中国覇権主義(3)

まだある。救助チームを真っ先に派遣したのは良いが、どのような救助活動を

んでいるかの情報収集がぜんぜん出来ていなかったために、日本流の都市

災害用の救助チームを編成して送ったが実際に中国から指定された場所は

土砂災害と言う全く場違いな場所だった。都市型災害用の救助チームの装備で

は土砂災害の救助には全く歯が立たない。これなども、拙速を尊ぶとは言え、事

前に、もっと中国側と意思疎通を図っておく必要があると言うもの。または、日本

隊に合った災害現場を提供してもらうように、派遣と同時並行して粘り強く交渉し

て、適所を提供してもらうことも必要であろう。相手は混乱している最中である。

よくよくうまく話し合うことが日本政府に求められることであろう。まあ今回は日

本隊の救助チームに手柄を立てさせないと言う、中国人民解放軍の思惑もあっ

たから、なおさらやりにくかったことであろうことは推察できる。

まだある。四川省成都市で活動していた日本の医療チームは6/1、11日間の

活動を終えて撤収した。日本隊は総勢23名で、医師4人、看護師7人、薬剤師

人、医療調整員5人と言う構成。災害現場での緊急治療を主とした野戦病院

頭に置いた機能を果たすよう構成されていたと言う。この医療チームも実際の

動に入るまで、2日間も無駄にしている。ロシアなど他国の医療チームには被

地周辺の災害現場での治療を認めているが、なぜか日本チームにはそれ

が認められなかった。日本チームは、結局成都市内の華西病院と言う総合病

院で医療活動をサポートする形で医療支援を行うこととなった。5/22の午前中

に病院に到着し、午後から医療支援を始めたと言われるが、何か吹っ切れない

ものを感ずる。

病院内では集中治療室や人工透析室などで中国人スタッフに協力して、滞在中

に外来患者250人と入院患者延べ280人の治療を行い、それなりに感謝され

ようだが、大いに課題を残している。まず災害現場での活動を想定していた

日本にとって、大病院での活動は将に当て外れで、中国側の要望を知ったの

は現地入り直後だったと言う。一体全体どんな調整を行って現地へ飛んだので

あろうか。明らかにここでも事前の現地との調整が行われていなかった。明ら

かにここでも戦略や企画が欠けている。猪突猛進と言おうか突撃と言おうか、突

貫工事でチームを送り出してしまっている。ここは一呼吸おいて中国側としっかり

打ち合わせをして、現地の要望とこちらの事情とを考え合わせてチームを立ち上

げ現地入りする必要があった。

事実、ドイツは日本より3日遅れて現地入りしているが、病院をまるごと作れる機

材を持ち込み、実際に120床を備えた野外病院を2日あまりで完成させている。

そして中国人の医師や看護師による病院を機能させており、大変重宝がられ、

いたく感謝されていると言う。

ドイツは中国側と事前に綿密な打ち合わせをしており、その結果、都江堰市の病

院の大半が使用不能になったことを把握し、放射線科、手術室、自家発電設備

一病院の施設を持ち込み、日本より3日遅れたが50時間余りで大病院を作

上げている。しかもドイツか派遣した人材と言えば、医師2人と技師ら計10人

けだったと言う。

日本では日本隊の活躍しか報じられていないが、このように他国の救援チーム

医療チームの方が、日本隊と同程度かそれ以上に感謝されていると言う事実

直視する必要がある。町田や福田など日本政府は一寸のおだてで舞い上がっ

しまって、冷静な戦略や企画立案をそっちのけにして、突撃してしまったものと

う。

一呼吸おく沈着冷静な判断と戦略作り、それに必要な現地情報の把握と

情報の分析、それに対する適切な対応策の立案こそが求められるものであ

る。反日の国との付き合いであれば尚のこと、最大の効果を引き出すに必要欠く

らざる対応ではなかったか。

日本のマスコミにも一言。日本隊の情報だけでなく、他国のチームの活動や人民

解放軍の反日的感情も、同様に報道する度量と普遍さを持ち合わせてほしいも

のだ。(続く)