[3] 小沢とヒットラーの共通戦法
年金問題を政治のテーマにすると言うことは、考えてみれば有権者に年金と言う賄賂を握らせると言うことと同じなのだ。
ヒットラーは1920年代、大量の失業者を抱えるドイツで、この手法をとって年金支給額を増やすと訴えた。これを大衆は熱狂的に支持した。ヒットラーとナチス党は1930年の総選挙で一躍、大政党にのし上がった。
この結果、ドイツの民主主義は崩壊して行ったのである。
ヨーロッパではこの反省から、年金を政治の大テーマにしてはならないとしている。年金制度を変えるときは、必ず超党派で行なうことにしている。
「年金」を敢えて政争のテーマにするのは、反民主主義の価値観を持って体制転覆を狙う勢力なのである。
以前から、日本共産党は、民主党の内部で民主党の真ん中を占めている若い勢力の一人ひとりをオルグしていると言う噂が一貫してある。
階級闘争理念を持っていたり、反体制運動に携わってきた人達がその思想や人脈を温存したまま党内に潜伏している、と言うことになる。
もしそうなら民主党と言う政党は、民主主義国家の二大政党の一角を占めるような、全うな市民社会政党ではない、と言うことになる。
党内に潜伏している勢力は、目に見えない水面下で、どんどん勢力を広げている可能性がある。何よりも民主党は、このような「暗部」を持っている政党なのである。
市民社会的価値観に完全に立脚した政党ではまだない。水面下で広がっている勢力は、左派市民運動などの議会外活動をして力を温存しており、小沢一郎はまさにそことつながってしまっている。
共産主義の闇勢力とつながっているからこそ、「年金問題」の大仕掛けも「政治とカネ」のあれほどの徹底した追及も出来たのである。
参院選の一人区での自民党と民主党の得票数は本当に僅差であり、農家層が全部民主党に動いたのではないことが分かる。小沢は過去一年、各地の地域労働組合の幹部と密接に会談している。「地域労働組合」とは、本来の労組ではなく、共産色が色濃く入っている自治労と日教組である。今やこの二つこそ、地方の選挙で有力な手足を提供するほとんど唯一の勢力なのである。
小沢はこの共産勢力とつながってしまったのである。
もちろん、前原誠司氏の党内保守派や自民党出身の岡田克也氏、鳩山由紀夫氏などもいるが、彼らは少数派でしかないのである。
6.悪魔的政治家の危険性
小沢一郎は、本来は、自民党の保守本流をを行く政治家である。その小沢がなぜ、このような危険な道を選ぶことになったのか。
小沢氏は1993年に新生党を立ち上げ、細川政権を樹立させた。
しかし小沢が「痛恨の極み」と言った村山政権が成立し、その後の新進党、自由党と続く政党遍歴の失敗から、彼は素直な改革論から遠ざかって行った。
そして全うな政治理念から離れ、怨念を持って政治権力へ返り咲きたいと言う執念を燃やしたのではないか。
もう一度政治権力をわが手に、と言う怨念と執念が彼のエネルギーとなっている。
なぜ9月8日に、志位和夫日本共産党委員長が、中央委員会総会を開いたのか。
ここで志位は決定的な方針転換を行なった。日本共産党は「ここが勝負だ」と考えて、この決断を下したと思う。それを促したのは、小沢一郎氏そのものである。
メディアや世論はひとり参院選挙の結果だけを見て論じているが、安倍晋三という政治家が、「これはどうにもならない」と絶望したのは、対米交渉での打開策を失ったのに加え、小沢一郎が日本共産党と「悪魔の密約」を交わしたからに他ならない。
このことを我々は広く認識して日本の自由を守り、民主主義を回復するために、今こそ深く考えねばならないところに立たされているのである、とこの論文は結んでいる。
(終わり)