なお死者の数については、中国政府の報道規制というか報道誘導などで詳(つ
まび)らかになっていないが、次のニュースでは三千人と言う数字も報道されてい
るのである。そして公平な真相究明が必要である、と結論付けている。そうでな
ければ少数民族のDignity尊厳が守られないともコメントされている。
140,ウイグル暴動 見えぬ真相 発生から1週間 死者数に大きな差 介入拒否する中国 200907120028
2009年7月12日 00:28 カテゴリー:アジア・世界
中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区ウルムチで5日に発生した大規模暴動か
ら12日で1週間。中国政府は「ウイグル族の組織的、計画的な暴力」と断定した
が、在外ウイグル人組織は「当初は平和的デモだった」と反論するなど、死者
数も含め、真相はつかめないままだ。現地は武力による封じ込めで治安が安定
してきたが、暴動の根底にある少数民族政策を中国政府が見直さない限り、また
どこかで不満が爆発しかねない。
■当局の発表頼り
ウイグル自治区政府は暴動翌日、即座に「暴動は在外のウイグル人組織によ
る扇動」と断定した。名指しされた世界の亡命ウイグル人組織を束ねる「世界ウ
イグル会議」(本部ミュンヘン)は、各国で3日に抗議デモを行うよう呼びかけたこ
とは認めたが、ウルムチの暴動は「平和的デモに警察部隊の無差別発砲があっ
た」と主張。デモの暴徒化の原因は、鎮圧側にあるとの立場だ。
死者数も、新華社は11日、中国当局者の話として「184人」と伝えたが、同会
議側は「最大3千人の可能性」もあると言う。当局側は、死者の内訳を「漢民族
137人、ウイグル族46人、回族1人」としているが、その開きはあまりに大きい。
事件の引き金となった広東省の玩具工場での漢民族によるウイグル族襲撃事
件も、当局発表のウイグル族死者の「2人」に対して、同会議は「60人近く」とし、
こちらも大きな隔たりがある。
同会議は、国連などによる暴動の真相究明を呼びかけているが、中国外務
省は「この事件は中国の完全な内政問題」(秦剛副報道局長)とはねつけ、国際
社会の疑問に対する真相究明は望み薄だ。
■尊厳をどう守る
中国共産党の胡錦濤総書記(国家主席)は、8日に主要国(G8)首脳会議開催
地のイタリアから急きょ帰国し、即座に政治局常務委員会会議を招集した。主犯
格の厳罰と犠牲者の遺族や被害者の救済措置を早急に行うよう指示し「漢民族
は少数民族から離れられないし、少数民族も漢民族から離れられない」と「民族
団結」の重要性を訴えた。
しかし、改革・開放政策の下、経済発展重視の少数民族政策に対して「富が漢
民族に偏在している」との指摘は少なくない。胡指導部が経済的格差への不満
解消だけでなく、ウイグル族のほか各少数民族の尊厳にかかわる文化、伝
統、宗教に今後どんな姿勢で臨むのか。国内外に向けて、新たな少数民族政
策を早急に打ち出す必要がありそうだ。
=2009/07/12付 西日本新聞朝刊=
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/108279
(続く)