(注)1 CDMやJI事業を活用とは、
ここで京都メカニズムについて少し説明しよう。企業などが、自身の生産工程を改善して
CO2の排出を削減する事の他に、温室効果ガスを削減させるための便法を言う。一般的
には、クリーン開発(CDM,Clean Development Mechanism)、排出量取引(ET,Emissions
Trading)、共同実施(JI,Joint Implementation)の三つのメカニズムを指す。これに植林な
どの吸収源活動などを含めることもある。植林などと言ったのは、森林が農地などに転換
された場合は、排出量が増加と計算されることになるからである。
CDMとは、先進国が途上国に技術や資金を提供して温室効果ガスの削減などを実施した
場合には、その削減の一部を自国の排出量の削減に加えることができる。
ETは、排出枠に余裕のある途上国などからその枠を購入して、自国の排出オーバー分の
相殺に当てることができる。JIとは、先進国間のCDMと思えばよい。
これらはいずれも温室効果ガスの絶対的な削減には寄与しない。単に移動するだけであ
る。そのため吸収源活動が1990年以降追加された。新規植林や既存森林の適切管理な
どで、CO2の吸収源を増加させた分だけ排出量削減に換算して参入できるものとした。
以上の説明は、Wikipediaによる。
(注)2 自動車でのCO2削減の試算について
年間700万台の更新・7828/10.77=700万台/年、700*3=2000万台、2000/7828=1/4、
1/4*30%=7.5%、
2006年度速報値での運輸部門のCO2排出量は254百万トンであった。254*90%=229百
万トン
229*7.5%=17百万トン程度の削減となるが、先の報告書に盛られていた自動車単体への
対策での削減量は300から350万トンと見ているので→325万トン程度として、想定では30
%の燃費改善で17百万トンの削減と計算されたものが325万トンになっているので、
325/1700*30%=5.7%→約6%程度の燃費改善にとどまる、とこの報告書では予想してい
ることになる。
(以上はブログ作者の注。)
■世界からむしりとられる?日本の温暖化政策
そろそろ結論にしたい。このまま行くと、日本の温暖化対策は失敗し、世界中
から「お金をむしられる」という惨めな構図になりそうである。
カナダは、すでに京都議定書の目標の達成は不可能との見解を示した。果た
して対応はどうするのだろうか。
個人的な解決策は、以前から提案しているように、「最大限、CDMやJIを含め
てあらゆる削減の努力をする。しかし、ホットエアを買うことは、単なる免罪符で
あり、地球環境上無意味であるといって拒否する」、ことである。当然、マイナス
6%の達成は不可能である。しかし、京都議定書には、未達の場合の対策が規
定されている。「未達量を30%割増にして、次の期間に持ち越すこと」である。こ
れを選択することも、「十分に誠実な対応」なのである。
(Photo)
北海道洞爺湖サミットのロゴを発表する(左から)高橋はるみ北海道知事、三重県立特別支援学校北勢きらら学園高等部の近藤敦也さん、福田首相、町村官房長官=4日午前、首相官邸〔共同〕
一部には、「もしも未達に終われば、日本の発言権がなくなる」といった議論が
あるが、なりふり構わずホットエアの購入に走れば、それは湾岸戦争以来の「カ
ネで解決の国」「世界一のカモ」という評価をもう一度確立するだけである。そ
れよりは、より哲学的な主張をすることによって、逆に日本も変わったと存在感
を示すことができるだろう。
日本もそろそろ達成不可能という見解を出すべきなのではないだろうか。し
かし、不幸なことに洞爺湖サミットがあるために、それもできそうもない。
となると、頼みの綱は原油高騰・資源高騰だろうか。ところが、国内の政治的
状況から、ガソリン税の暫定税率の還元を政争の具にしようとする政党もある。
やはり、地球環境の状況よりも目前の状況優先である。それを見抜くことができ
る国民が多数なのか、見抜きながらも目前の安いガソリンを選択するのか。それ
とも、何も見えない国民が大多数なのか。いずれにしても、もっと情報が必要
である。分かりやすい形で提示される必要がある。
よい兆しもある。1月3日の朝日新聞には、「カモにされる日本、排出権購入
額、兆単位?」という見出しが躍った。これほど大きく取り上げられたのは、これ
まで無かったのではないか。
次は、どのテレビがこの問題を大々的に取り上げるかだ。
http://eco.nikkei.co.jp/column/ecowatching/article.aspx?id=MMECcd009016012008&page=1
鳩山の「2020年までに、1990年比で、25%の削減」と言う国際公約は、ある
意味無茶苦茶な数字である。しかし、「どっち道、削減しなければならない訳だ
し、排出枠を莫大な金を出して買うのも癪に障るし、それならいっそのこと1.3
倍増しで削減すればよい事だし、ここは吹っかけてそれも含んだ数字を国際公
約として提案してしまえ。さらにそれに絡めて、中国やインドにも削減目標を割り
付けなければ元も子もない。こいつらを巻き込むためにも相当の削減目標を提
案して、中国のそれ相応の削減目標割付を条件としてしまえ。それに、ひょっと
したら、先進国と途上国とで意見が割れて、2013年以降の目標数字もおいそ
れとは決まらない事態もくるかもしれない。そうすれば日本もちょっと楽になる。」
なんぞと踏んでの提案だとしたら、鳩山もたいしたものだと頭を下げなければな
らない。
しかしこいつにそんな戦略があって提案したものかは、わかったものではない。
(そんな戦略)あったかな、なかったかな、たぶんなかったのではないかなあ。
しかしまじめな話し、こんなことで何兆円もの我々の血税を、むしりとられたくない。
(続く)