この件について、2009.2.15の東京新聞の「米中関係は呉越同舟」と言う記事
が参考になる。それは、クリントン長官のニューヨークでの講演内容だ。
そこでは米中両国はいずれも世界最大級の温室効果ガス排出国であることか
ら、「クリーンで効率的なエネルギー開発で協力すれば、お互いに環境保護、経
済成長を達成し、二国間関係を進化させることが出来る」と、「Win,Win」(双方
が利益を得る)の関係構築を訴えた。しかし1月22日の「チモシー・ガイトナー」
財務長官の議会指名公聴会での発言「オバマ大統領は中国の通貨人民元が
操作されていると認識している」と、中国の対米貿易黒字削減を迫り、中国に対
し厳しい姿勢を示している。更にクリントン氏は講演で、米中関係は「呉越同舟」
と表現し、「格言の知恵は今日も我々を導き続けるに違いない」と指摘してい
る。互いに仲が悪くても協力し合って難局に当たる必要性を強調したようだが、
呉と越は基本的には敵同士の関係であることから、米中関係も基本的には敵
同士であることを思わせることから、この「Win,Win」の関係は一時的なものと受
けとられかねない、とこの記事は結んでいる。しかしここに中国の人権と信教の
自由問題が入り込んでくる。後回しにされたクリントン国務長官の中国訪問であ
るが、果たしてどの程度、己の信念を中国に対して貫き通せるものなのか、これ
も見ものである。
そして次の msn 産経ニュース「クリントンの歴訪の表に出ないこと」には、
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090215/amr0902151731004-n2.htm
こんな記事が載っている。
クリントン氏のアジア訪問のルートは、東京→ジャカルタ→ソウル→北京と中
国の訪問が最後となっている。これには理由があって、外国人を相手にする中
国の昔ながらの戦法だという。「蛮族は門で待たせておく」と言うことだそうだ。
北京はクリントン氏に不自由な思いをさせて、この米国の嘆願者に身の程をわ
きまえさようとしている、と言うのだ。
また下記の同じく産経ニュースには、こんな記事も載っていた。
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090216/amr0902161052002-n1.htm
2月16日発売のニューズウィーク誌の「クリントン氏はお飾り」との記事である。
クリントン国務長官の周りには、外交担当者の実力者が一杯いるので、出る幕
はないだろうと述べている。
1.ジョーンズ大統領補佐官は、国家安全保障問題担当で環境・経済分野まで
の外交・安保の要である。
2.ガイトナー財務長官は対中問題の専門家。
3.ミッチェル中東和平担当特使とデニス・ロス国務省上級顧問が、パレスチ
ナ・中東問題を取り扱う。
4.ホルブルック特別代表はオバマ大統領直属でアフガニスタン・パキスタン問
題を扱う。
と言うことで、ヒラリー・クリントン国務長官の出る幕はなくなるというのだ。
そういえば、ヒラリーはいやに日本では愛嬌を振りまいて、無知な日本人を魅
了して行ったことが気に掛かる。
(続く)