尖閣諸島問題(120)

まあ、いくらなんでも鳩山が尖閣諸島の防衛を放棄するとは思えないが、中国に

対して断固たる態度をとらない心配はある。中国がなぜ、今まで日本の排他的経

済水域に、調査船をしつこく派遣して来たのかには訳がある。次にその訳を紹介

しよう。


中国は2008年8月に北京オリンピックを、「口ぱく問題」や「偽映像問題」など

はもとより民族虐待の人権問題を抱えながらも何とか無事に終え、次の目標へと

視線を向けていった。それは2010年5月1日から始まり10月31日に終了する

上海万博(上海国際博覧会である。その上海万博も来年には終了してしまう。

それから中国は何を目標に据えるつもりか。


それは言うまでもなく、「
台湾統一」である。中国は、今まで「台湾併合」にだけに

目標を絞り込んで、軍事力を増強してきたのである。2008年5月1日、中華民

国(台湾)の第12代総統に馬英九が選出され、「親大陸派」が台湾のトップとなっ

たことから台湾の「武力開放」路線が後退したとはいえ、中国の「台湾併合」は基

本的には「武力開放」である。そのための最大の障害は、いわずと知れた米国の

軍事力である。中国の一番の関心事項は、台湾の武力解放時には、如何に米軍

の軍事攻撃を撃退するか、である。そのために中国はあらゆることを準備したき

た。

そのためには、東シナ海はもとより、グアムを含む西太平洋、そして南シナ海

らインド洋、ペルシャ湾へ渡る広大なシーレーンの海底調査である。これは機雷

施設や中国潜水艦の行動を円滑にし、米国の機動部隊の行動を阻止するため

のものである。そしてこのことは、当然中国の覇権拡大主義路線とも整合するも

のである。日本隷属を図り東シナ海や日本海はもとより、南西諸島を含む西太

平洋、そして南シナ海からインド洋、ペルシャ湾・アフリカへ渡るシーレーンを我

が物顔に確保することにより、すべて中国の海とすることである。そして世界第

三の極として世界の覇者を主張できる。そのための海洋調査であり、宇宙軍拡

である。さらにこのシーレーンは、わが国の戦略的なシーレーンそのものである。

それがもし中国の海となってしまったら、日本はどうなるのであろうか。


中国のこの海洋支配を狙う遠謀、すべての海を中国の海とするための戦略を、

中国軍事専門家の平松 茂雄氏は、「正論」'09年5月号で詳しく述べている。

それは平松 茂雄氏の空母運用で海洋支配をねらう中国の遠謀』と題する

論文である。その論文を参考にしながら、更にもろもろの情報を付け加えて、近

年の中国の海洋覇権主義活動に関する年表を作成してみた。とりあえず、じっく

りと眺めてみて欲しい。
(続く)