そして以下のステップに従ってこの議論は進む。
[1]中国の国家主権に対する見解
中国の国家主権への思考や行動はアメリカや他の諸外国のそれとは著しく異な
り、主権の発揚や拡大にはたぶんに軍事手段が用いられる、と言うものである、
とまとめている。そのために中国を取り巻く隣接する国々との領有権紛争の原因
となっているのが実状である。
[2]中国、領海法の制定
1992年の全人代(全国人民代表大会)にて制定。領有権が争われている南沙
諸島、西沙諸島、台湾、尖閣諸島を含む多様な地域の主権を一方的に宣言す
る『領海法』を成立させた。この法では紛争地域を含む海域を勝手に中国領海
とみなし、人民解放軍がその『領海』を防衛する権利をも主張している。
(ジューン・ドレイヤー氏=マイアミ大学教授)
中国は領土や領海への主権の主張に対しては、国際法は無視して、自分勝
手に法律を作り、それを楯にその履行には軍事力の行使も辞さない、と言う
のである。
先に述べたピーター・ダットン教授の証言は、東シナ海でのガス田開発の案件
と尖閣諸島の領有権の案件に対する中国の姿勢についてのものであった。同
教授は総括として、次のように述べている。
「中国は沿岸諸国と国際社会との海事権の伝統的なバランスを根本から
覆そうと意図しています。特に排他的経済水域(EEZ)に関する従来にバ
ランスを変えようとしているのです。中国はそのために自国の海域周辺の
主権を強化し、さらに拡大しようとねらっています。」
中国はこの国際的に認められている排他的経済水域(EEZ)の概念そのものを
無視して、壊そうとしているのである。そしてそのためには軍事力の行使も辞さ
ないと言うこと宣言しているのです。たまたま四川大地震の今は、各国から援助
を引き出すために、猫かぶりをしているだけなのです。本性は恐竜なのです。
[3]中国、日本との領有権紛争の解決の意志なし。
中国は、こと日本との領有権紛争に対してだけは、特に非妥協的な厳しい態
度で臨んでいると証言している。その理由を、次のように説明。
「中国は最近日本に対して、わりに友好的に見える態度を示しているが、こ
と領有権紛争となると、日本との争いを実際に解決してしまうことは、中国
にとって好ましい事態ではないとみなしている。
東シナ海での自然資源、境界線、国家主権などをめぐる日中両国間の緊
張、特に尖閣諸島を日本が統治し、その領有権を主張していることをめぐ
る日中対決は中国政府にとっては自国のナショナリズムを支える強いテコ
となります。
中国政府はそうしたナショナリズムの高まりをうまく使って、自国民の関心
を内政の難題からそらし、共産党政権への支持を強めることが出来るで
しょう。」
中国側は、東シナ海のEEZの線引きや尖閣諸島の領有権争いに対して、そもそ
も日本側との間で妥協して、紛争を解決する意図が全くない、と
言うことである。
したがって、このEEZに関する「妥協」とか「譲歩」とか「友好的姿勢」などという
概念は、初めから中国側には存在していなかったのである。「東シナ海ガス田の
共同開発」なんぞと言う考え方も、全くの虚構であったのであり、日本は出発点
から基本の構図や原則を完全に見誤っていたことになったのである。
福田康夫は、このことを知っていながら胡錦濤と何をしゃべってくれたのであろう
か。たぶん何も要求はしなかったのではないか。「私は靖国神社なんぞには行き
ませんから安心してください」なんぞとささやいていたのではないかと勘繰ってし
まう。全くこいつは馬鹿でアホーではないかい。と言うよりも非国民に近い。この
米国議会の公聴会は2月27日に開催され、胡錦濤の来日が5月6日だから、
当然福田は中国のこの領土的野心は心得ていた筈だ。
(続く)