国慶節に思う。(21)

もともと、京都議定書の枠組みが現実の世界の有様にそぐわなくなっているの

である。10月24日の当ブログ・国慶節に思う。(9)では、中国は先進国に分類

されるべき国で、当然CO2の削減の義務を有している国であり、まかり間違っ

ても、世界を2分割するのではなく、発展途上国準先進国、先進国と三つに分

けて、発展途上国は条件付で削減義務を免れても良いが、準先進国や先進国

にはCO2の削減義務を有する国に分類されるべきである、と主張した。


日本は後進国でも排出量の多い国には他の途上国とは区別して削減義務を課

すべきだと主張していた。これを受けて国連もこの日本案には消極的であった

が、削減計画を自主的ではあるが国連に登録させる制度の提案を考えていた。

しかし中国などの横槍で国連も腰が引けてきている。

                      
温室ガス削減計画、途上国は登録制度 国連部会の議長案
200903190300
http://www.asahi.com/eco/TKY200903180264.html?ref=reca
2009年3月19日3時0分

 京都議定書に続く13年以降の温暖化対策の次期枠組み交渉で、国連作業部

会の議長がまとめた論点案が18日、明らかになった。現状では温室効果ガス

の削減義務がない途上国にも削減を促すため、自主的な削減行動計画を国

連に登録させる制度
の創設を重要課題に盛る一方、排出量の多い途上国は

他の途上国と区別して削減義務を課す日本の考え方
には否定的な見解を示

している。


 今月29日からドイツ・ボンで開かれる作業部会を前に、議長のザミットクタヤ

ール・マルタ気候変動担当大
使が示した。


 行動計画の登録制度は、韓国や南アフリカが提案していた。途上国にとっては

自らの国情や経済力に合わせて計画を作ることができる。計画に応じて先進国

から省エネ技術の移転や資金援助を受けられる仕組みも備え、排出量の急増

が見込まれる途上国を次期枠組みに引き入れる仕組みに発展しそうだ。

 計画内容が他国と比べて妥当かどうかを判断する方法や温室効果ガスの測

定方法、計画が実行できなかった場合の措置は今後の交渉に委ねた。

 途上国の排出抑制をめぐっては、日本政府は昨年9月、中国やインドを念頭

に排出量が多い新興国は別扱いして削減努力を義務づけることを提案したが、

論点案は「強い抵抗を引き起こした」と指摘。途上国をさらに区分けするより、高

い目標を掲げて削減するよう促し、公平に減らすやり方を議論する方が「より生

産的」とした。


 交渉では、6月の作業部会で枠組みの骨子案が示される予定。12月にデンマ

ークである国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)での合意をめざし

ている。(山口智久)


そして時の日本政府(麻生内閣2009年4月24日
世界3分類案を提案

している。温室効果ガスの排出量の多い中国やインドなどには、自主目標だが

産業別に省エネ目標を設定させる。その他の後進国には自主削減計画のみを

求めるなどの提案を行っていたのである。麻生政府もそれなりに知恵を絞って、

地球に優しくなるように涙ぐましい努力をしていたのである。そしてアメリカも先

進国にのみ適用される京都議定書のスキームではなく、排出量の多いすべて

国に削減義務を課すべきだ、強調していたのである。

        

政府、ポスト京都へ新議定書提案 世界3分類し削減促す200904250302
http://www.asahi.com/eco/TKY200904240327.html?ref=reca
2009年4月25日3時2分

 政府は24日、2013年以降の地球温暖化対策の国際枠組み(ポスト京都)づく

りに向け、京都議定書に代わる新たな議定書の原案国連に提出した。現状

では温室効果ガスの排出削減の義務を負っていない中国やインドなど新興国

経済的に貧しい途上国にも削減を促している。国連交渉に「復帰」した米国の支

持を期待するが、途上国側が反発するのは必至だ。


 ポスト京都は、今年12月にコペンハーゲンで開かれる国連気候変動枠組み

条約締約国会議(COP15)で決まることになっている。準備にあたる作業部会は

5月中旬、日本案のように議定書の条文の形で示された各国の提案を参考に、

議長案を提示する。ブラジルなどは、先進国だけに削減義務を課している京都

議定書を手直しするのが適当との立場で、新しい議定書をつくることに反対。6

月にドイツ・ボンである作業部会では、新議定書をつくるのか、現議定書の改正

でしのぐのかが主要な論点となる。


 日本案では、世界全体で排出量を50年までに半減させるという長期目標を

明記。目標達成に向け、京都議定書から脱退した米国を含む先進国は13年か

らの一定期間内に温室効果ガスの総量を削減する目標を表明するとしている。


 一方、中国やインドなど新興国は、自主的な削減計画をつくった上で、鉄鋼や

セメントなど産業別に省エネ目標を設定。排出量が少ない島国など途上国につ

いても、自主削減計画を求めた。新興国などの経済発展に伴い排出量が増え

た場合に備え、数年ごとに各国の削減目標を見直す。


 日本はポスト京都には世界1、2の大排出国である米国と中国の参加が不可

欠としており、「すべての国が参加する包括的な議定書を定めるのが正攻

」(外務省幹部)と主張。ただ、新議定書で削減を迫られることを嫌う途上国側

の反発を見越し、現議定書を大幅改定する妥協案も検討するとしている。

(続く)