであったのか。

 

コントラバスのような巨大な楽器ケースであれば、170cmのゴーンでも普通に隠れることが出来そうだ。しかも上記の記事によれば、二つの空気穴があけられていたと言うので、こんなケースだったのでしょう。

 

さるテレビでも放映していたが、高さ1mの楽器ケースでも屈(かが)めば大人一人は、優に入っていれるようだ。プライベートジェットに搭載されるまでの間であれば、これ位の楽器ケースでも十二分に人一人は隠せるようだ。こんなものであれば、キャスターがついているので、人間の手でも運べそうだ。

 

 

しかもプライベートジェットの出国であれば、自分の飛行機を自分で爆破するはずがないと考えられているので、出国検査はとても緩いと言う事である。常にプライベートジェットを使っていたので、このことをゴーンは十二分に弁えていた筈なので、管理がより手薄になる年末の時期を狙って、ゴーンは荷物となって見事出国していったと言う事のようである。

 

 

ゴーン逃亡に沈黙し続ける日本政府の「無責任」

各国の政府関係者はコメントしているのに

レジス・アルノー : 『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員

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日本から逃亡したゴーン氏の足跡が少しずつ明らかになってきているが、日本政府や入管当局はいまだ沈黙を貫いている(写真:REUTERS/Issei Kato

「沈黙」は、遠藤周作による非常に美しい小説の題名だ。それはまた、マーティン・スコセッシが最近、それを原作として制作した映画の題名でもある。そしてそれは今、日産自動車前会長のカルロス・ゴーン氏の華々しい逃亡劇に対する日本の政治家や当局者たちの反応を雄弁に物語るものとなっている。

ゴーン氏が昨年末、突如としてレバノンの首都、ベイルートに姿を見せて以来、フランス、トルコ、レバノンの官僚たちはみな、この事件についての見解を表明している。ところが、日本の政治家たちは沈黙している。この国際的な話題のいちばんの当事国であるにもかかわらずだ。出入国管理手続きの任を負う法務相ですら、この問題の事実についてコメントしていない。

民間警備業界では知られた人物が助けた?


報道によると、昨年1229日に、TCTSRと呼ばれるプライベートジェット機ボンバルディア グローバル・エクスプレスが、トルコの会社であるジェット航空ASによる運航で、関西国際空港のプライベートジェット機専用施設「玉響(たまゆら)」から、楽器ケースに入ったゴーン氏を乗せてイスタンブールへと飛んだ。

米ウォールストリート・ジャーナル紙によれば、機内には乗客2人しかいなかった。そのうち1人は、「民間警備業界という小さな狭い世界では知られた男」と同じ、マイケル・テイラーという名であったという。ジョージ・ザイクと名乗るもう1人は、テイラー氏とのつながりを持つ警備会社の従業員と同名だった。

この2人がおそらくゴーン氏を運んだのだろう。この一行は数個の非常に大きな荷物を携行しており、そのなかにはゴーン氏を入れていた楽器ケースも含まれていたという。

航空機をリアルタイムで追跡するFlightradar24で入手できるデータによると、TCTSR機は関空を飛び立つ前日、28日にマダガスカルアンタナナリボを出発、ドバイに立ち寄り、関空に到着した。

アンタナナリボはこの一連の出来事で重要な役割を果たしたかもしれない。その理由はマダガスカルの立地にある。アンタナナリボにあるイヴァト空港は多くの航空機が利用する重要な航空ルートから離れた場所にあり、保安管理が緩いことでも知られているのだ。アフリカに近いことから、この地域で紛争があった場合など、警備会社が要人の脱出を図る際にも利用されている。

つまり、ゴーン氏を「解放」するミッションを受けた警備会社にとって、アンタナナリボは絶好のスタート地点であった。ドバイに立ち寄ったのは、おそらく航空機に給油するためだろう。関空の玉響ゲートを通って前述の2人が29日、日本に入国したのだとしたら、彼らは入国後すぐにゴーン氏と落ち合い、彼を楽器ケースの中に入れ、税関を通って日本を出国したということになる。


プライベートジェットの荷物検査はゆるい


なぜこんなやり方をしたのだろうか。

それは脱走するのにあたってゴーン氏が越えなくてはならない国境はただ1つ、日本の国境だけだったからだ。偽造パスポートを使い、マスクを着用し、普通の飛行機かプライベートジェットを利用することもありえた。しかし、ゴーン氏は通常の旅客機ではほかの乗客など周囲に、プライベートジェットの場合は入管職員に見つかるリスクを負うことになる。

ゴーン氏が“荷物”として飛行機に乗り込むことにもそれなりのリスクはあった。1つは、入管職員に見つかることだ。しかし頻繁にプライベートジェットを利用していたゴーン氏は、世界的な傾向としてプライベートジェットゲートでの荷物検査は、実は非常に手薄であることを知っていたのだろう。

「空港の荷物検査は武器や爆発装置を検知するために実施されている。プライベートジェットの場合、顧客が自らを噴き飛ばしたいはずはないから、彼らの荷物はほとんど検査されない。まったく確認しない場合もある」と、空港運営に関わる企業のある役員は打ち明ける。そこで、ゴーンは荷物となってプライベートジェットに乗り込むリスクを選択したわけだ。

出入国審査官が楽器ケースのように見えたものを適切に検査せず、あるいはいっさい確認せずに機内に載せてしまった可能性が非常に高いのはそのためである。ゴーン氏の身長は約170㎝なので、全長2m程度の箱が必要だ。そのような巨大な箱は通常のX線検査装置には通せないため、口頭でのやり取りだけで通過できた可能性がある。

今夏のオリンピック開催に先駆けて、日本の入国管理局は空港セキュリティ対策の詳細をメディアに披露し、日本の国境管理がスムーズかつ安全であることを示してきた。これは、日本にとっても、他国にとっても非常に重要なポイントである。だからこそ、出入国在留管理庁昨年1228日と29日に関空の玉響で何が起こったのか――誰が飛行機に乗っていたのか、手荷物の適正な検査は行われたのかなど――すべてを詳細に説明する必要がある

そうしたことを説明しない一方、意味のない断片的な情報は一部メディアに提供している。例えば、NHKは、TCTSR機に載せられた荷物は「高さ1メートル以上」であり、「荷物の検査は必要なさそうだった」と報道した。

が、われわれが実際に知りたいのは、荷物の大きさはどれくらいだったのか、検査は行われたのか、検査されたという文書あるいは映像証拠はあるのか、ということで、こんな断片的な情報ではない。

こうした疑問に対する答えも出始めている。が、それは日本の入国管理局や政府から出てきたものではない。飛行ルートを明らかにしたのはFlightradar24だし、ウォールストリート・ジャーナルはトルコ航空当局のおかげでゴーン氏が入っていた楽器ケースの写真を見ることができた。ゴーン氏逃亡に関する情報は日本人よりトルコ人のほうが知っているのではないかと思ってしまうほどだ。

逃亡前日「変わった様子なかった」


ゴーン氏の複数の知人によると、同氏は保釈中、厳しい規則をしっかりと守っていた。会った人の名前を11人忠実に書き留めて報告していたし、決められた電話しか使用するのを許可されていなかったため、別の電話の画面を見ることすら拒否していた。保釈の規則に違反したとして非難されることを避けるためだった。

ゴーン氏は逃亡計画を親しい友人にさえ隠していた。「彼が日本を去る前日に会ったが、普段と変わった様子はなかった」と友人の1人は話す。

日本の伝説的な犯罪者の1人は、3億円事件の犯人だ。1968年、彼は警察官に変装し、現金輸送車を盗んだ。日産はカルロス・ゴーン3億ドル(日本円で300億円)を違法に使用したとし、民事裁判でカルロス・ゴーンを訴え、可能な限り使われた金を回収するつもりだ。ゴーン氏の驚くべき逃亡は、「300億円事件」と呼ぶことができる。

一連の逃亡劇がどうしておきたのか、そして、政府はこれについてどう考えているのか。関係者が一様に口をつぐんでいるさまは異常である。世界は日本からの説明を求めている。

 

https://toyokeizai.net/articles/-/323007

 

 

 

これを裏付ける記事もあるので、それを次に紹介しておく。

(続く)