1.神道指令とは?
江戸時代末期、諸外国の開国要請の圧力を受けた江戸幕府は、その鎖国政策
を改めざるを得なくなり、日本国内は混乱を深めたいった。
この幕末時代は、日本の混乱を危惧する薩摩などの雄藩と京都における天皇を
中心とする朝廷と幕府の存続を図る江戸徳川の3勢力が、夫々しのぎを削り維
新への道を、ひた走りだした。この動きが尊皇攘夷運動となり、もはや幕府では
日本の建て直しは不可能との大勢となり、倒幕運動へと進んでゆく。幕府と朝廷
の二つの体制では、近代国家への脱皮は不可能であった。幕末の日本は、天皇
を中心とする強力な立憲君主国家を目指して、近代国家としての新しい日本を
築いてゆくことになり、古来より神格性を有していた天皇をその頂点に拝し奉る
(大政奉還、王政復古)事により明治維新がなり、日本の近代国家としての
スタートを切ったのである。
そして、古事記・日本書紀などにも表現されているような連綿と日本を統治する
天皇*と、国民との間に伝統的な絆があることを考慮し、明治政府は神社制度を
整備し「神道」を国民統合の支柱としていった。これを「国家神道」と言い、「教派
(宗教)神道」と区別した。そして大日本帝国憲法の下での信教の自由の建前
上、国家神道は宗教ではなく一種の道徳的なものとの位置づけをして、
神(天皇)を敬うこと(敬神)は国民の義務とした。
(http://yamatai.cside.com/katudou/kiroku246.htmによる。)
「昔より、祖禰(そでい)自ら甲冑をはき、山川を跋渉し寧処(ねいしょ)に暇あら
ず。東は毛人を征すること55カ国、西は衆夷を服すること66カ国、渡って海北
を平らげること95カ国。王道は融泰であり、土を開き、機をはるかにする。」
やがて天皇を「現人神」、日本を「神国」として、天皇の威を借りた軍部による米
英を懲らしめよ論が噴出し、大東亜戦争への道を歩むこととなる。
1945年8月15日、大東亜戦争の敗戦を迎え、GHQ連合国軍最高司令官
総司令部*により、国家神道を廃止し国家から神道を分離し軍国主義を排除し、
政教分離を果たし信教の自由を確立するための通達が発せられた。この通達
によって「大東亜戦争」「八紘一宇」などの言葉の使用も禁止された。
これが1945年(S20年)12月15日に発せられた覚書「神道指令」(国家
神道、神社神道に対する政府の保証、支援、保全、監督並びに弘布の廃止
に関する件)である。
*GHQとは(Wikipediaによると)、”General Headquarters/Supreme
Commander for the Allied Powers”、直訳すると「総司令部/連合国軍最高司
令官」となり、連合国(軍)総司令部などと略称する。GHQは、軍事部門(参謀
部)と専門部局(幕僚部)からなり、この神道指令は幕僚部の民間情報教育局
(CIE)が大きく関与している。
幕僚部の組織
1.民生局(GS:Govermment Section 政治行政)
2.経済科学局(ESS:Economic & Scientific Section 財閥解体など)
3.民間情報教育局(CIE:Civil Information & Educational Section教育
改革など)
4.天然資源局(NRS:Natural Resources Section農地改革など)
参謀部の組織
1.第1部(G1人事担当)
2.第2部(G2情報担当、諜報・保安・検閲を任務とし大きな発言権
を持っていた。)
3.第3部(G3作戦担当)
4.第4部(G4広報担当)
(続く)