以上の反日デモの内容はWikipediaからの引用であるが、中国のガス田開発は
純然たる資源確保の目的ではなく、尖閣諸島領有権紛争や東シナ海ガス田開発
問題を使い、日中の対立を煽(あお)りそれによる自国のナショナリズムを高める
ことが目的なのである。いわば自国のナショナリズムを高めるための道具なので
ある。その高まりをうまく使い、自国の歓心を内政の難題からそらし、共産党政権
への支持を強めることにあるのである。そのため尖閣諸島問題や東シナ海ガス
田開発問題は、中国共産党政権としては、絶対に解決させたくないものである。
日本政府もこのことを肝に銘じて、ガス田開発に邁進してもらいたい。('08.6.3~
「中国覇権主義」を参照のこと。)
さらに直近の2009年4月16日の日経新聞には、愛国教育を強化、との記事が
掲載されている。
●中国、愛国教育を強化 党の求心力維持狙う200904160000
2009年4月16日、日経新聞朝刊
【北京=佐藤賢】中国共産党・政府は愛国主義教育を一段と強化する方針を明
らかにした。劉雲山・共産党宣伝部長は14日の会議で、十月の建国六十周年
に向けて、「愛国意識をかき立て民族精神を奮起させる」よう指示。景気減速
で社会矛盾が拡大する中、共産党の求心力を維持する狙いもある。愛国主義の
高揚は排外的なナショナリズムにつながる可能性があり、対日感情にも影響を
与えるか注目される。
劉部長は全国の宣伝・教育担当者とテレビ電話でつないだ会議で「共産党がな
ければ新中国はなく、祖国の繁栄と富強、人民の幸福な生活もない」と強調し
た。
なぜこの時期に愛国主義教育の強化を言い出したのか、不思議に思う人もおら
れることと思うが、何も不思議なことではない。中国は反日愛国を主義として
いる国であるからであるが、当日の日経新聞の夕刊に「中国、6.1%成長に減
速1-3月、92年以降最低、追加対策を検討」なる見出しの記事が載っていた。
ここにその答えがある。以下要約を記す。
● 中国、6.1%成長に減速1-3月、92年以降最低、追加対策を検討20090416
2009年4月16日、日経新聞夕刊
【北京=高橋哲夫】中国国家統計局は16日、1-3月期の国内総生産(GDP)
が実質で前年同期に比べ6.1%増えたと発表した。四半期ベースでは統計をさ
かのぼれる1992年以降で最低の伸び率。金融危機の影響で輸出が大きく落ち
込み、国内生産の不振につながった。4兆元(約58兆円)の景気刺激策の効果
で固定資産投資は高水準を維持したが、中国政府は一段の景気減速を防ぐた
めに追加策を検討する。
成長率の減速要因は輸出の落ち込みだ。1-3月期の輸出は19.7%減、特に2
月は25.7%減と80年代以降で最大の減少となる。輸出の減少は中国の工業
生産に打撃を与え、GDPを押し下げた。
設備投資や建設投資は、景気刺激策が本格的に動き出し1-3月期は28.6%と
まずまずの伸びで、社会消費品小売総額(小売売上高)も1-3月期15.0%と比
較的高かった。しかし、輸出に代わる成長エンジンに育つためにはまだ時間が
かかるとの見方が大勢である。(以下略)
中国政府は、国内不安を起こさないための経済成長率は8%としている。経済
の停滞は失業の増加をもたらし、そして工場の閉鎖が相次いでいる。農村から
の出稼ぎ労働者・農民工の大量失業が発生し、いつ暴動が起きてもおかしくない
状況となっているのではないか。いやもうすでに各地でかなりの暴動が起こって
いると言う。この不安、不満を外に向ける必要がある。
そのための愛国主義教育ではないか、と推測できるのである。
(続く)