四、 (大) 外交が内政を決める
中国で現在最も好戦的な鷹派でも、必ずしも今すぐ戦争せよと主張している訳
ではない。我々には、例えば国家統一の戦いや南シナ海の権益を守るためなど、
戦争するに足る充分な理由がある。つまり発展権のためなのだ。 160年来、殆
ど認められずに来たからこそ、頗る貴重となった発展権を守るためなのだ。その
発展権が日に日に高まる脅威を受ければ、我々は武器を採って中国人の発展
権を守らねばならない。
内政が外交を決めるというのはその通りだが、この戦国時代に於て銘記すべ
きは、 (大) 外交も内政を決めていることである。これは理論上そう言えるばかり
か、中華人民共和国の歴史的経験からも言えることだ。70年代の中国の国防支
出は、科学・教育・文化・衛生支出の合計を上回っていた(人民の生活が甚だ貧
しかった)。私は勿論、今の中国の軍事支出が、今の科学・教育・文化・衛生支
出の合計を上回ることは望まない。実際に中国で最も投資を必要としているの
は教育である。しかし列強はそれを許すだろうか? なぜ毛澤東は、科学・教育・
文化・衛生に回す資金をけちったのか?
ソ連で公開された機密文書を見て60~70年代のソ連には中国への全面的侵
略計画がなかったという者が居る。仮令その通りだとしても、やはり「歴史の真
実」は説明できない。対局は全て相互作用である。毛澤東指導下の中国が充分
な精神的・物質的準備をしていたればこそ、ソ連の全面的な中国侵略のリスクも
コストも極めて大きくなり、歴史の方向を変えたのだ。これを見れば、力と意志こそ
本当の平和防衛者であることが判るだろう。軟弱な者は侵略を招くだけなのだ。
この点から言って、毛澤東こそ真に平和を護った者である。
(筆者注)日本もこのようにして、中国から自国を護らねばならぬ。日本を攻めれば、それ相応のリスクとコストが掛かり莫大な損害を蒙るように、日本の国防政策を準備しなければならない。
五、善を求めて悪を得る 中国は今後十年、平和であり得るか
中国の近代化の進展過程をぶち切り、中国人から発展権を奪うため、列強は
山ほど切札を切れる。最も明かな三枚の切札が「三島」だ。そのうち台湾札が最
も有効である。台湾海峡の戦いは何時勃発するか。その決定権は中国の手のう
ちにはなく、台独分子の手にもなく、米日が握る。もし台湾海峡の戦いが始れば、
それは単なる統一の戦いに留らない。更に深層的には米日が中国人から発展
権を剥奪し、再び中国の近代化の進展遮断を決意したことを示す。正しく歴史上
の甲午の戦い (日清戦争) や全面的な中国侵略により日本が行ったのは、領土
や賠償金の獲得だけでなく、もっと本質的には中国の近代化過程をぶち切って
中国人の発展権を奪うものだったが、同じ事態が再現するのである。
そこで我々は戦略決戦の高みから台湾海峡戦争を取扱わねばならない。我々
の現在の武力水準では、米日にとって戦略決戦ではない。特に米国にとっては。
なぜなら、中国には大陸間弾道ミサイルが少なく(尠く)、米国は既に本土ミサイル防
衛 NMD を発展させる決意を固めたからだ。
台湾海峡戦争勃発の引延しを阻止するには、先ず台湾海峡の戦いを「対称戦
略決戦」レベルに引上げ、共倒れの段階に持込まねばならない。我々が台湾海峡
の戦いに勝てないと、結末は甲午戦争敗戦時より悲惨なものとなる。だから戦わ
ずば万事お終い、戦わば日本を完全破滅させ、米国を半身不隨にせねばな
らぬ。これは核戦力だけが出来る任務である。
善を求めて悪を得る、これが、我々現下の政策の最終結末である。悪を求め
て善を得る、つまり日本を全面的に壊滅し、米国を不具に陥れる能力を備え
て初めて平和が勝取れるのだ。こうしない限り、台湾問題で10年も経たぬうち
に必ず大戦が起きる!(続く)