中国政府は9月30日夜、国慶節記念レセプションを北京の人民大会堂で開い
たいるが、その場で温家宝首相は、新中国が共産党の指導の下で経済的な成
長を達成した。そして国力増強と平和外交を行った結果として、「国際社会にお
ける中国の地位が空前的に高まった」と自賛しているが、こんなにCO2を排出
しているので本当に中国の地位が空前的に高まったのは確かだ。なにせ中国
の地位は、CO2排出量世界一となってしまったから。
それでも、先進国に40%削減を求めると同時に、年間1500億ドル(約15兆
円)の支援金と技術ノウハウを途上国に提供するまでは交渉に参加できな
い、と主張するつもりか。
国連気候変動サミットでも胡錦濤は、資金と技術の支援がなければCO2の削減
には努力しないと、演説したのだ。まことに盗人猛々しいにも程がある、と言うも
のだ。中国はもはや途上国なんぞではない。れっきとした先進国である。国慶節
の軍事パレードを見れば、そのことが良くわかる。胡錦濤は、自国がもはや十分
軍事大国となっているにも拘わらず、もっともっと軍事大国としたいのだ。そのた
め金や技術を軍事に費やしたいだけなのだ。CO2削減などの環境技術には優
先順位を置いていない、ただそれだけだ。そのため中国はまだまだ途上国です
よ、と言う振りを示しているだけなのだ。核爆弾を保有している、IRBM(中距離
弾道弾)やICBM(大陸間弾道弾)を保有している、と言うことも既存の先進国の
条件に付け加えなければならない。日本は中国なんぞを相手にしてはいけない。
環境技術などは、決して中国に供与してはならない。供与するにしても、目の飛
び出るほどの見返りが無ければ、供与してはならない。何せ中国は、「国際社
会における中国の地位が空前的に高まった」と自賛するほどの先進国だから
だ。
2009年7月8日から10日までイタリア・ラクイラにて開催されたサミットで
は、京都議定書以後のCO2削減目標を議論したが、中国やインドの非現実的
な削減要求のために何も決まらなかった。
(以下は、WiLLの11月号の桜井よしこ氏の論文による。)
しかし日本政府はその一ヶ月ほど前の6月10日、麻生太郎首相が削減目標
値を次のように発表している。2005年比で15%削減、そのコストは少なくと
も62兆円で一世帯当り年7.6万円の負担増となる。この発表は日本ではあまり
評価されなかったが、海外ではとりわけ注目されていた。それはこの提案が、科
学的にも政治的にもしっかりと検討を踏まえたものであったからであり、さらに
数値目標の15%が「真水」の数字であったからである。この15%が「排出権
取引」を含まない、全て日本国内で正味15%を削減すると言うものであったか
らである。日本は京都議定書で決められた6%を達成するために、排出権取引
に踏み切らざるを得なかったのである。兆単位のお金を海外に支払っていたの
である。それを国外に日本の金が流出させることもなく、正味15%削減すると
宣言したのである。さらに、日本だけが不利にならないように「全ての国の参
加を、日本の目標値達成の前提条件」としたのである。
そして基準年も京都議定書の1990年から2005年に変更している。
これは1990年比では、日本が最も不利な立場となるカラクリがあったからであ
る。それでも日本は省エネ大国である。2005年の統計で比較しても、GDP単位
当りのエネルギーの消費量は日本が世界で最小なのである。
GDP単位当りのエネルギーの消費量
日本 1.0
EU 1.9
米国 2.0
中国 8.7
インド 9.2
ロシア 18.0
これに対して中国はどんな反応を示したのであろうか。
☆先の「尖閣諸島問題(95)'09.7.30」でも次のようなデータを示したことは、記
憶に新しいであろう。参考にそれを示す。
『2009年7月11日の日経新聞には、中国のCO2排出量の巨大さをデータで示していた。それによると、総量で日本の4.7倍ものCO2を排出している。GDP千億ドル当たりで見ると、中国は日本の5.2倍ものCO2を排出している。中国は地球や人類に対して5.2倍もの悪影響を与えているのである。しかもそのことに対して、なんら改善する意思を示していない。
中国 日本 米国
名目GDP('08年) 4兆4千億ドル 4兆9千億ドル 14兆3千億ドル
CO2排出('06年) 56億トン 12億トン 58億トン
人口('08年) 13億28百万人 1億28百万人 3億4百万人
排出百万トン 127.3百万トン 24.5百万トン 40.6百万トン
/GDP千億ドル 5.2 1 1.7
一人当たり (4.2t/人) (9.4t/人) (19.1t/人) 』
もちろんデータの年度がそれぞれ異なっているので正確ではないが、おおよそ
の悪さ加減の程度はこれでよくわかる。これでも中国は、「自分は悪くない」よう
な言いっぷりをするのか。
(続く)