ヤマハ、無人ヘリ違法輸出(1/2)

先のブログ(5/8、中国の対日特殊工作)で、ヤマハの「無人ヘリコプター不正輸出事件」について述べた。

今回はその細部を紹介しよう。これを見ると、ヤマハはつくづく売国企業であることがわかる。しかも企業あげての売国企業だ。

ワック・マガジンズの雑誌・WiLL'07/7月号の加藤 昭氏の「ヤマハ発動機売国企業か」と言う告発スクープ記事がある。これを見ると新聞などに報道されていた内容よりも、詳しく状況が納得できる。

以下、その一部始終を、この内容を引用しながら、説明しよう。

(1)

その発端は、2005年2/22、福岡県警と同入国管理局が、同県田川市の「007TAGAWA」と言うクラブを不法就労や資格外活動容疑で、家宅捜査をしたことから始まる。

そこで日本人3名と中国人女性18名を逮捕、そのうちの一人の日本人が外国人女性を扱う闇のブローカーであることがわかった。

更に、その供述から、中国・大連に隠れ蓑として芸能専門学校があり、背後に大掛かりなブローカー組織が浮かび上がる。

ここで福岡県警は、ピンと来たのである。

そして、複数の中国人が浮かび上がり、日本に怪しげな会社を経営している二人の中国人の存在が判明した。

疑惑の会社は、江戸川区のマンションの一室が所在地の「東華商事」と言う中国系商社。

(2)

福岡県警外事課は、数ヶ月内偵調査を行い、2005年4月入管難民法違反で「東華商事」の家宅捜査を実施、代表者の中国人男性社長を逮捕した。

この時のガサ入れで、福岡県警外事課は、驚くべき『物的証拠』と『重大な供述』を得ることになる。

『驚くべき物的証拠』とは、一枚の名刺

それには、「ヤマハ発動機株式会社 スカイ事業部主査 板垣 孝文」と書かれていた。

そして逮捕された中国人代表者の供述は二転三転していたが、最後には次の供述を得ることとなった。

「自分は中国のさる公的機関から派遣された職員で、その組織から命じられ、軍事力強化のため、日本企業から無人ヘリコプターを入手する工作をしていた。」と言うもの。

男はその公的機関の名称や指令内容、工作実態などもことごとく明らかにした。

(3)

その後の追及で次のような具体的な事柄が明らかになってきた。

先ず、公的機関の正体。それは、北京に本拠を置く航空写真の会社・「北京必威易創基科技有限公司」、通称BVE社である。

このBVE社は、歴とした中国・人民解放軍の系列企業で、軍のフロント企業だったのである。

つまり、軍事力強化を急ぐ人民解放軍は、系列下のBVE社に「ヤマハ発動機の無人ヘリコプターを入手せよ」と指令し、BVE社が東華商事を使って、ヤマハに接触したと言うことが判って来たのである。

これは、日本の安全保障上の重大問題である。

(4)

名古屋税関は、2005年12月21日、書類不備からヤマハ発動機による無人ヘリコプター中国不正輸出を水際で阻止、コンテナーから無人ヘリ1機を押収した。

通報を受けた経済産業省は、2005年12月22日、静岡県磐田市にあるヤマハ本社に輸出管理体制に関する突然の立ち入り検査を実施した。

無人ヘリの輸出を担当するスカイ事業部の対応はすこぶる非協力的で、他部からは山積みの書類の提出があったがスカイ事業部からは納品書一枚だけ、しかも社員の手は震え、明らかに「まずい」と言うムードに包まれたと言う。

(以上'07.2.24,中日新聞より)

外為法の貿易管理令や省令などでは、薬剤など20L以上運搬可能や、自立飛行が出来たり、視認範囲を超えて飛行制御できる機種の輸出は規制されている。'07.2.23,日経夕刊より)

(5)

2006年1月23日、福岡県警と静岡県警の合同捜査本部は、ヤマハ発動機へ大掛かりな強制捜査を実施した。

そして1,100点もの物的証拠を押収した。

その中には、ヘリの納入先が人民解放軍であることを示す商談メモや、問題のヘリが人民解放軍の施設内で飛行している様子を撮影したDVDなどが含まれていた。

その商談メモには、[東華商事は(BVE社を)トンネル企業として(人民解放)軍から機材調達の指示を受けている]などの生々しい表現があった。

明らかにヤマハ発動機は、

・商談相手のBVE社が人民解放軍の系列企業であることを認識しており、

・輸出しようとしている無人ヘリが、軍事転用されることも承知していた

のである。

(6)

押収された輸出しようとしていた無人ヘリは、飛行実験を繰り返した結果規制対象の高性能機種であることが確認された。'07.2.23,日経夕刊より)

更に、GPSのほか、ヤマハが独自開発した自動運転装置が備えられており、「自動制御により飛行安定性と操縦性を実現するシステム」と結論付けられた。

この無人ヘリは予め飛行経路などを記憶させておけば、無線が届かなくなったとしてもGPSデータに基づいて飛行を続けるため、生物・化学兵器や偵察用など軍事目的に転用できる。('06.1.24,asahi.comより)

(続く)