中国の厚顔無恥(5)

さてここで本来の第六のテーマ、胡錦濤の友好姿勢、に戻ろう。

もともとミア・フォローさんはこの北京オリンピックを、ダルフールの虐殺に加担し

ているとして「虐殺の北京オリンピック」と言っているが、第四の出来事として3月

に起こったチベットでの中国の残虐な鎮圧を挙げたが、8月に中国で初めて開催

されるオリンピックは将に本当の「虐殺の北京五輪」となってしまった。チベット

の殺戮をした中国のおかれた立場は、先に説明した天安門事件後の中国情勢、

その中での日中関係と酷似してしまっているのである。

欧州各国からは五輪開会式への出席ボイコットを表明され、ブッシュ大統領も出

席見送りを迫られている。福田康夫からも、少なくとも表面的には、その確約の

表明がなされていない。このままでいくと全くのみすぼらしい北京五輪開会式と

なってしまう。自らの力を誇示しようと精一杯の努力をしてきた中国にとっては、

なんとしてでもこのような悲惨な結末は避けなければならない。

そのためには、あの手この手を使って西欧諸国を分断させ、各国首脳、要人の

開会式出席を果たす必死の工作をするはずである。

胡錦濤訪日によるその工作の第一が、かって江沢民天皇訪中を工作したよう

に、日本の皇族、とりわけ皇太子殿下の開会式出席の画策なのである。そして

日本の皇族の開会式出席が実現すれば、それを突破口に、他国の首脳への開

会式参列を要請することが出来るのである。卓球台まで持ち込ませて福田愛と

のピンポン対戦をした、眼鏡をはずした胡錦濤の薄ら笑いの陰には、このような

策略が隠されていたのである。

平氏は次のように続けている。

間違いなく中国政府は、自ら招いた窮地から脱出するため、天安門事件後の時

と同様に日本の皇族を利用しようと企んでいる。彼等にとって好都合なことに、

今の福田政権は宮沢政権以上の「媚中派」である。

しかし来日した胡錦濤、「毒餃子」「チベット騒乱」での日本国民の反中感情

や嫌中感情の高まりに接して、皇太子殿下の北京五輪開会式出席要請を言

い出せなかったという。しかしその下心はいまだに捨てていないと、この論文は

見ている。

現に福田政権は中国政府の「皇族開会式出席工作」に加担し、「共謀」して皇室

の政治利用工作に走っている。それは5月9日に仕組まれた。

日本政府が国賓として招いた場合には、天皇陛下がその国賓をお見送りすると

言う慣例上の儀礼が存在する。そのため胡錦濤が東京から離れる5月9日に、

ご高齢の天皇陛下はわざわざ胡錦濤の宿舎を訪ねてお見送りをされたと言う。

チベットでの善良な抗議デモを煽動して、騒乱を起こしておいてあわよくば戒厳

令でも敷こうかと、血の鎮圧をした中国の行動が国際社会から強く糾弾されてい

る最中でのことである。

その鎮圧の最高指導者である胡錦濤天皇陛下のお見送りを受けたことは、天

安門事件後の天皇訪中と同じく、政治的に強いメッセージを持つ。それを考えて

福田政権は、天皇陛下の直接のお見送りを、形を変えた他の形式に変えるべき

であった。案の定、翌日の人民日報は「日本の天皇胡主席の泊まるホテル

に挨拶に来た」と、ことさら強調して報じている。人民日報はそれが「単なる慣例

としての儀礼」とは報じていない。チベット問題で国際社会から総スカンを食った

中国にとっては、またとない威信挽回のチャンスとなったのである。

福田政権は天皇陛下の五輪開会式への参列も、計画しているのかもしれ

ない。

(続く)