ちょっと古いが次には7月7日付けのロイター電を掲げる。その中では何れの識
者も民族問題だとして、中国のウイグル管理は失敗している、と結論付けてい
る。しかし中国としてもこの地下資源は手放すことは出来ないことであるし、核実
験場としての位置づけられているのでなおさら管理がきつくなり、ウイグル族は
締め付けられることであろう、と言外に滲(にじ)ませている。
129,新疆ウイグル自治区で大規模な暴動:識者こうみる200907071742
REUTERS 2009年7月7日(火)17:42
(Photo)(トムソンロイター)
7月7日、中国の新疆ウイグル自治区のウルムチで発生した暴動に関する識者の見方をまとめた。写真は治安部隊員と衝突する男性(2009年 ロイター/David Gray)
[北京 7日 ロイター] 中国の新疆ウイグル自治区のウルムチで発生した暴
動では156人が死亡、1000人以上が負傷した。新華社によると、中国警察当
局は、新疆ウイグル自治区ウルムチで起きた暴動に関連し1434人を拘束した。
また、現地ではインターネットへの接続も遮断されたという。
ウイグル自治区での今回の騒乱に関する識者の見方は以下の通り。
◎中国の民族問題に詳しい香港科技大学のバリー・ソートマン准教
新疆では、漢族とウイグル人の間に根強く残る経済的格差が不満の大きな原
因になっている。宗教に関する政府の規制に反対する人もおり、漢族の多さに不
快感を抱いている人もいる。
大きな民族的紛争が持ち上がると、中国では常に2つの考え方が並んで台頭
する。「政策の変更を考えなくてはならない」という意見と「より効果的に分離独立
主義者を追い詰めなくてはならない」という意見だが、恐らく両方が出てくる思う。
◎香港で活動するヒューマン・ライツ・ウォッチのニコラス・ベクリン氏
こうした出来事は、少数民族地域での政府の方針が完全に失敗していることを
示す。経済発展はウイグル人をステークホルダーとすることができなかった。
ウルムチでのデモ参加者は、懲罰が恐ろしいものになると分かっている。結果
を分かっていながらデモに加わる人がいるのは、彼らが不満のはけ口を必死に
求めている証拠だ。
新疆では、根深く長期にわたる人権侵害があり、それが暴動発生につながった
一因といえる。ただしそれが暴動を正当化する理由にはならない。暴動ではウイ
グル人が抱える問題は解決しない。
◎北京のコンサルタント会社ドラゴノミクスのマネージングディレクター、アーサー・クローバー氏
これは政治的な問題で、主として経済問題ではない。中国の国内経済について
言えば、政府が統制を失っているという何らかの証拠が出てこない限り、概して
大きな影響はない。
新疆での主な投資機会は石油やガス、鉱物といった天然資源で、それらは極
めて厳しく管理され、現地での開発については基本的に外国からの意味のある
投資は一切受け入れていない。投資が許されていないなら、今回の問題が投資
判断に大きな影響を及ぼすとは考えにくい。
◎シンガポール国立大学東アジア研究所の鄭永年所長
今回の騒乱は、近年の新疆では最悪の事態だ。個人的には政府が事態を収
拾できると思っている。
残念ながら、責任ある大国としての中国のイメージにはマイナス影響を及ぼす
だろう。抑圧だけでは問題は解決しない。抑圧するだけでは事態はさらに悪化す
るだろう。最終的には武力だけでなく、経済支援を含む包括的な対策が必要とな
る。武力のみではさらなる暴力を生むことになる。
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/world/JAPAN-212639.html
(続く)