尖閣諸島問題(37)

一、列強の一貫する国策は「中国近代化の進行過程を叩き潰すこと」だった

 中国近代の歴史経験と教訓、更に中華人民共和国50年来の歴史経験と教訓

に照して、次のような歴史規律──列強の中国近代化の進展過程に対するる打

(全面戦争を含む) がその一貫した国策──があることが判る。過去 160年間

そうだった。今後の 160年間もそうに違いない。


二、発展は危険と脅威を意味しており、「戦争権」抜きの発展権はない


 発展が危険と脅威を意味するとは、世界史の通則だ。但し中国史に特例があ

る。大漢王朝だ。当時の地理の極限内にある敵を全部打破った後に「門戸を閉

ざして」発展し、更に「天下主義」まで生み出した。そんなことが出来たのは、人口

・軍事・経済・文化のどれを取っても、いかなる種族も大漢民族には匹敵できず、

匹敵するだけの潜在能力さえ無かったからだ。

          

(筆者注)この大漢王朝は列強として、他国の発展過程を叩き潰して、他国を隷属させただ

けのことである。

遅浩田は、中国を列強にしようとしている。まことに野蛮極まりない。こんな蛮族の住む国

がすぐ近くにあるので

ある。さあ、日本はどうする!
                

 戦国時代には、一国の発展は他国の脅威だというのが世界史の通則であり、

西側外交の核心・基盤である。西側外交の開祖はフランスの赤い法衣の主教リシュ

リューだが、正に彼こそ外交領域に於て中世の「蒙昧」から抜け出し、近代外交の

道を開いて道徳・宗教の束縛を一切捨て去り、国益を軸にした最初の人物だ。彼

が制定した外交政策はフランス に 200年以上に亙る恩恵を齎し、欧州の主宰者たらしめ

た。彼が画策した三十年戦争はドイツ人民を塗炭の苦しみに追込み小国分裂状

態を現出して、ビスマルクが統一するまで動揺常ならずという状態に置いた。ドイツ統

一の進展過程を見ればビスマルクの「戦争権」がなければ国家統一はなく、発展権

など更になかったことが判る。


三、中国には「軍刀下の近代化」しかない


 中国脅威論は全く正しいというのが、典型的な西側の考え方だ。「我々は門戸

閉して自分の経済を発展させる。誰にも迷惑をかけない」という中国の考え方

愚劣なばかりか、国際基準に合わない。戦国時代、国益という殘忍な領域は

情け容赦がない。僅かでも幻想を抱いた者は、忽ち大歴史の残酷な懲罰を受け

た。中国の発展を日本は当然脅威と感ずる。中国自身がそう思わずに居られて

も、中国には、日本など列強の国際標準に基づく根深い発想を変えるる力など

殆どない。そこで我々の思考の出発点は「中国の発展は日本など他国への脅

威」でなければならぬ。

 「理」論上はどの国どの民族にも生存権・発展権がある。例えば、中国経済が

発展すれば石油の輸入が必要になる。生態保護のため中国が山を囲って森林

育てれば、木材資源を輸入せねばならなくなる。「理」の当然極る事態だが、

列強には列強の「理」がある。中国ほど図体のでかい国が石油を買入れ、購入

量が2010年に 1億トン、2020年に 2億トンに達するとなれば、列強はこれを容

認できようか?

 基礎的な生存資源
(土地・海洋を含む) の争奪は史上、絶対多数の戦争の根

源だった。情報化時代には多少変るにしても、本質的変化はない。発展した先進

文明国イスラエルも、水源を含む「より大きな土地」を巡って50年間アラブ, パレスチナと

一日も休まず戦っているではないか。中国人が永遠に貧困に安んじて発展を放

棄するのでない限り、正当極る発展権を獲得するため、中国は戦争準備を整え

ねばならぬ。これは我々が決めたものではない。我々の中の一部の善良なる人

々の善良なる願いにより決めたものでは更にない。「国際慣例」と列強が決めた

事態なのだ。

 中国の
20年來の「平和と発展」政策は、既に終着点に達した。国際環境にも既

に質の変化が生じ、列強は既に中国の近代化進行過程を再び断切る準備を整

ている。だから中国が発展を求めるのなら、自らの発展権を守るため、戦争準

を整えねばならぬ。戦争準備をして初めて、発展の時間と空間が得られるの

る。ここ20年来の牧歌的な平和発展の時代は既に終を告げている。

次の場面は軍刀の下での近代化」しかない。(続く)