更に航空機が戦艦を撃沈した初めての事例となった、と小生は理解する。
フィリップス提督は、日本海軍航空隊による真珠湾攻撃の報を聞いていたが、
「停泊している艦船であったからこそ成功した」と一笑に付していたのである。
そして自信満々で、自艦の対空砲の威力を過信していたという。
日本海軍は、以下の点で優れていた。
1、組織力
2、高性能の航空機と魚雷
3、練度の高さ
このことは、技術開発が如何にに大切で、それらを組織し、うまく運用する能力
と使い切る訓練が必要であることを意味している。このことは、今後日本が生き
残るためのひとつの重大な示唆を含んでいる、と考えるのである。
そして更に大事なことは、その技術を安易に他国に公開しないということと、
情報、諜報の管理を第一に考えることではないかと考える。フィリップスに日本
の雷撃機の航続距離は900キロはある、との情報が入っていればこのような過
ちはしなかったであろう。
特に中国への先端技術の流出は深刻な事態を引き起こす。そして中国から
の留学生はその大半が日本の先端技術を盗み出すことを、その共産党政府か
ら指令されていることを、わきまえていなければならない。しかし、ここでのテーマ
はこれではない。
英国側を感動させた、以後の日本海軍のとった処置が、この章のテーマである。
恵隆之介(めぐみりゅうのすけ)氏著の「敵兵を救助せよ!」(草思社)は次のよ
うに続けている。
「プリンス・オブ・ウェールズ」と「レパルス」を撃沈した後の日本海軍は、随伴の
駆逐艦が戦艦の乗組員の救助活動に入ると一切妨害しなかった。そのため、
駆逐艦「エクスプレス」は、「プリンス・オブ・ウェールズ」の右舷後方に接舷し、救
助にかかることが出来た。しかもこの駆逐艦が、シンガポールに寄航する際も、
日本軍は上空から視認していたが、一切攻撃はしなかった。もちろん日本海軍
は十二分に攻撃する余力を残していたにもかかわらずに、である。
(続く)