尖閣諸島問題(39-1)

六、覇権は大国の本質的特徴

 何を以て大国というか。覇権保持者が大国だ。覇権がないと分割され、運命

(発展権を含む) を他者に支配される木偶(筆者注、もくぐう、木の人形)と化す。

覇権は今のような戦国時代に於ては客観的存在で、「他者の意志に依らずに方

向転換するもの」だ。問題は、それをはっきり意識するのか、主動的に追求する

のか、それとも受動的に向こうから近づいて来るかの差に過ぎない。三島問題、

戦略産業発展問題、国内各階層の利益調整問題を含む中国の一切の問題は、

最終的には中華民族による覇権争奪問題である。


 覇権を争うためには内紛の停止、安定と団結が必要だ。英国は海外殖民地

の巨大利益により、早々と「労働者階級の貴族化」が実現した。日本は中国か

ら巨額の賠償金と市場を取って上層ばかりか下層階級にまで巨大な利益を齎

した。
(筆者注、日本が中国の内戦に引っ張り込まれなければ、もっと発展して

いた。中国共産党のために、日本の発展は大分遅らされてしまった。)
時代は変

り国情も違ってきたが、実質に変りはない。我々は覇権の視角で軍事外交問題

を扱うだけでなく、更に覇権の視角で内部の階層・階級利益の調整問題も見な

ければならぬ。本国の下層を圧迫搾取するだけの上層エリート階級は、この戦国

時代に於て民族の利益を代表出來ない。彼らは腐敗・墮落した意氣地なしであ

り、圧迫され、消滅する存在だ。成熟し知恵のある上層であって初めて民族利益

を代表できる。つまり対内的には「譲歩政策」を実行して下層を指導し、共同で

海外から利益を獲得出來るのだ
(この問題は複雑につき、後日詳述する。中国

は巨大な海外利益を持つが、まだ積極的主動的に開発に乗出していないだけ

)
。(続く)